水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・388」

2014-11-10 19:07:23 | Weblog



カルテ番号 の・7(21)

野上香織は、その言葉を聞いた瞬間から涙が出てきた。
しかも、どんどん出てきて止まらない。
感動したわけでもなく、もちろん悲しいわけでもない。
ついに、声も出てきてしまった。
でも、恥ずかしいとも思えない。
なんて、気持ちのいい涙だろう。
こんな涙は初めてだ。

院長は立ち上がると、ティッシュを箱ごと持ってきてくれた。
「あ、り、がとうございます・・・」
涙も鼻汁も出て、かむのは少し恥ずかしかった。
しばらく、わんわんと泣いた。
「どうして涙が出てきたのでしょう?
こんなの初めてです・・・」
院長はアッサリと言った。
「よくあることです」
ここでは、よくあることなのだろうか?

野上香織は泣くという事はほとんどない。
悲しい事、辛い事はある。涙も出る。
だが、泣くというほどではなかった。
それが、たっぷり泣いた。
しかも人前で泣いた。
感情が感じられない涙であり、ただ泣くという行為だった。
とても、不思議な気がした。


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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・387」

2014-11-09 18:49:12 | Weblog



カルテ番号 の・7(20)

院長は、そんな野上香織の表情を見て、説明してくれた。
「アナログというのは、順序よく変化する事です。
1から2、3、4というように変わります。
デジタルというのは、1から80にイキナリ変わります。
1と80はつながっていない変化をします。
身体と意識は少しずつ変わりますが、心は急に変化します。
例えば、直前までいい気持ちだったのが、急に怒りが湧くとかです」

その説明なら、納得できる。
心はとても気まぐれで動く事は、自分でも解る。
「本来なら、時と共に少しずつ変化するのが自然です。
ところが、心は急な変化もしますが、動かなくなることもあります。
こだわり、という心は、無理やりブレーキをかけている状態です。
でも、時が経つほど、ブレーキが重くなってしまうのですねぇ」

そこで院長はニコッと笑った。
「先ほどの野上さんが言った言葉。
素直な気持ちは、変わりたい、と気づいた、の言葉ですね。
それが、懸命に力を入れて踏んでいたブレーキから、足を抜いた瞬間です。
懸命に握りしめていた手を、開いた瞬間です。
私も、人の、そういう瞬間に立ち会いたくて、この仕事をしているようなものです。
とても、いいものを見せてもらいましたよ」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・386」

2014-11-08 18:47:37 | Weblog



カルテ番号 の・7(19)

野上香織は、これがこの院長の話し方だと理解した。
一見、何を話しているのか、意味が解らない。
ところが、後で意味がつながる。
順番通りに話していないから、その時は別な話かと思ってしまう。
きっと、これも私の言葉につながるのだろう。

「人間はせいぜい100年くらいしか時を認知できません。
だから、岩が変わっていく様子は解らない。
例えば水晶は100万年で1ミリ成長を続けています。
でも、大きくなっているとは思えない。
変わっているとは思えないのです。
人間の尺度の時の速度とは違いますから。
同じような意味で、心の変化も認知できない事があります」

院長は一息ついてから、話し出した。
「身体も当然変化しています。
身体の奥に意識があります。
意識の表面に心があります。
身体が変わると、意識も変化しているのですが、表面には心があります。
その心の変化は身体や意識とは別の仕組みで変化します。
そうですね、例えば、身体と意識がアナログの変化。
心はデジタルの変化となります」
例えが、ますます、解らない、と野上香織は思った。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・385」

2014-11-07 19:33:47 | Weblog



カルテ番号 の・7(18)

野上香織は少し考えてから、目を瞑ったまま話し出した。
「先生が、変わらなくていい、と。
その時、そんな事は大した問題じゃない。
個性の一つだ、というように聞こえたのです。
そしたら、急に息が楽になって、気持ちが軽くなりました。
私が変なのだから、いつか、治さなければならない。
それは怖いけれど、変わらなければいけない。
普通にならなければ、いけない。
それが、そんな事は、どっちだっていい、と思えたのです」

院長は黙って聞いている。
「そうしたら、心が楽になったら、私のなりたい事が浮かび上がったのです。
先生が最初に、私にこう言った、ですよね。
野上さんは、何を望んでいますか?と。
その言葉もひっかかっていたのですが、それが急に解ったのです。
何で、先生が、そういう事を訊いていたのか、その時は解らなかった。
私、変わりたい。
それまでの、変わらなければならない、ではなく、変わりたい。
それが、私の素直な気持ちだったのです」

