水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・100」

2014-01-25 19:14:41 | Weblog



カルテ番号 け・9(3)

物資不足の敗戦直後、見城弘子は小さな雑貨屋を開いた。
問屋などほとんどない頃だ。
自分で民家、農家を訪ねて売ってくれる物を探した。
物々交換もした。そうして、少しずつ品数を増やしていったのだ。
何もかも不足の時代だ。何もかもが商売になった。
幸いにも夫は2年後に無事で帰ってきた。
戦時中に結婚式だけした夫婦だった。
夫は23歳、弘子は18歳の時だった。

夫は身体が丈夫だが、大人しくて社交的ではなく、商売向きではなかった。
弘子は社交的であり気も強く、朝から夜中までクルクルと働いた。
子供も娘ばかり3人生まれ、今は長女が婿養子を迎えて店を切り回している。
5歳上の夫も、今なお元気でいる。
いろいろあったが、今は悠々自適の生活といっていいだろう。
そんな半生を風間陽水に語って聞かせた。

「一所懸命にしてきたことが実を結んでいるのですね。
ところで、12年前に何かあったのではないのですか?」
見城弘子は脳梗塞の原因を誰にも話していなかった。
夫は知っているが、夫は誰にも話さない。
やっと、話してもいい相手が来た、と思った。
本当は話したかったのだ。


(登場する人物・組織・その他はフィックションです)


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