「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

サバリッシュ指揮の魔笛~第2部~

2022年08月01日 | 音楽談義

ちょっと間延びしたけど、「サバリッシュ指揮の魔笛~第1部~」からの続きです。

日経新聞の記事がきっかけとなって取り上げた、モーツァルト晩年のオペラ「魔笛」。



手元にある「魔笛」の40数セットの中からCDとDVD各1セットをすぐに見つけ出した。サバリッシュ指揮の魔笛は中庸を得ていて、今でも”すこぶる”いい印象が残っている。

 


              
画像左側のCDは1973年の録音で1987年にアナログ録音をデジタル化したもの、右側のDVDは1983年の録音。

オーケストラは両方ともに「バイエルン国立歌劇場管弦楽団」で1973年のCD盤は配役が凄い。

主役の「王子」役があのペーター・シュライアーで、「道化」役がワルター・ベリー、そして「高僧」役がクルト・モルときていて男性陣が超一流の布陣である。


一方、DVD盤の方は「夜の女王」役が「エディタ・グルヴェローヴァ」で「王女」役が「ルチア・ポップ」ときている。

CD盤と比較して今度は女流陣が万全の体勢というわけで、グルベローヴァは先日亡くなったが史上最高の「夜の女王」だし、ルチア・ポップは比較的若いうちに壮絶なガン死をとげたが、透き通った張りのある歌声(ソプラノ)はまさにトップクラス。

とはいえ、これまで「魔笛」に決定盤が無いとされているのも、これら5人の主役の一流どころが一堂に揃わないためで、こればかりは未来永劫に無理でしょうよ。


ここ数日、改めて試聴に入ったが、何せ2時間半の長大なオペラだから一気呵成にともいかなかったが流石に名曲だけあって十分聴きごたえがあった。

まずCD盤の方だが、アナログ録音をデジタル化したハンディがあって最新のデジタル録音の音質を期待できないのは残念だが、シュライアーたちの全盛期の張りのある歌声を堪能できた。



またサバリッシュはまるで大学教授みたいな風貌をしているが、前述したように奇を衒うことがなく誰もが安心して音楽に浸れる正統派で、この魔笛もまったくスタンダードだった。たしか以前はN響の常任指揮者もやっていたので日本のファンにもお馴染みのはず。

常々「クラシックは明るめの音でスピーカーの後方に広がり、ジャズは暗めの音で前に出てくるのが理想」だと思っている。

両者の音楽の成り立ちからして「教会音楽」と「ストリート音楽」だからこの理由はきちんと説明がつくと思うが、明るめの音かどうかは主観の相違もあるものの、後方に広がる音、前に出てくる音、これだけは自分にとって音楽を鑑賞するうえで妥協できない生命線だといえる。

で、今回は「CD」と「DVD」との比較で「どちらが後方に広がる音か」に焦点が絞られるわけだが、DVDの方が一枚上手だった。


また、CDと違ってDVDは台詞が日本語で画面に表示されるので大いに助かる。

圧巻だったのはグルヴェローヴァ扮する夜の女王の登場シーンとその圧倒的な歌唱力、そしてポップが高僧ザラストロの面前で許しを請いながら歌うアリアの部分、さらには「パ、パ、パ」の二重唱、堂々たるフィナーレといったところで、これだけでもこの「魔笛」を聴く価値があると思った。

全体的に見てもこれは間違いなくAクラスのDVDで、音質もさすがにフィリップス・レーベルだけのことはあった。


とはいえ、通常、オペラを鑑賞するのに映像は欠かせないものだが、「魔笛」に限っては音楽があまりにも素晴らしいので映像は一度ぐらい見ておくといい程度で、普段はCDだけで鑑賞しても十分だと思う。むしろ自分はCDで目を閉じて場面を頭の中で想像しながら聴く方が好きである。

なぜなら視覚と聴覚を両方同時に使うと情報量からして聴覚は視覚に負けてしまう、それが嫌いなので・・(笑)。



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