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事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「宿神(しゅくじん)1~4」夢枕獏著 朝日新聞出版

2021-06-10 | 本と雑誌

事前になんの情報もなく読み始める。佐藤義清(のりきよ)という武士と平清盛の友情物語がつづく。義清はある女性を恋慕し、清盛は権力欲をむき出しにしていく。

で、この義清がとにかくスーパーマンで、剣も弓も乗馬も、そして蹴鞠も超一流。いったいこの人は誰なの。なにをした人なの。

西行法師でした。

そんな過去をもった人物とはつゆ知らず。しかも時代背景が保元・平治の乱。うわーしまった。日本史知らずにとってはきつい時代だ。だいたい、西行と清盛が生涯の友だったって常識なんですか。

こういう時に便利なのは、毎週大河ドラマを見ているので、その配役イメージで背景をとらえるという安直な方法。ひとつの解釈としてありでしょ。最適なのはもちろん「平清盛」。見てなかったけど(笑)。「宿神」の登場人物たちは、あの大河でこのようにキャスティングされた。

・西行……藤木直人

・平清盛……松山ケンイチ

・後白河法皇……松田翔太

・鳥羽法皇……三上博史

・崇徳上皇……井浦新

・待賢門院璋子……檀れい

・堀川局……りょう

あ、そう。さっぱりわからない(笑)。

しかしある能力をもった西行が、朝廷から武家へ権力が移っていく怒涛の時代を苦い思いを抱きながら(そして歌を詠みながら)生きていく過程はとんでもなく面白い。源平合戦は確かに派手だけれども、それ以上に保元・平治の乱は重要だったんだね。

にしても朝日新聞で一年間連載されたにもかかわらず、全然終われなかったあたり、さすが夢枕獏。書きたくて書きたくて書きたくて仕方がないんだろう。すごい膂力。

コメント (5)
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明細書を見ろ!2021年6月児童手当号 改正児童手当法

2021-06-09 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2月児童手当号「あの人の失言」はこちら

各種調査で、新型コロナウイルス感染症がまん延する状況下、日本の婚姻数が激減していることが報告されています。

それは疫病がもたらした時代の“気分”によるものなのかもしれず、あるいは「外に出るな、外で飲むな、外で食べるな」というプレッシャーにより、物理的に出会いの場が減じていることも影響しているのでしょう。

で、結婚する人が少なくなれば、次第に出産数が減っていくことは容易に想像できます。ただでさえ少子化が進んでいるのに、なお加速しそうなのです。

そんななか、改正児童手当法がこの5月に成立しました。その内容は

・来年の10月支給分から、世帯主の年収が1200万円を超えた場合、支給しない

というもの。この法律は当初、世帯全体の収入合計が1500万円を超えた場合に支給しないように動いていましたが、共働き世帯に与える影響の巨大さから変更された経緯があります。

この法律を審議した参院内閣委員会の参考人、日本大学文理学部の末冨芳教授(もんのすごく優秀)は

「高所得層への児童手当を削っていいという発想自体がかなり危険」

と主張。まったくです。子どもは社会全体で育てるという発想はどこへ……と嘆じたところで本日のあなたへの支給額は000円です。

画像は「コロナと潜水服」奥田英朗著 光文社
コロナ禍のなか、子の前で親はどうふるまうべきか。80年代のロックもからめて奥田の独壇場。

10月児童手当号「こどもというワード」につづく

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「リズム・セクション」The Rhythm Section(2020 パラマウント)

2021-06-08 | 洋画

「心臓はドラム、肺はベース」

タイトルは、工作員の格闘における心得。きちんと息を整えろと。そう、この映画はわたしの大好きなスパイものです。

007のスタッフが製作、というコピーがDVDのパッケージに。ほう、どういうことだろうと裏側をチェックすると、なるほど「製作:バーバラ・ブロッコリ」とある。前にもお伝えしたように、007シリーズはブロッコリ家の家業で、バーバラの父親のアルバートの時代から製作してきたのだから、このうたい文句は間違いじゃない。

では、007(「ノー・タイム・トゥ・ダイ」は結局いつ公開されるんですか)で手一杯かと思われたバーバラが、なぜこの作品をつくったのか。ジェームズ・ボンドとは真逆の主人公をもってきたあたりにヒントはありそう。

