
「生きている人間がどこから来て、どうして生きているのか」という子どもの頃に抱いた疑問を考えた著者が至った答えは、
「人間は土壌から来ている」
ということでした。われわれの食は野菜や果物は土壌から取れ、、牛肉、豚、鳥などは土壌からの植物を餌にして、最終的に私たちの口に入ります。そして、農学部農芸化学科に入学し、卒業後は農水省等を経て、現在は農業大学校校長を務めておられます。
本書は、見開き2頁単位で、写真と短文で綴った、「土の再発見」を促す本です。現代人が忘れている、しかし、極めて重要な土の存在を教えてくれます。
「人類が生きるために使用できる土壌を地球の陸地表面に置いてみると、それはたった18cmの厚さにすぎない。」
46億年の地球の歴史の中で、土は夥しい数の微生物を養い、植物を育ててきました。つまり、地球上に生息する動植物、微生物は土に依存し、そして、自らも土に帰っていく、この繰り返しを行ってきました。
「人間は土から生まれた物を食べている、土の生きものなのである。土壌の中で生きるミミズやダニと同じ生きものなのである。わたしたちは土壌から来て、土壌に還る生き物なのである。」
しかし、人類はこの土壌に致命的な悪影響を与えています。収奪的な農耕と産業革命により、
「文明人は塩類土壌と砂漠を残した。」
本年度2015年は「国際土壌年」です。
「環境を保全するとか改善するということは、私たち自身を保全するとか改善することにほかならない。そのためには、わたしたちの生き方と心の豊かさが必要になる。」
「環境倫理がない世界では、自然は無秩序と化し、天地は人間にしっぺ返しを食らわせるであろう。」
土壌との共存が薄れている現代人が土を触れるところから始めましょう!
『18cmの奇跡 「土」にまつわる恐るべき事実!』(陽 捷行(みなみ かつゆき) 著、三五館、本体価格1,500円)
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