院長は少し微笑んだようだった。
「少し、めんどうくさい話をしますね。
人も、動物も、この世のあらゆるものが、常に変わっているのです。
どう変わるのかは、ともかく、としておいて下さい。
この世は物質と時という条件の下で存在しています。
時、とは、変わる、という意味なんです。
ですから、変わらない物質なんて、一つもありません。
ですが、矛盾していますが、一時的に変わらないモノがあります。
マクロの目で見れば変わっているのですがね。
でも、人間からは変わらないと思えるモノがあります」


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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・384」

2014-11-06 17:59:57 | Weblog



カルテ番号 の・7(17)

人の感情は、その時の妙なる何かで別な方向に行く時がある。
同じ人、同じ言葉で、素直に従う時もあれば、へそ曲がりの時がある。
全く逆方向なのだが、どうしてそうなるかというと、妙なる風としかいいようがない。
この時の野上香織がそうだった。
院長に変わらなくていい、と言われると、何としても変えたいと思った。
迷っていた心が決まったのだ。

心が決まると、心は落ち着く。
息が、ふっと楽になった。
力みが消えたのだ。
心が落ち着くと、心が優しく温かくなるのがわかる。
何故、あんなに恐れていたのだろう。
恐れは、男の人ではなく、自分の感情の方にあったのだ。
温かくなった感情で、恐れが萎んでいくのが判る。
まだ、消えたわけではないが、無理せず越えていける自信がある。

「先生、私、今日ここに来た意味が解る気がします。
何で来たのか、実はわからなかったのですよ。
説明は出来ないのですが、解るのです。
こういう瞬間を自覚できるのですねぇ。
とても、不思議、で、す」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・383」

2014-11-05 19:14:16 | Weblog



カルテ番号 の・7(16)

「先生、避けなくてもいい方法とか、あるのですか?」
「もちろん、ありますよ。
それも、幾つもの方法があります。
どんなことでも、方法なんて幾つもあるものです。
その中から、自分好みの方法をすればいいのです。
たいていは、固定概念で、選択肢を狭くしてしまっています。
だから、無理を重ねて克服しようとする、あるいは諦める」

本当に無理をしないで変われるのだろうか。
何かを変えようとすると、努力や我慢が必要になる。
変わりたいけれど、克服する元気はない。
野上香織の心は迷っていた。

院長は相変わらず、ゆっくりと話してくれている。
手も頭の上に浮かせたままだ。
「無理しなくても変えられますが、変えなくてもいいのですよ。
人の生き方は、他の生き方を邪魔しなければ自由です。
生き方は、その人の趣味です。
正しい生き方というのが、あるとすれば、生命を大切にする、ことだけでしょ。
野上さんが、男の人と一生接触しなくても、何の問題もありません」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・382」

2014-11-04 19:38:53 | Weblog



カルテ番号 の・7(15)

「本来、生命力が増すはずが、人により低下してしまう。
低下する理由はいくつかありますが、大部分は心の受け止め方になります。
その時、感覚として、嫌だ、苦しい、痛い、重い、などを感じます。
こういうネガティブな感覚は、生命力が低下するサインだと思って下さい。
難しく考えないで、嫌なことはとりあえず避けておきましょう」
野上香織は、今まで、そうして避けてきた。
だが、避けるだけでは行き詰まってしまう。

院長はそんな心を読んだわけではないだろうが、話しを続けた。
「嫌なことを避ける、逃げるのは間違いではありません。
が、自由度が狭くなってしまいます。
それが食べ物なら、その食材が出たら食べられない。
場所や人なら、一々避けて暮らさなければならない。
メンドウですね。
生命力は自由度が広いほど、深いほど活性する仕組みでもあります。
結局、そのままだと何となく元気が無くなってしまいます。
もちろん、元気の無い生き方も自由ですから、本人が納得しているのならいいのです」

それは野上香織も日頃感じていた。
もっと気楽に人と会えたり、話したりできれば楽なのに。
ほとんどの所に男の人がいる。
しかも、話しかけられたりする。
病院なども、触られるのが苦痛で行けないのだ。
とても、不自由だと思う。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・381」

