水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・398」

2014-11-20 19:16:41 | Weblog



カルテ番号 あ・28 6度目(5)

「愛田さん、最初から目をつけられていた可能性は?」
さすがに真剣な表情になる。
もし、長寿族として愛田さんに近づいたとしたら、現代では逃げられない。
ほぼ間違いなく拉致され、実験動物にされるだろう。
そして、それはすでに以前から日本で調べられていたということだ。
スペインの外交官でも、スペインの組織ではないだろう。
その実態はイギリス、ロシア、フランス、米国かもしれない。

愛田恵子のクラブは、日本の政界財のトップが来るから、ある意味安全でもあった。
少しの注意ですむ。
昔からある政界財が利用するクラブだ。
政界財の秘密を探ろうとはするだろうが、長寿の秘密は別世界だと思うだろう。
だが、最初から日本の長寿族を研究していたとすれば、わからない。
立場や姿を変えていたとはいえ、愛田恵子の写真は明治時代から数枚はあるだろう。

「政界財の秘密を探ろうとする人達の巣みたいな店でしょ。
アタシや店の従業員に近づく人達も多いのよ。
でも、それらは通常の対応でいい。
教育は徹底している、ってことは知られている。
だから、安心して利用してくれている。
長寿に関して近づく人は異質だから、かえって判りやすいの。
それに、そういう勘は戦前から働く方なのよ」

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)


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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・397」

2014-11-19 19:07:26 | Weblog



カルテ番号 あ・28 6度目(4)

その男性が日本に来る、という。
「別にいいじゃないですか。
何か問題でも?」
愛田恵子は勢いよく、
「問題アリよ。大アリクイよ」と下手なダジャレで答えた。
そして顔をしかめて、
「彼、実は外交官だったのよ。
それも、正体隠していたから・・・」

外交官は2種類いる。
正式の政府からの外交をする公務員が表。
そして、外交という秘密が付きものを利用した裏の外交官。
どの国でもそうだが、いわゆるスパイというやつだ。
しかも、このスパイという業界が複雑だ。
単純にその国の政府からの意向に沿っているわけではない。
同じ国でも組織が複数あり、独立し、対抗し、反対の立場さえある。
しかも、他の国の機関と片手でナイフを持ちながら、笑顔で提携することもある。
そして、そのバックは必ずしも国とは限らない。

風間陽水や愛田恵子が気をつけなければならない相手なのだ。
長寿の秘密を握れば、それはとてつもなく大きなカードとなる。
国やある闇の組織であっても、所詮人間なのだ。
しかも、権力、財力がある代表格は、高齢者だし、いずれ誰もが高齢者だ。
巨新型兵器などの殺戮情報よりも、実は長寿に関する情報が上なのだ。
とぼけて暮らしているが、要所は気を配っていなければならない。
それは、お互い別々ではあるが、各地にそっと暮らしている長寿族の務めでもある。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・396」

2014-11-18 19:10:35 | Weblog



カルテ番号 あ・28 6度目(3)

愛田恵子はスペインで知り合った男性がいた。
「その雰囲気が、ちょっと坂本様に似ていたのよ」
坂本龍馬の事だ。
寺田屋の女将、お登勢の時だった。
お登勢は死んだ亭主のあとを継いでいた。
そして、かなり年下の龍馬を秘めた思いで慕い、応援していた。
龍馬の妻となったお竜は、お登勢の養女でもある。

風間陽水は、またも、ははは、と笑った。
「愛田さんの弱点はそれですね・・・
龍馬似には、無条件で魅かれてしまう」
愛田恵子も、ははは、と笑った。
「しょうがないじゃない。
まだ普通の女だった頃の、秘めた想いは消えないのよ」

