西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

上野邦一さん講義「ラオス、カンボジア、ベトナムでの発掘調査ー現地調査の泣き笑いそして感動ー」に参加

2014-01-27 | 地域居住学


第65回けいはんな市民雑学大学で上野邦一さん(市民教授、奈良女子大特任教授)の表題の講義に市民学生として参加して頭を少し使った。

先週の土曜日の「市民雑学大学」で、上野邦一さんのラオス、カンボジア、ベトナムでの発掘調査の「歴史」を聞いたのだ。今後、それらの国々での考古学、建築史学の歴史が本格的に前進、開花する時には上野さんの足跡は大きく記録されることだろう。

上野さんのいいところは、「進んでいる」日本から指導に行っても決して「上から目線」ではなく、国情に応じた付き合い方をしていることだ。そりゃそうだろう、電気や水道が末端に未だきていない所で、まず生活し、生き延びねばならないわけだから・・・。

第二に、「変だな」とか「こりゃ何だ」とか思うことを頭や心に留め置いて粘り強く追及している。単に発掘技術を「移転」しているだけでなく、考古学、建築史学にも一石を投じている。例えば、現在、石造のの遺構が主に残っているのだが、小屋部分が失われている一方で瓦が多く出土している。「これはどういうことか」と頭を働かせて、木造技術の国からきた強みも生かし、「ひょっとして木造の小屋組みの上に瓦を葺いていたのではないか」という仮説を思いつき、色々な痕跡と建築構造の全体構想から、屋根から小屋組み、本体から土台の全体像をくみ上げてみてしまう。現地の人が思ってみなかったことだったろう。

こういう仮説は、インドシナ半島全体の建築史を明らかにしていく上では大きな足掛かりになるだろう。

上野さんの講義にはかなり多く「グーグル」の上空からの写真が使われていた。溝や塀の基礎などが「上」からは良く分かり、敷地全体の外枠に接近できる、まあ「一次接近の方法の一つ」と思った。

上野さんが「上空から見た全体像はスケッチできるが、地上からの視点での全体像は描くのは難しい」と言われた。窓、戸、軒などは崩れてしまっており、木造とすれば朽ちて分からなくなっているからだ。

全体を聞いていて、日本の国土研が編み出した調査の三原則ー(1)現地住民のために調査する。住民主義。(2)必ず現地に行って生で見て聞いて調査する。現地主義。(3)一つの分野で調査するのではなく出来れば地域に関する多くの分野で調査し、議論して全体像に迫る。総合主義。-を思い出していた。
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