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「世界共通の言葉」ラップが救う、消え行く少数言語

2017-05-23 | 先住民族関連
AFPBB News2017年05月22日 17:09 

仏パリのスタジアム、スタッド・ド・フランスでコンサートを行う米ラッパーのエミニム(2013年8月22日撮影)。(c)AFP/PIERRE ANDRIEU
【5月22日 AFP】世界共通の言語と呼ばれてきたラップ音楽は、消滅の危機に直面している少数言語を守る手段ともなり得る。
 世界中の小規模な言語社会で今、先住民たちがコミュニケーションの手段としてラップを取り入れ、自分たちの言語に新たな息吹を与えている。それまでは予想もしなかったようなオーディエンスも獲得しているという。
 アーティストたちの経歴や動機はさまざまだが、唯一共通するテーマは、ヒップホップが持つ力の実現だ。1970年代に米ニューヨーク(New York)ブロンクス地区(The Bronx)のストリートカルチャーの一つとして誕生したヒップホップはその後世界中に広まり、少なくともスタイル上では共通言語として多くの若者たちに受け入れられた。
 コロンビア北部の山岳地帯に位置するアンティオキア(Antioquia)県で暮らす先住民の10代の兄弟、ブライアン・タスコン(Brayan Tascon)さんとダイロン・タスコン(Dairon Tascon)さんは数年前、バルパライソ(Valparaiso)の中央広場で行われていたストリートパフォーマンスを見た際に初めてラップと出会った。
 ラップにエネルギーや即興性を見出した2人は、自分たちの言語であるエンベラ語でラップを再現。エンベラ語は、コロンビアやパナマで使われている言語で、使用者は10万人に満たないと推定されている。
 ユーチューブ(YouTube)に投稿した動画で2人は、初期の頃のラッパーを真似て「Yo」と言うかのように手を前方に突き出している。けれど彼らが身に着けているのは金のチェーンではなく、エンベラの人々特有のカラフルな首飾りやヘッドバンドだ。AFPの電話取材に応じたダイロンさんは「以前はラップと言えば、ドラッグや暴力のことを歌にしただけだと思っている人もいた。でも僕たちにとって音楽は、いかに話すか、いかに生きるかということなんだ」と語った。
■言語の政治
 先住民たちが歌うヒップホップは、サブジャンルとして米国やカナダで耳にするようになっている。彼らの詩もラップの草分けであるアフリカ系米国人たちのものと同様、不平等について訴えていることが多い。
 米ミネソタ(Minnesota)州ミネアポリス(Minneapolis)やセントポール(St. Paul)は、その躍動する音楽シーンや先住民の遺産とともに、先住民ヒップホップの中心地となっている。地元ラッパーのトール・ポール(Tall Paul)さんは英語とアニシナベ語の両方で歌う。
 彼の楽曲「Prayers in a Song」には、アメリカ先住民の最も古い言語の一つである祖先の言葉を学ぶ際の苦労を歌ったもので、コーラス部分ではスピリチュアルな強さを呼び起こすためにこの言語が使われている。英語部分の歌詞では「言葉への敬意 神聖なものを復活させる義務を感じる/実現しなければ民族の名誉が傷ついてしまう」と歌っている。
 一方、ノルウェー極北のラッパー「スリンクレイス(SlinCraze)」ことニルス・ルネ・ウッツィ(Nils Rune Utsi)さんは、自らの言語であるサーミ語で語りかける新たなラップの形式を生み出した。
 作品の一つ「Suhtadit(「議論」の意)」には米白人ラップアーティストのエミネム(Eminem)の影響が色濃く、凄みのあるバッキング・リフをバックに早口で歌詞がまくし立てられている。動画には群衆を前に立つ牧師やトナカイに狙いをつける仮面の集団といった象徴が多数登場する。トナカイの遊牧は昔からサーミの民にとって生きる術だった。
 スリンクレイスはラップの中で「そうさ、僕はサーミだ。僕らのシンボルは破壊され、僕らの言語は踏みつける。奴らはやりたい放題。奴らはそれができるんだ」と歌う。
■オーディエンスの拡大
 スリンクレイスは、この楽曲について、サーミだということを理由に上着に火を付けられた少女に関する記事を読み、怒りにかられて歌詞を書いたと語った。
 彼と同じ北部サーミの方言を話す人は2万人以下。スリンクレイスは、オーディエンスが限定されてしまうリスクを認識している。しかし、たとえ歌詞の意味がわからなくても、自分の音楽はオーディエンスを引き付けているんだと喜びをにじませた。
 スリンクレイスは当初、言語の保存についてはあまり考えていなかった。だが一定のファン層を確立したため、借り物のノルウェー語や英語ではなく、サーミ語再生のためにより力を注ぐことに決めたと語った。またそれと同時にノルウェー語での初のEP制作にも取り組んでいる。
 ノルウェー政府は何十年もの間、先住民を腕づくで統合しようとしてきたが、彼や仲間のアーティストたちは、ノルウェーのサーミ文化を盛り上げようとしているのだとスリンクレイスは語った。「くだらないことかもしれないけど、ここぞヒップスターの役割なんだ。今では多くの子どもたちが、自分はサーミだと堂々と言える。誇りに思っているんだ」【翻訳編集】 AFPBB News
http://www.afpbb.com/articles/-/3129116


