柄目木庵

良寛さまに思いをよせながら。

海抜マイナス2.5m

2009年12月04日 | 日々これ好日
 気がつけば、はや「師走」でした。

 ちょっと車で走り回っていたのですが、素晴らしい山あり谷ありでした。
ところで、私の住んでいる新潟とくにその平野部の特徴はなんなのだろうか。
特別風光明媚なところなんてないよなあ。
そんな思いが、ずっとありました。

 先月28日、新津美術館主催の「Season&Art第19章 良寛を語る 」バスツアーに参加しました。
「良寛の碑」や目下開催中の「水と土の芸術祭2009作品」のいくつかを訪ねるものでした。

 まず、すっかり初冬の風情となっている「鳥屋野潟」で、いくつかの「水と土作品」をみました。

 実は、下の写真でちらりと見える「鳥屋野潟の水面」に注目ください。
なんと、この水面は海面下2.5mなのです。



 新潟の平野は、たぶん信濃川、阿賀野川などの大河による土砂の堆積によりできた平野です。
海岸部には、その土砂が押し返されてできたであろう砂丘列があります。
必然的に平野部には、吐け切れない大量の水により、大きな沼地が点在したことでしょう。
そのひとつが「鳥屋野潟」として残っているのではないでしょうか。

 まさに、「水と土」、これが平野部のキーワードだと気づかされます。
多くの流木を利用した表現(作品)が湖畔にありました。
アーティストの「水と土」の表現にせまる感性には、脱帽でした。
    

 当然のことながら、雨水や灌漑用水は、ここ鳥屋野潟に集まるのですから、この排水がたいへんな作業になるわけです。
かなり以前までは、「栗の木川」を利用してポンプアップして海に流していたようです。
その遺構が今でも残っています。アーティストは、これまた作品にしていました。


 これは、鳥屋野潟と栗の木川(海へ)の水面を上下させて船の交通を助ける「閘門」なのです。


 栗の木排水機場に表示されている「水位」が、なんともすごいことを教えてくれています。
現在では、新しい「親松排水機場」により、鳥屋野潟に集まった水は信濃川に流されています。

 とても興味深いことが、読み取れますよね。
日本海の水面は東京湾より30cm高いのですね。
信濃川の親松での海抜は80cmです。
そうすると「親松排水機場」では、ポンプが3.3m以上に水をくみ上げて排水をする必要があることになります。

 どのような能力のポンプが何台あるのでしょうか。
ここは、絶対に見学してくるべきですね。
「水と土」、これと戦う、その恵みを受ける、いずれにせよ、我が風土・風物のキーワードであることを実感したのでした。

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2 コメント

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視点 (けんちゃ)
2009-12-07 18:29:15
Q太郎さん、遅レスですみません。
いつも作品を楽しませて貰っています。初めは創作された作品の写真とは思いませんでした。紅葉や植物のマクロと違い、又別の新鮮さを感じています。観察眼の高さに敬服いたしております。
特に「栗の木排水機場」、私ならレンズを向けることなく、「ほう、そうか」で終わってしまします。こういうものから科学を感じました。
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バランス (Q太郎)
2009-12-07 19:30:38
 いつも、どうも、有難うございます。
今回の見学では、我々の生活が、かなり「心配な土台、バランス」の上で成り立っていることに気づかされましたね。
温暖化への対策など、何よりも優先されるべきものだと思いましたよ。
 じつは、私のこのコンピュータもかなり「あやうい」状態でして、今ほど「復元ポイント」によりちょっと安定したかな、というところです。作業の途中でバツンとシステムダウンを繰り返し、困っていたのです。
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