長寿族として発動する46歳前は、普通の人間なのだ。
いや、今も普通の人間なのだが、人並み外れて長生きをしてしまう。
すると、その時々の感情、心がいかに儚いものか身に染みてしまう。
恋心というような感情は、僅かしか持てなくなってしまう。
心は変わるし、忘れてしまうものなのだ。
それは、今の風間陽水も同じだ。
心はあてにならないと、知っている。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・395」

2014-11-17 19:03:19 | Weblog



カルテ番号 あ・28 6度目(2)

「これ、お土産」
そういって渡してくれたのは、何ともカラフルは牛の置物。
「先週、スペインに行ってたの」
愛田恵子は気まぐれに出かけるのは国内ばかりではない。
「ありがとう。でも嬉しいのは現金なんだ」
普段は誰にも言わない言葉だが、愛田恵子には言う。
「ダメよ、それくらいは、苦労しなけりゃ。
他の悩みなんて無いでしょ」

そうなのだ。
風間陽水の弱点は貧乏なのだ。
どうしても、収入を得る為の努力ができない。
上手く、やりくりもできない。
愛田恵子が軽々と多くの収入を得ているが、それは才能だ。
風間陽水は、それとは逆に、常人よりもその才がかなり低いようだ。
陽水を知る多くの人が、好きで世俗を離れた生き方をしていると勘違いする。
だが、決して仙人的な生活を望んでいるわけではない。

風間陽水は、ははは、と苦笑いした。
「ところで愛田さん、あの電話はどうしたのですか?
困っているような感じでしたが・・・」
愛田恵子は、思い出したように顔を曇らせた。
「そうなのよ。ちょっと困ったというか、悩みというか」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・394」

2014-11-16 18:30:22 | Weblog



カルテ番号 あ・28 6度目(1)

「センセ~、どうしよ~」
いつもなら、テンションが高いはずの愛田恵子が沈んだ声で電話してきた。
愛田恵子は陽水より120歳ほど年上だ。
現在は銀座のクラブのオーナーママをしている。
陽水と同じ長寿族で、偶然出会った。
発動(46歳)前は幕末の京都伏見寺田屋でお登勢という名前だった。
今は、変わった名物ママとして、気ままに過ごしている。
あるいは、気ままに過ごしている役を演じている。

「愛田さん、どうしました?」
「あ!そうだった。温泉に行くからね~」
と、突然電話を切った。
これでは、全く何の事かもわからない。
この人は、いつも突然、騒がしてくれる。
とはいえ、伊達に180年も生きてきたのではない。
幕末から幾度もの戦争を体験してきているのだ。

数時間後、風間陽水の治療院に愛田恵子が顔を出した。
いつもの愛田恵子の車ではない。
レンタカーだった。
「センセー、元気~」
いつものテンションの高さで、玄関から声をかけてきた。
あの電話は何だったんだ?

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・393」

2014-11-15 18:32:57 | Weblog



カルテ番号 の・7(26)

もっと話したかったが、予定の時間となった。
また次回を予約して、もっと変わっていきたい。
帰り道、治療院を教えてくれた彼女にお土産を買った。
きっと、気にかけているだろう。
そこで、とりあえず電話報告をすることにした。

「とても電話で簡単に話せないけど、ありがとう。
私、自分で自分の変わる瞬間に出会えたわ。
何だかわからないけど、とにかく楽になったわ」
その声を聞いた彼女が
「香織さん、まるで別人の声みたい。
10歳くらい若くなった声よ。
ぜひ、詳しい話を聞かせてね」と言った。

野上香織は、運転していても、実際に視界が明るく感じていた。
これから、もっと変われる。
明るく、楽しく変われるのがわかる。
先日までの将来の不安が、とても小さくなったと思う。
簡単に乗り越えて、次の世界に行ける自信がある。
次に訪れたら、どんな風になるのか、とても楽しみだ。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・392」

2014-11-14 19:10:20 | Weblog



カルテ番号 の・7(25)

