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アイヌ工芸家アートを語る*近美で開催中「モレウのうた」

2024-02-10 | アイヌ民族関連

(北海道新聞2/9)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/973064/

【中央区】道立近代美術館(北1西17)で開会中の特別展「AINU ART―モレウのうた」(道立近代美術館、アイヌ民族文化財団主催)。木工や刺しゅうなど数々のアイヌ工芸品が並ぶ会場で、作家が「ものづくりの現場から」と題して語るトークイベントの1回目が1月27日に行われ、木彫家貝沢徹さん(日高管内平取町二風谷)、金工家下倉洋之さん(釧路市阿寒町阿寒湖温泉)がそれぞれ、特別展を企画した同美術館の五十嵐聡美学芸部長と対談し、作品に込めた思いを語りました。

 貝沢さんは、札幌市が2019年、地下鉄南北線さっぽろ駅構内に開設した「アイヌ文化を発信する空間」(愛称ミナパ)を象徴するオブジェとして、「IWOR-UN-PASE-KAMUY(イウォルン パセ カムイ=その場所を見守る尊い神様)」と題する翼を広げたシマフクロウの木彫(高さ約2.5メートル、幅約2.4メートル)を制作。JR札幌駅に14年に設置された木彫家藤戸竹喜さん制作のエカシ(長老)像を取り囲む、大きなへら状の祭具・イクパスイ6本のうち1本を手掛けています。

 特別展に展示された高さ2・4メートル、幅74センチの大作「Iron Will(鉄の意志)」は、貝沢さんが昨年12月から正月返上で制作に当たり、1月10日に納品した最新作。渦巻き状のアイヌ文様「モレウ」やうろこ模様を彫り込んだイタ(盆)を複数組み合わせ、それぞれ異なる彩色を施しています。国の伝統的工芸品に指定されている二風谷イタの伝統を受け継ぎ、「鉄のように固く揺るぎない精神を持ちたいという自らを含めたウタリ(同胞)へのメッセージ」が込められているといいます。

 ファスナーの内側にモレウなどを彫り、アイヌ民族としての自覚や誇りを表現した木彫「アイデンティティ」は、貝沢さんの代名詞ともいえる作品で、国際的に高く評価されています。今回展示されているのは2011年作で、アイヌ民族文化財団の所蔵。これまでに5点の「アイデンティティ」が制作され、英国で日本文化を発信する複合施設「ジャパン・ハウス ロンドン」で4月まで開催中の展覧会「アイヌの物語 沙流川流域の現代生活」に新作を出展しています。

 熊彫りの第一人者である藤戸さんを目指していたという40歳の頃に制作したタヌキ(1998年)やフクロウ(2001年)など写実的な木彫、貝沢さんがアイヌ文様を彫り始めるきっかけとなった曾祖父の名工ウトレントクが明治20年代に彫ったイタ(盆)、愛用する彫刻刀なども展示されています。

 貝沢さんは「中学生の頃、サケを彫っていた父に教わり丸刀でうろこ彫りをやってみたのが木彫りを始めたきっかけ。当初はアイヌ文様を彫ることに抵抗があったが、ウトレントクが残してくれたイタの良さに30代で気づき、アイヌの伝統と向き合うようになった」と振り返りました。五十嵐さんは「二風谷の工房を訪ねて一番感動したのは、貝沢さんが使う道具のいろんな文様の装飾。使い込まれて傷があるニマ(木鉢)もそうですが、暮らしの中の美がアイヌ工芸の魅力」と説明しました。

下倉さんは・・・・・

3月10日までの午前9時半~午後5時(2月12日を除く月曜と13日休館)。大人千円、高大生600円、小中生300円。アーティスト・トークは2月17日午前11時から結城幸司さん(南区)、午後2時から藤戸康平さん(阿寒湖温泉)=写真=、3月2日午前11時から関根真紀さん、午後2時から小笠原小夜さん(いずれも平取町)が登場します(要観覧券)。

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