おはようございます。 生き生き箕面通信1470(121230)をお届けします。
・チベットの首都ラサは「巨大な刑務所」――人権蹂躙は世界規模へ
中国当局のチベット弾圧は、単なる人権蹂躙の段階を超え、チベット民族抹殺を実行に移し始めたようです。ダライ・ラマ法王の動静を伝え、中国からのチベットの解放を求める機関紙「チベット通信」が2012年冬号で、「ラサの街は巨大な刑務所になった。ライフル銃、こん棒、消火器を装備した10人以上の集団の警察隊がいたるところにいる」と、現地の状況を伝えています。
空港で危険物持ち込みを防ぐために行われるボディー・スキャナーが、ラサのいたるところに設置され、人々を監視する態勢が取られているそうです。こうした民族弾圧に抗議して、これまでに51人が焼身自殺した、と伝えています。中国当局の警察隊が消化器を常に装備しているのは、焼身自殺があれば直ちに駆けつけて消火するためなのです。
今年9月、中国共産党の機関紙、人民日報の編集長、徐懐譲氏が飛び降り自殺を図ったということにも触れています。徐氏はかつてインタビューに答え、「私の苦しみは、思っていることを言えず、言いたいことを書けず、書いても発表する場がないことだ」と語ったことを英国のBBCが伝えており、「これが自殺につながった可能性がある」と指摘しています。
中国当局のチベット人弾圧は、事実が世界に広がらないように各国のメディアに統制を押し付けつつ、ヒトラーのユダヤ人抹殺に匹敵する規模で進められているのです。
日本の大手メディアもご多分にもれず、朝日新聞も読売新聞も、そしてNHKも「黙して語らず」です。現地から情報が入ってきても、それを読者あるいは視聴者に伝える義務を放棄しています。これは、チベットでの中国当局による人権蹂躙のニュースを伝えると、中国当局から間髪をいれず、「抗議」がき、それでもニュースを伝え続けると、中国取材が規制されるからです。つまり、中国当局におもねらざるを得ない、中国当局に屈服せざるを得ないという状況です。本当はそれでも、事実を伝え続けることこそがジャーナリズムの本分のはずです。しかし、そんな気概はみじんもありません。日本のジャーナリズムの劣化は、腐臭を放つほどに腐っています。
一年の締めくくりの時期に、このような暗くおぞましい事実に触れなくてはならないのは、たまりません。しかし、中国で進んでいる民族弾圧は、来年は世界規模で広がるかもしれないという予感があります。地球人口70億人の時代を迎え、資源獲得競争が先鋭化し、新しい帝国主義がより鮮明に姿を現しはじめるのではないでしょうか。
来年も闘いは続きます。