カルテ番号 あ・28 ６度目（11）
その数日後、愛田恵子から再び電話があった。
「センセー、事の顛末～」
いつもながら、突然の内容だ。
どうやら、事の始まりのスペインの外交官の話らしい。
「アタシとしたことが、間抜けな結果だったわ」
どうやら愛田恵子は独自の情報網があるらしい。
もちろん、余計な詮索をされないように注意している。
そこで、例の外交官が来日したかどうか、調べたようだ。
相手側にも知られないように、３ヶ月経ってから、こっそりと調べた。
来日していた。
そして、すでに、強制帰国させられていた。
「あのね、実は外交官じゃなかったの」
「勘違い？」
「天才的詐欺師」
「愛田さん、騙されていたというわけ？」
さすがに恥ずかしげに言った。
「まぁ、そういうことになるかな。
アタシが見抜けなかったくらいだから。
なんと日本人女性、８人がカモになっていたんだって。
ヨーロッパに旅行に来ている金持ちの女性と親しくなる。
そして、日本でまとめて詐欺をする予定だったらしいわ。
何しろ、日本だと国際詐欺は、やりやすい国だから」
毎日が男の嘘に溢れている職場にいるくせに、ひっかかったわけだ。
それは、さすがに恥ずかしくもなるわな。
「雰囲気が坂本様に似ていた、というのも仕掛けだったのよ。
他の女性には、いかにも色男風やタフガイ風など使い分けていたの。
アタシの弱点とはいえ、アタシもまだまだ修行が足りないわぁ」
そういって、愛田恵子は豪快に笑って電話を切った。
まぁ、何はともあれ、とりあえず団円ということで・・・
（登場する人物・組織・その他はフィックションです）
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