水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1164」

2017-01-21 19:27:13 | Weblog



カルテ番号 り・1(32)

「先生、やっと判りました。
何故、柳さんがここに来るように言ったのか。
最初は治療なんて必要ない、って思っていたのです。
でも、ここは治療だけではないのですね。
道を示してくれる場所なのですね。
必要な人だけが訪れる場所なのですね」

院長は苦笑した。
「いいえ、それは違います。
私がアピールする能力が無いからなのです。
結果的に、必要な人しか来ないのです。
実に困ったものだ・・・
仕事は出来るのですが、その仕事が来ない。
多くの人は私を誤解しているのです。
私の無能力とはいえ、私が本当に困っていると信じてくれない」

そういう院長は少しも困ったように見えなかった。
だから、静はその言葉を無視して、院長に訊ねた。
「実は、ちょっと奇妙な光景が見えたのですが・・・
一昨日の夜に私の頭の中で見た光景です。
女性が三人と男性が一人。
とてもいい雰囲気だと感じました。
その女性の一人は柳さん。
男性は・・・多分、先生・・・」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1163」

2017-01-20 19:10:30 | Weblog



カルテ番号 り・1(31)

本当に地震が近く起きたとしても、どうする事もできない。
悔しいがその通りなのだ。
知らせる事は出来ても、信じてもらう事は出来ない。
それが避難を伴うようになるには、公がしなければならない。
その公には、もう何年も前から専門家が進言している。
だが、予知は難しい。
そして、基本的に行政は動きたがらない。

院長はそんな力石静を見つめて言った。
「力石さん、もう民間で対策に動いているところもあります。
先ほど言った柳さんの会社ともつながっています。
力石さんがそのつもりなら、そちらでも手伝えると思いますよ。
何よりも必要なのは、そういう思いを持った人なのです。
その思いがある人の働きは、とても有効なのです」

静は、また一つここに来た意味が納得できた。
導かれている。
祖母が導いていると、ふと感じた。
本当にしたい仕事がある。
この危機に対して、本当の仕事に出会えた。
あの不安感は、ここに通じる道だったのだ。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1162」

2017-01-19 19:37:14 | Weblog



カルテ番号 り・1(30)

静は院長の話し方から、何か知っているのではないか、と思った。
「私も地震かと思ったのですが、根拠はありません。
いえ、根拠はかなり以前から専門家の人達が言っていました。
でも、不安に感じるのがそうならば、もう近いということですよね。
それなら、多くの人達が暮らしているので、大惨事になります。
これ、どうしたらいいのでしょう?」

院長は静かに言った。
「力石さん、落ち着いて下さい。
もし地震が近く起きるとしても、どうにもなりません。
力石さんが言われるように、すでに専門家が指摘しています。
でも政府も行政も動きません。
一応の防災意識向上はしているのでしょうが、それでは防げません。
私や力石さんが何か言っても、誰も本気にしてくれません。
専門家以上の根拠がないからです」

「では、どうしたらいいのでしょう?
黙って見ているだけなのですか?
何もしないのですか?」
院長はゆっくりと、静かに言った。
「有効になる出来る事をするだけですね。
声を張り上げても、人々を動揺させた罪になるだけです。
それよりも、気づいた人が安全な場所に避難する事です。
そして、話が通る人、通常は身内から話してみる事です。
説得は無理です。気づいてもらうだけなのです。
その後の行動は、本人が負うべきものなのですよ」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1161」

2017-01-18 22:03:03 | Weblog



カルテ番号 り・1(29)

院長は先回りして言った。
「もし、こちらで暮らすつもりがあるなら、仕事もありますよ。
力石さんなら、柳さんの会社で雇ってくれると思います」
それを聞いて、静はこちらに引っ越すつもりになった。
柳玲香という女性は何をしているのか謎だった。
どうやら会社を経営しているか、同様の立場なのだろう。
そうでなければ、昼からゆっくり温泉に入っていられない。
どんな職種かわからないが、何でもするつもりだ。
もし同じ職場になれるなら、願うところだ。

静は答えた。
「私、こちらで住むかもしれません。
その時はよろしくお願いします。
ところで、私の不安感は、場所のせいなのでしょうか?」
院長は頷いた。
「力石さんは、薄々勘づいているのでしょう。
首都圏が不安な感じがするなら、答えは一つでしょう。
地震だと思います。
それも、かなり規模の大きいものになるかと思われます」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1160」

2017-01-17 18:55:40 | Weblog



カルテ番号 り・1(28)

院長の言っている意味がわかる。
多分、そうなのだ。
私は柳玲香さんとの縁をつかんだのだと思う。
それが、この先、どう展開するのかはわからない。
でも、きっと分かれ道だった。
その時、行く方向に人が見えた。
その人の縁をつかんで、道を一歩踏み出せたのだと感じている。

院長はゆっくりと訊いた。
「それで、力石さんはどうしたいのですか?」
静はしばらく考えた。
「どうしたいのか、わかりません。
ただ、今まで固執してきた会社は辞めていいと思っています。
住んでいたアパートも、正直言えば帰りたくないです。
会社に対しても、同じような思いがあります。
会社や仕事はいいのですが・・・
その場所には行きたくない、という感じです」

院長はアッサリと言った。
「それなら、こちらで暮らしてみたらどうでしょう」
静は戸惑った。
実は、こちらで暮らしてみるのも心にあった。
だが、実際問題として、仕事はどうする?
まだまだ収入が必要なのだ。
この年齢からの就職は難しいと知っている。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1159」

2017-01-16 19:16:17 | Weblog



カルテ番号 り・1(27)