殺人許可証を持ち、クールに悪役を倒しまくるボンドと違い、この作品の主人公は家族をテロで失ったことにいつまでもめそめそしているメンヘラなインテリ(オックスフォード出身)姉ちゃんなのである。なにしろめそめそし過ぎて娼婦に身を落とし、ドラッグもやりまくり。だいじょうぶかこんなんで。

だからバーバラがやりたかったのは、野卑であると同時に洗練された完成品のスパイではなく、弱っちいヒロインが工作員として成長していく過程を描くことだったはずだ。指南役はジュード・ロウ。優男だけにサディスティックな感じがいい。

ただし、いくらなんでもイージーに強くなりすぎ。真の悪に気づくあたりもひねりが足りないし、魅力的なタイトルもいかされていない。

ひょっとしたらブロッコリ家の副業としてシリーズ化をもくろんだのかもしれないけれど、残念ながらその願いははかなえられそうにない。主演はブレイク・ライブリー。ライアン・レイノルズの奥さんです。

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ガリレオを全部観る 15「曲球る(まがる)」

2021-06-07 | テレビ番組

その14「心聴る(きこえる)」はこちら

オープニングから古田敦也登場。アースリーズの元エース、柳沢(田辺誠一)の球を受けている。かつては光り輝いていた彼は戦力外勧告を受け、練習パートナーとして古田を雇って復活をめざしていた。物理学者、湯川の協力を得て。

柳沢は妻と別居中で、実家で仮眠していた彼女は物置に保管していたストーブが出火したために一酸化炭素中毒で死亡する。はたして、遠隔操作でストーブに点火することはできるのか……

「あなたのスライダーがプロで通用しなくなった原因を物理学的に検証しましょう」

湯川に気を使った表現を期待するほうが無理。しかし、物理学的に復活しているはずのボールは、物理学とは遠い“メンタル”が理由で“冴えない”。そのため、心ならずも(かどうかはうかがい知れないが)湯川は柳沢の妻の不倫疑惑に挑むことになる。

「物理学者に、不倫相手を見つけ出すことなんてできるの?」

できますよ岸谷刑事。これ、ドラマですから。実は今回はオー・ヘンリーの短編のようなお話なのでした。タイトルをつけるとすれば「愚者の贈り物」。やっぱり時計がキーポイント。

せっかく古田まで起用したのだから、柳沢の役も現役の投手を抜擢する手はなかったか。無理か。古畑任三郎のイチローのような演技レベルの選手、そうはいないもんな。

柳沢夫人を演じたのは青森放送のアナウンサーだった中田有紀。とても魅力的です。青森つながりなのかアジアン・カンフー・ジェネレーションのベーシストと結婚しているんですって。ラルク・アン・シエルのhydeと大石恵のパターンですか。ちなみに、あの二人が初対面だった「うたばん」をわたし見てます。すいませんよけいな情報でした。

あ、それから東京都では賃貸住宅では石油ストーブの使用は禁じられているそうです。有益な情報でした。

その16「念波る」につづく

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青天を衝け 第十七回 篤太夫、涙の帰京

2021-06-06 | 大河ドラマ

第十六回「恩人暗殺」はこちら

ネットでは、平岡円史郎の退場への哀惜が語られている。まったくだと思う。堤真一の、過剰な(それがこの大河の特徴だと思います)江戸弁が、どれだけ心地よかったか。シブサワズたちの武蔵弁?と比較すればよくわかる。いやいいんだけど方言でも。

ただこの時代のお殿様はほぼ全員が江戸生まれの江戸育ちだからお国訛りなどなかったわけで、だから静かな共通語(それは井上ひさしの「國語元年」を参照して)で、しかも2オクターブほど下げて語る徳川慶喜(草彅剛)のうまさが光る。

脚本の大森美香さんはどこまで計算していたかはわからないけれども、円史郎に客(視聴者)が熱狂することは承知していたと思う。このドラマは中心がなかなか見つけられないので、歴史上どうにも評価しづらい人物がトリックスターになる。で、この人はぴったりだ。

