カルテ番号 り・1(33)
院長は少し目を見開いて力石静を見た。
「力石さんは、そういう事がある方なのですか?
場面が見えるような・・・」
「いえ、少しだけです。
普段は見えません。
一昨日に感じた事が不思議だったので、久しぶりに集中してみました。
実はもう母方の祖母が、そういう能力があったようなのです。
知らない事を知る能力とでもいうのでしょうか。
失せ物探しとか、その人が陰で何をしているか、とか。
私も少しだけ、その血を引いているようです。
でも、知らない事を無理やり見てしまうと不幸になると教えてもらいました。
それを守らなかったから離婚してしまったのですけれど・・・
先生、人は見えない事を知ってはいけないのでしょうか?」
院長は少し考えているようだった。
「そうですねぇ・・・
例えば社会の中、という範囲に限定すれば、その通りです。
社会生活は、お互いが無知と秘密と勘違いで成り立っています。
ここに本当の事をその都度持ち出せば、トラブルになるでしょう。
何しろ、見えているのは当人だけです。
それに、力石さんも自分の秘密を勝手に見られたら嫌でしょう。
社会生活は、多くの人が集まっているのです」
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
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