気功をするのではなく、止めている。
それも想像外だった。
どうやら静が知っている気功とはかなり違うようだ。
院長は話を続けた。
「この治療院は止めておく必要がないので、私は解放しています。
だから、この中にいるだけで影響はあります。
その影響による反応は、人により違う事があります。
力石さんは、氣を深いところでとらえられる人のようですね」

褒められたのだろうか?
とにかく、静は話の続きをした。
「あの柳玲香さんが、私には大きな関わりになるような気がしました。
大げさでなく、運命の人、と思えました。
何とか親しくなりたい。
そうしたら、先生の事を紹介されたのです。
ですから、私は治療とか、気功とかわからないままです。
柳玲香さんが言ったから、来てみました」

院長は微笑んだ。
「人と人の縁は、面白いものですねぇ。
でも、誰しもが縁をつかめるわけではありません。
本当は重要な縁であっても、その縁をつかむのは本人です。
自然とつながるわけではないのです。
その点で、力石さんはしっかりとつかんだのですね。
縁により大きな違いが出ますが、たった一歩の違いだけなのです。
その第一歩だけが、大きな分かれ道なのですよ」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1158」

2017-01-15 20:23:12 | Weblog



カルテ番号 り・1(26)

話しているうちに静は不思議な感覚になってきた。
頭がクリアになる、というのではない。
もっと深いところからの何かがしっかりとしてきている。
自信・・・自分を信じる力・・・
「先生、あの・・・変な質問ですが・・・
今、こうして話しているだけでも、気功ってしているのですか?」

院長は静を見つめて言った。
「何故、そう思ったのですか?
何か、感じたのですか?」
質問に答えてくれてはいないが、やはりそうなのだ。
「はい。
といっても、私が想像していた気功とは違いました。
私の中の、深いところにあるもの、それが何かわかりません。
それが、しっかりと目覚めてきたような気がしています」

院長は言った。
「私が意識して気功をする事は当然あります。
でも、そうでなくても、常に出ている部分もあります。
通常、人前では気功をするのでなく、気功をしないようにしているのです。
例えば、電車の中とか、不特定多数のいる空間とか、ですね。
私は、外では気功をしないように意識しているのです。
そうでないと、漏れてしまう部分があり、影響する人がいるからです」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1157」

2017-01-14 22:15:13 | Weblog



カルテ番号 り・1(25)

「それでも、何らかの理由でこちらに来られたのですよね。
住所は神奈川県ですね」
静は、どう説明しようかと迷った。
でも、昨日の柳玲香の言葉を思い出した。
正直に何でも言った方がいい、とアドバイスくれていたのだ。
「一週間ほど前に、急に不安感がありました。
その後、家から外に出るのが怖いと思いました。
思い切って受診した病院では、うつ病と言われました。
でも、私には、そう思えなかったのです」

院長は黙って聞いている。
「仕事上や人間関係でのストレスは溜まっていません。
それよりも、漠然とした土地からの不安感でした。
こちらに向かうにしたがって、その不安感は少なくなったのです。
今は全くありません。
思い返せば、こちらに来るために不安感が起こったような気がします。
わかりませんが・・・例えば、導かれる必要があったのかと」

院長はそのまま黙っている。
「実は一昨日、ここを通りました。
この奥の露天風呂の帰り道でした。
急に不安感とは全く逆の、期待感とでもいうドキドキがありました。
そして、昨日、柳玲香さんと出会った時、どうしても知り合いになりたかった。
遥か昔の青春時代の気持ちのようでした。
男性ではありませんから、恋愛感情とは別ですけれど」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1156」

2017-01-13 19:48:22 | Weblog



カルテ番号 り・1(24)

「ごめんください、予約した力石です」
「どうぞ、上がって下さい」
院長は40代の普通の人だった。
癖というかアクというかが感じられない。
気功ときいていたので、少し拍子抜けだ。
特殊な能力があるようにはみえない。

イスに座って、簡単な記入事項を書いた。
「実は昨日、柳玲香さんから紹介されました。
詳しい事が全くわからないのですが、どうすればいいのでしょう」
院長は微笑んで言った。
「柳さんの紹介でしたか。
なるほど・・・
それで、力石さんは、何か困っているわけですか?」

普通、治療院に来るのだから、何らかの病を抱えている前提だろう。
それが、そういう扱いではない。
病気を持っていると思っていないようだ。
もっとも、静も病気だとは思っていない。
「あの・・・私、病気ですか?」
「いいえ、私には病があるとは感じられません」
何も診ていないのに、院長は即座に言った。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1155」

2017-01-12 19:44:28 | Weblog



カルテ番号 り・1(23)

静はその言葉の意味もわからず、曖昧に頷いた。
それにしても、柳玲香という女性は不思議な感じがした。
自分よりもかなり年下のはずなのに、頼ってしまいたい年上に思えた。
この温泉場も、振り返ってみると、自分を待っていたかのようだった。
お互いの携帯番号を教え合い、治療院の印象を後日知らせる約束をした。
先が見えないのに、不安は無かった。
つい一週間前の外にも出られないような不安感はどこにいったのだろう。

その日のうちに治療院に電話をして、明日の予約をとった。
電話に出た院長の印象は、特に何も感じなかった。
それよりも、今日知り合った柳玲香という女性が気になっていた。
今度は、もっと訊いてみよう。
どんな仕事をしているのか?
どんな立場でいるのか?

次の日、教えられた治療院に向かった。
力石静の泊まっているビジネスホテルから30分ほどだった。
やはり、一昨日の野天風呂の帰り道に感じた処のような気がした。
その時は気づかなかったが、錆びついた看板があった。
目立たない。
これでは、普段は見過ごしてしまうだろう。
それに、こんな山の中で・・・

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