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「世界共通の言葉」ラップが救う、消え行く少数言語

2017-05-23 | 先住民族関連
AFPBB News2017年05月22日 17:09 

仏パリのスタジアム、スタッド・ド・フランスでコンサートを行う米ラッパーのエミニム(2013年8月22日撮影)。(c)AFP/PIERRE ANDRIEU
【5月22日 AFP】世界共通の言語と呼ばれてきたラップ音楽は、消滅の危機に直面している少数言語を守る手段ともなり得る。
 世界中の小規模な言語社会で今、先住民たちがコミュニケーションの手段としてラップを取り入れ、自分たちの言語に新たな息吹を与えている。それまでは予想もしなかったようなオーディエンスも獲得しているという。
 アーティストたちの経歴や動機はさまざまだが、唯一共通するテーマは、ヒップホップが持つ力の実現だ。1970年代に米ニューヨーク(New York)ブロンクス地区(The Bronx)のストリートカルチャーの一つとして誕生したヒップホップはその後世界中に広まり、少なくともスタイル上では共通言語として多くの若者たちに受け入れられた。
 コロンビア北部の山岳地帯に位置するアンティオキア(Antioquia)県で暮らす先住民の10代の兄弟、ブライアン・タスコン(Brayan Tascon)さんとダイロン・タスコン(Dairon Tascon)さんは数年前、バルパライソ(Valparaiso)の中央広場で行われていたストリートパフォーマンスを見た際に初めてラップと出会った。
 ラップにエネルギーや即興性を見出した2人は、自分たちの言語であるエンベラ語でラップを再現。エンベラ語は、コロンビアやパナマで使われている言語で、使用者は10万人に満たないと推定されている。
 ユーチューブ(YouTube)に投稿した動画で2人は、初期の頃のラッパーを真似て「Yo」と言うかのように手を前方に突き出している。けれど彼らが身に着けているのは金のチェーンではなく、エンベラの人々特有のカラフルな首飾りやヘッドバンドだ。AFPの電話取材に応じたダイロンさんは「以前はラップと言えば、ドラッグや暴力のことを歌にしただけだと思っている人もいた。でも僕たちにとって音楽は、いかに話すか、いかに生きるかということなんだ」と語った。
■言語の政治
 先住民たちが歌うヒップホップは、サブジャンルとして米国やカナダで耳にするようになっている。彼らの詩もラップの草分けであるアフリカ系米国人たちのものと同様、不平等について訴えていることが多い。
 米ミネソタ(Minnesota)州ミネアポリス(Minneapolis)やセントポール(St. Paul)は、その躍動する音楽シーンや先住民の遺産とともに、先住民ヒップホップの中心地となっている。地元ラッパーのトール・ポール(Tall Paul)さんは英語とアニシナベ語の両方で歌う。
 彼の楽曲「Prayers in a Song」には、アメリカ先住民の最も古い言語の一つである祖先の言葉を学ぶ際の苦労を歌ったもので、コーラス部分ではスピリチュアルな強さを呼び起こすためにこの言語が使われている。英語部分の歌詞では「言葉への敬意 神聖なものを復活させる義務を感じる/実現しなければ民族の名誉が傷ついてしまう」と歌っている。
 一方、ノルウェー極北のラッパー「スリンクレイス(SlinCraze)」ことニルス・ルネ・ウッツィ(Nils Rune Utsi)さんは、自らの言語であるサーミ語で語りかける新たなラップの形式を生み出した。
 作品の一つ「Suhtadit(「議論」の意)」には米白人ラップアーティストのエミネム(Eminem)の影響が色濃く、凄みのあるバッキング・リフをバックに早口で歌詞がまくし立てられている。動画には群衆を前に立つ牧師やトナカイに狙いをつける仮面の集団といった象徴が多数登場する。トナカイの遊牧は昔からサーミの民にとって生きる術だった。
 スリンクレイスはラップの中で「そうさ、僕はサーミだ。僕らのシンボルは破壊され、僕らの言語は踏みつける。奴らはやりたい放題。奴らはそれができるんだ」と歌う。
■オーディエンスの拡大
 スリンクレイスは、この楽曲について、サーミだということを理由に上着に火を付けられた少女に関する記事を読み、怒りにかられて歌詞を書いたと語った。
 彼と同じ北部サーミの方言を話す人は2万人以下。スリンクレイスは、オーディエンスが限定されてしまうリスクを認識している。しかし、たとえ歌詞の意味がわからなくても、自分の音楽はオーディエンスを引き付けているんだと喜びをにじませた。
 スリンクレイスは当初、言語の保存についてはあまり考えていなかった。だが一定のファン層を確立したため、借り物のノルウェー語や英語ではなく、サーミ語再生のためにより力を注ぐことに決めたと語った。またそれと同時にノルウェー語での初のEP制作にも取り組んでいる。
 ノルウェー政府は何十年もの間、先住民を腕づくで統合しようとしてきたが、彼や仲間のアーティストたちは、ノルウェーのサーミ文化を盛り上げようとしているのだとスリンクレイスは語った。「くだらないことかもしれないけど、ここぞヒップスターの役割なんだ。今では多くの子どもたちが、自分はサーミだと堂々と言える。誇りに思っているんだ」【翻訳編集】 AFPBB News
http://www.afpbb.com/articles/-/3129116


