西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

隈 研吾さん(建築家)の話を聞いて

2011-09-23 | 地域居住学
昨日、ラジオ深夜便の「明日への言葉」で建築家・隈 研吾さん の話聞いた。隈さんは1954年生まれ57歳か。東大大学院教授、前に慶応の藤沢キャンパスで教授だった。・・・

以下、→は、隈発言の私の要約メモ。

→(21世紀の建築、まち)派手より地味へ(私注:この地味という言葉は、そのまま「地の味」と考えたら良いのではないか。)大より小へ、(自然に)「勝つ」建築から 「負ける」建築へ、超高層から低層へ、

→1980年代に事務所をつくり、「目立つ」建築を創ろうとしたが、1990年代のバブル崩壊で東京では一つも仕事がなく、地方でやらしてもらい勉強になった。大学で習ったコンクリートと鉄とガラスの建築から自然素材の建築へ、と転換した。

→根津美術館の竹や和紙の建築(一度、体験してみたい)

→歌舞伎座・・江戸時代の雰囲気の復興(町に開かれている)、後ろの高層建築は大分下げて(セットバックさせて)、窓がなく漆喰を使って、歌舞伎座の白の屏風のように考えた。この銀座―歌舞伎座―築地という「流れ」は大切にしたい。「設計」にあたり歌舞伎役者との話し合いが勉強になった。(役者にとって舞台裏の楽屋が大事、彼らの要望は、舞台から楽屋に向かう廊下の「足触り」が大切、「重い」衣装を着て、「硬い」舞台で足踏み演技をした後で楽屋に帰るのだから「足に優しい」廊下が欲しい・・・これで廊下の床構造、仕上げ、質感を大いに勉強させてもらったとのことである。隈さんは、建築家は図面で廊下の幅とかを考え、材質も考えはするが、役者さんの実体験を聞いて勉強になったと言う。(私注:人間は足二本で重力に抗して立って歩いているのだから、その時が、他の座ったり寝たりする時より体に最もきつい訳だ。建築家は、ともすれば視覚中心で進めるが、そこが死角で、最も基本的な触覚を先ず考慮することが大切、ということを示していると思う。)

→東京には地形上多くの襞があって谷や丘や阪が無数にある。東京一本で考えるのではなく「東京は千のむらで成り立っている」と考えて、そのむらに相応しい建築や「都市計画」に取り組むべきだ。(私注:まあ一つのむらが一万人と考えると、日本は一万のむらで成り立っていると考えて、「国土計画」のベースとして一万のユニークでそれこそ地味な「むら計画」や多彩な建築を考えたら良いのではないか。

→やがて出来上がる新潟県長岡市役所に「注目」して欲しい。

→日本の建築の職人技は世界最高ではないか・・・。

→日本はヘルシーな寿司を世界に普及したように、ヘルシーな癒される空間を世界に発信したらどうか。

→建築技術者というより「生活の達人」になる要がある。(私注:「新建」、西山先生みたいなこと言っているな―と思った。やはり「真理」は浸透していくか。?!

→9月25日から東京で開催の3年に一度の「建築のオリンピック」「世界建築家会議」に期待して欲しい。(隈さんは、学生コンペの審査委員長らしい。)

隈さんの話は、昔、奈良女子大に招いて(上野邦一さんの紹介)学生達と一緒に聞いたことがあり、その後、仙台からの帰りに東北新幹線で乗り合わせ駄弁ったことがある。隈さんの慶応時代だ。新書も四冊ほどもっている。期待して見守っていきたい。

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