院長はゆっくりと、手を移動した。
内臓が動き、お腹がすいた時のような音を出す。
「先ほども言いましたが、野上さんは正常なのですよ。
嫌なことは嫌だと、自然体でいいのです。
どちらも、自由に選べるのですよ。
決して、反動で逆痴漢などしないように」

野上香織は笑った。
「大丈夫です。
心配して下さるのはありがたいですが、私、結婚、離婚経験者ですから。
初心な女の子とは違います。
それに、男性にオドオドとしていた分、慎重に見る目も養いました。
今も、多分、先生だから安心できるのだと思っています」

院長も笑った。
「まぁ、ゆっくりと、楽な方に変わればいいです。
生きていれば、いろいろ、あるものです。
前に進めない壁もありますが、探し、叩いてみれば開かれる事も多いのです。
壁だと勘違いしている事は、もっとも多いですしね。
実際は薄紙一枚に絵が描いてあるだけ、なんて事ですよ。
その絵は、ほとんどが自分が描いたものなのですが・・・」


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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・391」

2014-11-13 19:07:09 | Weblog



カルテ番号 の・7(24)

「先生、身体に触れてもらっていいですか?」
自然に言えた。
「はい」
そして、身体の横に来て、腹部にそっと手を触れた。
温かい。
触れてなくても温かさは感じるが、そんなものではない。

「先生の手、カイロみたい」
「よく言われます。
どうですか?大丈夫ですか?」
野上香織はにっこりと笑った。
「最初から嫌だ、なんて言わずに触ってもらえばよかった。
なんだが、損したわ。」

とても、安心できる。
触れてもらうのが、恥ずかしいほど嬉しい。
今まで、どうして、あんなに嫌っていたのだろう。
「でもね、野上さん、相性というのがありますから。
誰でもいいわけじゃないですから。
気の波長が合わない人からは、やはり嫌なのが正常ですからね」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・390」

2014-11-12 19:21:08 | Weblog



カルテ番号 の・7(23)

親にも誰にも話せなかった事だが、話してスッキリしたのではない。
院長が言ったように、もう解放されたから話せたのだ。
無理に思い出したわけでもなく、決心して話したわけでもない。
普通に、何でも無く、力みなく、話せた。
そうか、こんな話し方もあったのか。

院長はゆっくり言葉をつなげていった。
「原因は一つではなく、幾つも絡み合っているのかもしれません。
でも、原因は過去です。
重要なのは、現在、そして、未来です。
原因を乗り越えなければ先が無い、なんてありません。
過去はどうであっても、未来は自由です。
過去と未来は、生き方として、それほど束縛されていません。
野上さんが、望むように歩いていけばいいだけです」

確かにそうだ。
子供の時だけでなく、恋人との別れ、結婚生活の破綻。
その他にもあるのかもしれない。
でも、どうでもいい。
過去は過ぎ去ったのに、自分でとらわれていた。
大切なのは、これからだ。


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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・389」

2014-11-11 18:47:26 | Weblog



カルテ番号 の・7(22)

軽くなった。
身体だか心だか知らない。
とにかく、軽くなったことが判る。
「先生、少し話を聞いて下さい」
考えて口に出したわけでなく、勝手にそう言っていた。

院長は黙ってうなずいていた。
「誰にも話していなかったことです。
ほとんど、忘れていたことです。
私、小学生の頃、いたずらされた事があります。
それが誰だか、覚えていません。
大人の人でした」
口が勝手に話し出して、野上香織は、やっと解った。
自分の男の人への恐怖は、これが原因だったのだ。
記憶にはあったが、忘れているくらいの事だった。

「今、解りました。
その事が原因だったのですね」
院長は少し困ったような顔をして、
「そうかもしれませんねぇ」と言った。
そして、少し考えてから、また言った。
「その時は怖かったのでしょうね。
でも、今は、もう恐怖は無いと思いますよ。
単なる事実として思い出したようですから、大丈夫です。
野上さんは、もうすっかり解放されたようですよ」

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