「よ~っ、元気にしてる? 今度千葉の方へ引っ越しすることになりました。明後日に出発します」と、A君から連絡があったのは3日(水)のことだった。
同じ職場だったこともあり、「釣り仲間」としてたびたび一緒に釣行したが、楽しい思い出しか残っていない貴重な親友だっただけにショックだった。
「え~っ、またどうしてそんなに遠くに・・、淋しくなるなあ~」
「長男と次男が東京で勤務していてもう大分に帰ってこないと言ってるんでね・・、介護のことを考えると元気な今のうちに家内ともども引っ越しすることに決めました」
「なるほどねえ・・、最後に一目会っておきたいので明日は家にいる?」
「午前中はゴミ出しがあるので、午後なら居りますよ」
「それなら13時半ごろに伺います」
クルマで30分ほどの場所、引っ越し作業のあわただしい中10分ほど名残を惜しんだ。
引っ越し先の住所は「千葉県大網白里市○○」とのことで、「関東に来た時はいつでも連絡して・・」「ありがとう・・」
「どういう行程で千葉まで行くの?」
「明日の午後、自宅をクルマで出発して門司港(北九州市)から東京までフェリーで行きます。」
「ほんの心ばかりだけど、これで美味しいものでも食べて・・。これからも、せめて年賀状だけはずっと交換しようね~」
「高齢になったら子供のもとへ」は我が団地(150戸あまり)でもしょっちゅう見られる光景で、そういう空き家にはすぐに子供連れの若い夫婦が越してくる。
身近に見られる世代交代だが、それにしても同じ九州の福岡ぐらいならどうってことはないが千葉ともなると途方もつかない遠距離で喪失感がはなはだしい。
その一方、「歳をとっての引っ越しはたいへんだ」とこぼしていたA君も、まるっきり生活環境が変わることへの新鮮な刺激と淡い期待感がそこはかとなく感じられた。
いくつになっても環境が一変することによるリフレッシュ感は否めないところだが、我が家の場合は娘のいる福岡への引っ越しはオーディオシステムの自由度からいってまず無理~(笑)。
今回のA君の引っ越しについて家内と話していたら「全然見知らぬ土地でこれから人の輪づくりがたいへんね。でも、もし私より先に貴方が逝ったら、私は娘のところに行くと思うわ」と、早々に移住宣言したが、万一にでも順番が逆になって、あまり想像したくはないが家内が先に逝ったりしたら、自分は「オーディオの守り人」としてこの家で「野垂れ死に」といきますかな~(笑)。
「野垂れ死に」(広辞苑)
路傍などに倒れて死ぬこと。また、それに似たみじめな死に方。ゆきだおれ。用例「わびしく野垂れ死にする」
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