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東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

重ね塗り(蘇芳)すおう

2018-05-04 06:48:42 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 

 

 煮出したばかりのきはだ汁で一文雛の女雛の衣の部分の下地塗りをしました。煮出したばかりのきはだ汁は発色がはかないですね。画像の薄い黄色ですが、これで13回重ねた色なのです。但しこれは蘇芳(すおう)の汁を重ね塗りするための下地なので問題はありません。

 小鉢に数年間寝かせてある蘇芳の汁。正確に言えば、蘇芳にきはだの汁も混ぜてあります。かなり濃くなっています。

 小鉢から小皿に移した蘇芳の汁。筆先で混ぜて塗ります。ぱっと見で血液のような色でどっきりしませんか。それもそのはずで、江戸から明治にかけての歌舞伎での血糊は蘇芳汁とふのりとを混ぜて使っていたといいます。河竹黙阿弥作の「切られお富」(初演 1864年(元治元年)のセリフで「蘇芳の色もよく出たなあ」というのがありますが、まさにそのとおりです。

 一文雛の女雛に蘇芳を一回塗ったところ。乾いたらまた重ねていきます。

 「装束稲荷の招き狐」です。稲荷さまからの授与用のものは煮出し彩色していませんが。民藝館や民藝店向けの場合は煮出しで出しています。耳と尻尾の部分にきはだと蘇芳を置きます。画像の蘇芳はやはり一回塗りの状態ですが、面積が狭い場合は一回塗りでも色がはっきり見えるので、これでよいと思います。

 蘇芳の汁も煮出したばかりだと発色がはかなく、薄いですが、今小鉢に寝かせてあった分だと一回でも比較的赤みがでます。(きはだも混ざっているので)蘇芳の煮出しの場合、煮出した汁にみようばんを加える瞬間にぱっと色が変わるのが面白いのですが、煮出す機会にご紹介します。