おはようございます。 生き生き箕面通生き生き箕面通信1461(121221)をお届けします。
・日中関係の改善は「青少年交流」から――丹羽前中国大使の提言
日中関係はいま、なぜ緊張が高まっているのでしょうか。緊張を高める必要はあったのでしょうか。原因は何か。
今年は日中国交回復40周年の記念すべき年でした。数多くの記念行事、友好行事が計画され、日中関係は大きく発展するはすでした。ところがそれを苦々しく思う勢力もいました。
日中の友好関係が一段と高まることを最も苦々しく思うのは、アメリカです。アメリカは、日本が中国と仲良くすることが「反米」につながるのではないかと、以前から神経質になっていました。「日本は常に中国と対立関係であらねばならない」――これがアメリカの東アジア戦略の要です。
そこで仕掛けたのが、石原慎太郎・東京都知事(当時)による「尖閣を東京都が購入する」という火種でした。石原氏をアメリカに招き、わざわざアメリカで「尖閣購入」の方針を発表させました。もちろん、石原氏が以前から尖閣購入を検討していたことを知っていたアメリカ側がうまく利用したわけです。
朝日新聞の本日12月21日付け朝刊に、丹羽宇一郎・前中国大使へのインタビュー記事(15面)が掲載されました。丹羽さんは、石原氏の発言を受けて野田首相が「国有化」を打ち出した時、「そんなことをすれば、日中関係は重大な危機に遭遇するだろう」と警告しました。それが反発を受けて、丹羽さんはいわば更迭されたのでした。当時、マスメディアは「更迭」をいわば当然と受け止めて、政府の措置に対する批判は全くありませんでした。
つまり、日中間の最も神経を使わなければならない問題に、政府が極めて鈍感であり、マスメディアもほとんど問題意識がなかったわけです。いずれもそろって「外交音痴」というべきでしょう。丹羽さんは、「いまさら、後だしジャンケンのように結論が出た後で、だから言ったじゃないですか、あのときはこうすれば良かった、などと言うことは、私の美学に反します」と語っています。
では、これからどうすればいいか。丹羽さんは「(尖閣諸島の領有権をめぐっては)外交上の係争があるのだから、、それについては認め、中国と話をせざるを得ないでしょう。だからといって相手の領土だと認めることにはなりません。日中両国は、戦略的互恵関係の構築で合意しました。オプションはいくつもあります。海難救助、漁業協定、資源開発。どういう分野で協力し合えるのかを考えるべきです。自国の利益にかなうからこそ、他国との協調があり得るのです」と。
さらに、「いま、日中間では青少年交流まで止まってしまっている。青少年交流こそが、氷を解かして両国の国民感情を改善させる契機になると確信しています」とも。
日中の友好関係を強めようと、多くの人が40年間、えいえいと努力してきました。石原氏とそれを受けた野田首相らは、その努力を一瞬にしておじゃんにしたのです。隣り合う国同士は、相手が気に入らないからと言って引っ越すわけにいきません。時には耐えがたきも耐え、忍びがたきも忍んで、ただひたすら友好関係の維持に努めるほかありません。
さて、26日に発足する安倍政権下で、日中関係は立て直せるでしょうか。アメリカは日中間がもめ続けることを望んでいます。