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沖縄の人権侵害告発 国連宛て報告公表、研究会がシンポ 

2017-05-23 | ウチナー・沖縄
琉球新報2017年5月22日 06:30

沖縄で人権が侵害されている状況を告発した報告書について発表する沖縄国際人権法研究会のメンバーら=21日、那覇市の沖縄大学
 沖縄国際人権法研究会(島袋純、星野英一共同座長)は21日、沖縄大学でシンポジウム「沖縄の声を国連に!」を開いた。同研究会を含む複数のNGOが3月、国連人権理事会宛てに提出した沖縄の人権状況についての報告書の内容を公表。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古での新基地建設など基地問題を中心に、日米両政府によって自己決定権、環境権、表現の自由、女性・子どもの権利の4分野で人権が脅かされている状況を報告した。
 島袋純琉球大教授は自己決定権に関し、新基地建設に伴って大浦湾への立ち入りが規制されたことに「国連の先住民族権利宣言に定められている『先祖伝来の領域』に関する権利を侵害している。漁業権のみを問題にし、他の人々の権利を無視して立ち入り禁止にする権限は日本政府にはない」と強調。報告書では琉球/沖縄を「先住の人民」として承認し、権利を保護するための具体的措置をとる―などを政府に求めた。
 表現の自由について研究会事務局の阿部藹(あい)さんは、作家の百田尚樹氏が沖縄2紙を「つぶさなあかん」と発言したことを例示。(1)メディアの独立性と報道の自由を担保する。法執行官への人権教育を実施する(2)罰則規定を含む実行力のある差別禁止法を制定する―など5項目を求めた。
 環境権は桜井国俊沖縄大名誉教授、女性の権利は親川裕子沖縄大地域研究所特別研究員が報告した。
 国連人権理事会の普遍的定期審査(UPR)で11月、沖縄国際人権法研究会を含め、さまざまなNGOが提出した報告書を基にして日本政府が審査される。
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-500087.html

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「手話語」授業、スタート 北海道・石狩翔陽高校、今年度から 差別された歴史も学ぶ

2017-05-23 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2017年5月22日05時00分
北海道石狩市の道立石狩翔陽高校(藤井勝弘校長)で、今年度から「手話語」の授業が始まった。手話を「言語」と位置づけ、その理論を学んだり、実際にやってみたりする全国でも珍しい試みだ。高校や市は、将来の「手話言語法」制定を見据えている。
 同校は総合学科制。「手話語」は2年生の選択科目で、今年度は16人が学んでいる。来年度からは3年生も対象になる。
 4月の授業では、明治維新から現在までの「ろう者」への差別の歴史や権利獲得の過程を学んだ。5月25日に創立70年を迎える全日本ろうあ連盟(東京)が制作したドキュメンタリー映画「段また段を成して」も鑑賞した。
 年間70時間の授業では「実践」として手話を学ぶほか、「理論」として、ろう教育の歴史や聴覚障害者にとって手話こそが言語であることも学ぶ。全日本ろうあ連盟は「コミュニケーション方法として手話を取り入れる学校はあるが、『言語』として位置づける授業は、把握している限り初めて」という。
 「理論」の講師は、北海道ろうあ連盟の佐藤英治副理事長(71)。声と手話で授業を進めるが、市の専任手話通訳者も同席し、生徒が内容を理解しにくい時に手助けする。
 「実践」の授業では、石狩聴力障害者協会の杉本五郎会長(70)が受け持ち、「手話は見る言葉。とにかくよく見て」と手話で伝え、通訳者が言葉に出していく。
 「『川』は3本の指を上から下げるんだ」「『谷』は両手を近づけて谷の形を作るのか」。隣の生徒と手の動きを確認しながら授業は進む。2年生の谷内田綾乃さん(16)は「手話は初めてで不安な部分もあるけれど、手話を覚えて会話ができるようになりたい」と話した。
 授業では、北海道の先住民族・アイヌの歴史も学ぶ予定だ。佐藤さんは「明治期にアイヌ語が事実上禁止され、その結果アイヌ語を話せる人が少なくなった。言葉を禁じることは、文化を奪うことになる」といい、かつてろう教育が「口話」に偏重し、手話が遠ざけられたこととの共通点を指摘した。
続きあり
http://www.asahi.com/articles/DA3S12949458.html

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