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まるごと畑喜美夫

2014-08-02 14:38:44 | 

 畑先生のことは雑誌で読んだ記憶がありましたが、この本で彼の人材育成の取り組みがよく理解できました。

 1965年広島市生まれの畑氏は、小学生では広島大河フットボールクラブに入部、浜本監督の指導の下、サッカーに打ち込み、高校は静岡県の東海大学第一高等学校へサッカー留学。高校3年時にU-17二本代表に選出され、順天堂大学でもU-20日本代表、ソウルオリンピックの代表候補になりながら、腰椎ヘルニアを発症し、辞退しました。大学4年生時には、全日本大学サッカートーナメント、インカレに全国制覇を達成するも、腰の状態が改善されず、プロの道は断念し、教師の道を目指しました。

 広島県立廿日市西高校から始まった教諭・サッカー部監督は、1997年に広島観音高校に赴任時に大きく変貌しました。大河FCで学んだ浜本監督の指導法をベースに、選手主導のボトムアップ指導法を確立し、2006年に県総体に優勝し、インターハイは初出場初優勝に導きました。公立高校でスカウトなし、スパルタ指導もない、ボトムアップが開花しました。

 選手が自主性・主体性を持ちながら、考えて創造してやっていくやり方で、練習メニューから試合の出場選手まで選手が決定し、選手みんながチームを育てていく方法は、選手が指示待ちにならず、やる気をたぎらせ、サッカーに打ち込む姿を生んでいます。畑先生の目指すことは、サッカーバカになるのではなく、高校時代に育まれた「心」が社会に出ても発揮することに主眼を置いてます。「サッカーだけ上手くなるのではなく、『日常生活のすべてでうまくなる』という考えです。つまり、選手の人間力をどれだけ引き出せるかがキーポイントになっています。整理整頓清掃を丁寧にすることによって、選手の心の準備を促し、畑監督と選手間のサッカーノートで「考える習慣」を付けさせています。選手たちは、サッカー部のミッションとビジョンを理解し、いかに行動すべきかを考え、チーム内の濃密なコミュニケーションが選手個人をより自立した存在にしています。

 この指導法はスポーツだけではなく、子育てや企業でも十分活用される考え方です。選手や部下がいかにやる気を出して取り組むかは、リーダーの「見守る」姿に凝縮されています。

 『まるごと畑喜美夫  徹底検証なぜ、ボトムアップ指導は強くなるのか? 自主的・自発的に動ける個・組織がこれからの未来を輝かせる』(ザメディアジョン、本体価格1400円)

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