女でさんざん苦労し、たどりついたのが“自分が死んだ後も三味線の稽古とかで食っていける伝法な女”というのは、政治的に正しくないけれども男の理想ですよね。木村佳乃は本当にそのあたりがうまかった。上から目線だけど、この人キャリアの途中からすごくうまくなってないですか。

栄一と妻が、はっきりとそういうことになろうとしているときに邪魔が入るあたりはラブコメとして王道。“仕込む”って(笑)。またしても政治的に正しくない発言ですけど、柄が大きい橋本愛って実にいいですよね。確実に演出はそこを意識していると思います。檀れいが「武士の一分」で見せたのと同等の和服の魅力。

禁門の変が歴史上の大きなドラマとして存在し、徳川慶喜が激情の人ではなかったことが後に影響するってあたりはゾクゾクする。さああの大坂逃亡劇にどうつなげるのかなあ。

今回は、侍たち(波岡一喜の涙目はよかった)が泣いてはいけない回で、それでも泣いてしまうあたりの仕掛けに納得。涙目じゃなくて、わたしちょっと泣いちゃいました。

第18回「一橋の懐」につづく

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ガリレオを全部観る 14「心聴る(きこえる)」

2021-06-05 | テレビ番組

その13「指標す(しめす)」はこちら

岸谷刑事(吉高由里子)は、帝都大なぎなた部の先輩である冴子の告別式に参列している。新興IT企業につとめる冴子は、社長との不倫の果てに自殺したと噂されていた。その社長はいきなり耳をふさいで叫びだし、会場を飛び出す。彼は翌日、遺体となって発見される。覚悟の自殺と思われた。

彼の会社は、社員が決まった机に座らないフリーアドレスを導入している。そして、特定の社員に聞こえてくる声「次はお前だ」と。冴子の呪いなのか。錯乱した社員はその場にいた岸谷にカッターナイフで切りつけ……

お尻を二針縫った岸谷のお見舞いに、湯川がを持ってくるあたりが可笑しい。

今回の事件は、他の人にはまったく聞こえない音を、特定の誰かに(耳をふさいでも)聞かせる方法とは、というものだ。

誰でも想像するのは超指向性スピーカーだけれど、単なる音では耳をふさげば防ぐことができる。そこで湯川は……

映像化の強みは、無響室に実際に湯川と岸谷を訪れさせ、それ風の音響になるのを再現できること。映像としても強烈です無響室。

冒頭の告別式で、受付をしているのが大島優子松尾諭(「シン・ゴジラ」での彼はよかったなあ)。犯人は最初からまるわかり(笑)。しかしそこからどうひねるか。

湯川も岸谷も、恋愛についてはさっぱりわからない状態にあるあたり、ラブコメとして実は王道をこのドラマは歩んでいます。にしても、底意地の悪い先輩を演じたのが、あの傑作「駆込み女と駆出し男」で原田真人監督を魅了した(でしょ?)陽月華だったとはっ!

その15「曲球る(まがる)」につづく

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ガリレオを全部観る 13 「指標す(しめす)」

2021-06-04 | テレビ番組

その12「幻惑す(まどわす)」はこちら

ものすごく長い間このシリーズをお休みしてました。一度始めたネタは必ず最後までやると大言したわりに、なんでだっけ。どうやら新シリーズと新作映画も動き出したようなので再開します。みんなもう忘れてるだろうなあ。

今回の眼目はダウジング。金属の棒とかを握り、その反応で水源を探し出すというあれです。湯川教授(福山雅治)は肯定も否定もしない。科学的に立証はされないけれども、ダウジングによって水が見つかっているのも確かなのだ。実はわたしも昔つとめていた学校で水道の修理を依頼したら、その業者がいきなりダウジングを始めたのでびっくり。ま、なんの意味もなかったですけれども。

親切な、そして実は金満家のおばあさんが惨殺され、飼い犬が消えている。岸谷刑事(吉高由里子)は例によって湯川に協力を求める。犬の死骸を見つけたのは近所の女子高生であり、彼女は水晶の振り子の示す場所で見つけたと。

科学者である湯川はあらゆることを想定する。風は?異臭は?電線はなかったか?……すべて否定される。

この犯罪のキモは、なぜ犯人は犬の死骸をわざわざ運んで捨てたかだ。そして、女子高生の水晶は本当に謎に答えたのか?