2014-11-03 19:49:13 | Weblog



カルテ番号 の・7(14)

「生物は同種類と触れ合うと、生命力が活性するように創られているようです。
特に一定の体温を維持する機能をもった生物、人間や猫や鳥などですね。
それらを恒温動物といいますが、同じ体温が近くだと安心するようです」
野上香織はそれに反論した。
「私はとても不安になり、生命力は落ちてしまいます。
人によってではないのですか?」

院長はあっさりと言った。
「そういうことも、ありますね」
いや、今言った事と違うではないか。
「私が言ったのは、基本的な生命力の特徴です。
ところが、生物は意識というのがあるのです。
特に人間は意識、心といっていいでしょう、が複雑なのです。
私的にいうと、複雑というのは、歪んでいるという意味ですが・・・」

院長は少し笑って話を続けた。
「単純、というのは、自然体というふうに思っていいですよ。
もっとも、こういう言い回しをする私は、かなり歪んでいる証拠ですねぇ」
結構、この院長は面白いのかもしれない。
真面目に話してくれているが、決して重くはない。
つられて、野上香織も微笑んだ

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・380」

2014-11-02 19:24:33 | Weblog



カルテ番号 の・7(13)

院長は頭の近くに座り、頭から顔の上に手を浮かせている。
そして、ゆっくり、穏やかに話しかけた。
「何でも訊いて下さいね。気功の事、身体の事、そのた諸々。
答えられる事なら、答えます。
ただし、私の言う事が正しいわけではありません。
こういう考え方もあるのか、というように受け止めて下さい。
野上さんは、何かを知りたい、あるいは、何かを変えたいから、ここに来たと思います。
遠慮せず、何でも、訊いてみて下さい」

野上香織は、院長の手から、あきらかに温かい何かを感じていた。
「これが気功ですか?温かく感じます」
「気功といっても、人により様々ですから、全く別の感じ方もあります。
もちろん、目に見えないモノをアピールする多くの場合は、インチキが含まれていますよ。
それは、例えば言葉を売り物にしている政治家や宗教などもね。
決してお奨めできない気功も、かなりあります。
判断は、自身の感覚、あるいは、勘のようなものでする方がいいですね。
最近のネットなどの評判は、作られた意図が多くて、信用できませんよ。
特に、生命に関することは、自分の感覚を優先して下さい」

野上香織はその言葉で、この院長の正直さを感じた。
「あの~・・・、先ほど、出来るだけ触るようにしています、と先生は言いました。
触らなくてもいいのに、どうして触るのでしょう?」
触られるのが苦痛な野上香織にとって、その言葉が疑問だった。
「人は、触られる方が、安心するからです」
「どうしてですか?私は苦痛ですから、それは人によってではないのですか?」
院長は、更に、言葉を選びながら、ゆっくりと話してくれた。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・379」

2014-11-01 18:57:53 | Weblog



カルテ番号 の・7(12)

イスに座って、簡単な記入事項を書いた。
さぁ、どう切り出そうか?
「あの~・・・。私の友人が先日ここを見つけて教えてくれたのです」
「そうですか。それで、野上さんは何をご希望なのですか?
特に、肉体上の悩みは無いようですが、相談事でしょうか?」
そうか、ここは悩み事相談や、カウンセリングもしているようだ。

「真剣に困った事はありませんが・・・そうですよね。
私、何しにここに来ているのでしょう?」
院長は優しく笑った。
「誰でも悩みの無い人はいませんが、悩みが大きくなければ正常の範囲ですね。
でも、何となくスッキリしない場合もありますね。
そのスッキリしない事が、次第に重く感じる場合もあります。
ここは、身体であれ、心であれ、原因不明でかまわないのですよ。
原因を探る事もしませんから、原因をいじることもありません。
ただ、気功を受けて、話したい事があれば聞きますし、訊きたい事があれば話します」

話しながら出来るので、マットに寝てくれという。
ここで、やはり話さなければならない。
「あの~・・・実は、私、男の人に身体を触られるのが苦手です。
身体に触ったりしますか?」
「普段は触るようにしていますが、もちろん一切触れないで出来ますよ」
それを聞いて、安心した。
「私、整体とかマッサージも、とても苦痛になってしまいます。
気功は初めてですが、それでお願いします」
「はい」


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