カルテ番号 あ・28 ６度目（6）
目的はわからないが、スパイが単純に一個人に近づくはずがない。
「電話番号はともかく、お店の場所とかも教えたのですか？」
「いいえ、電話番号だけ。
でもアタシがお店のオーナーをしている事は話しちゃった」
風間陽水は少し考えた。
「電話番号を変えるのは、できますか？
連絡不能にするのです。
それでも、お店に顔を出したら油断できない事態ということになります」
「わかったわ。とにかくやってみるね」
愛田恵子は東京にとんぼ返りした。
そして、数日後、新しい番号で連絡があった。
「センセー、今、アタシどこだと思う？」
「国内ですね」
「北海道」
「おやおや。それで、スペインの彼氏はどうなりました？」
「知らないわよ。メンドウは嫌だから、３ヶ月の休暇。
それに、彼氏じゃないからね」
愛田恵子は明るい声だった。
風間陽水と同じで、いつまでもネガティブな思いでいられない。
「店はチイママに任せて、この際だから、国内ドライブ。
車だと人に会うのも少なくてすむし。
まだまだ、アタシの行った事のない土地は沢山あるし。
北海道から順に南下してみるね。
時々、お土産を送るよ」
（登場する人物・組織・その他はフィックションです）
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