今でもやっている子はいるのかな、こっくりさん。なぜこっくりさんは字を指し示すのかが理系ミステリとして面白いところ。

ドラマとしてみごとなのは、女子高生は水晶に、犬の死骸のありかを訊いていたわけではないあたり。ここはうなりました。

女子高生を演じたのは、「麒麟が来る」で織田信長を手玉にとった帰蝶を演じた川口春奈だったのでびっくり。久しぶりに見ると、実に面白い。

その14「心聴る(きこえる)」につづく

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今月の名言2021年5月号PART5 さざ波

2021-06-04 | ニュース

Ryuichi Sakamoto - The Sheltering Sky

PART4「意図的な放言」はこちら

「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」

高橋洋一・嘉悦大教授の、というより内閣官房参与だった人物のツイート。この人の発言は、正否はともかくいつも極端だった。だからこの程度の発言で驚いたりはしない。

「日本の緊急事態宣言といっても、欧米から見れば戒厳令でもなく『屁みたいな』ものでないのかな」

こんな雑な発言まで追加でかますぐらいなのだから。

わたしがむしろ驚いたのは、彼がこの問題で「謝罪」し、「反省」し、「辞職」したことの方だ。徹底的に居直るだろうと思っていたので。まあ、余計な肩書きもとれたし名前も売れた。これまで以上に極端で雑な発言をかますだろうし、一部マスコミはそれを歓迎するであろうことが予想できる。なんというかねえ笑笑。

本日の1曲は坂本龍一「シェルタリングスカイ」名曲ですわね。

6月号PART1「永遠の一休さん」につづく

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「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」BIRDS OF PREY(2020 WB)

2021-06-02 | 洋画

前作「スーサイド・スクワッド」をウィル・スミス主演作品だと思っている人っていないんじゃないだろうか。金属バットを振り回すクレイジーなお姉ちゃん、ハーレイ・クインの印象が強すぎて。いやはやあのときのマーゴット・ロビーはすごかった。

そして今回は彼女が製作も兼ね、脚本も監督も女性で固め、“ジョーカーの恋人というだけで恵まれていた状態”からの脱却を描く。まあ、それはともかく今回もマーゴット・ロビーは切れまくり。

ただ、わたしは前作の彼女を見て世界一の美尻の持ち主だと熱狂したのに、まさか今作では「この貧弱な尻」とか馬鹿にされているのにびっくり。やっぱりアメリカ人とわたしの美意識は相容れないなあ。

音楽は、パット・ベネターの「強気で愛して」をアドナのカバーで。他にハートの「バラクーダ」やジョーン・ジェットなど、うれしくなるラインナップでした。続篇希望。切望切望。

 

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今月の名言2021年5月号PART4 意図的な放言

2021-06-02 | 国際・政治

PART3「現場の意見」はこちら

「私達の心はイスラエルと共にあります」

中山泰秀副防衛相のツイート。パレスチナとイスラエルの衝突のさなかに。防衛副大臣という職にある人間がこうまで一方に肩入れするにあたっては、それなりの理由があるのだろう。テロによる被害を情緒的に嘆いているだけでは絶対にない。

もしもそうなら、ガザの現状をどうとらえるのかということだし。パレスチナ関係は正直に言えば思いきり複雑なのでうかつにふれられない、というのが日本人の多くが感じていることと思う。実際に、これほど複雑な話はないのだし。

そんな状況で、そんな職にある人が、まさしくそんなタイミングで発したのだから、よほどの覚悟だったはず……でもとりあえずこれだけは言いたい。

「私達」と勝手に複数形にしてくれるな。

確かにイスラエルにも言い分はあるだろう。でもこの問題に関するかぎり、わたしの心はイスラエルと共にはないぞ。それにね、自分の遅刻問題で大わらわだったのに翌朝のニュースショー(まさしく、ショー)に出演するあたりの厚顔さはさすがなのかな。呼んだ読売がすごいのかな。おお、出てるよとびっくり。

PART5「さざ波」につづく

本日の1冊は「逢魔が刻 腕貫探偵リブート」西澤保彦著 看板に偽りあり(笑)。腕貫公務員探偵がなかなか出てこないのはシャレとしてあるとしてもねえ。

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