「里山資本主義」により、地域の負を地域内で正に変える仕組みを紹介された藻谷さんですが、現代に日本の地域のお荷物と考えられている、「商店街」、「限界集落」、「農業」、「医療」、「赤字鉄道」、「宅地開発」や、今後の日本の成長を担う「観光地」について、識者と対談されています。
現代では「経済合理性」のものさしでしか判断しないため、「負」は「負」でしかありえず、ものさしを多様に、もしくは「経済合理性」だけでなくもう一つのものさしを加えた、二元共存の考えを指し示しています。
特に、「赤字鉄道」に関して、道路の維持管理は行政の負担で行っていますが、公共交通である鉄道は「私」の運営としか認識していないことが誤りであり、「イコール・フィッティング」という、自動車、バス、道路、鉄道のすべてを競争条件を揃えて判断する視点を教えてもらいました。道路は延長するが、その維持管理は永遠に続くことを考えれば、まちのコンパクトシティ化を推進し、道路への予算(上下水道も含まれます)を減額できれば、鉄道は維持でき、鉄道は観光にも活用できます。
現代社会、特に経済においては二元競争、ONE or ZERO ですが、禅の考え方である二元共存の思考を常に念頭に置かなければ、一極集中がますます進み、地方は原野に成り下がります。
『藻谷浩介対話集 しなやかな日本列島のつくりかた』(藻谷浩介著、新潮社、本体価格1,200円)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます