事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「トゥルー・グリット」 True Grit (2010 パラマウント)

2011-06-12 | 洋画

True_gritimg01 肉親を殺された恨みのために、西部の荒野で犯人をどこまでも追い続ける……とくればジョン・フォードの「捜索者」っぽいけれど、同じジョン・ウェインでも「勇気ある追跡」の方のリメイク。

コーエン兄弟、スピルバーグのユダヤ系三人が、いったいあのルースター・コグバーンのどこに再映画化する価値があると計算したか。おそらく、あのラストなのだと思う。

なにゆえに年配の女性のナレーションでドラマがスタートするかがあからさまになるラストの展開こそ、無骨者ジョン・ウェインとおひな様キム・ダービーでは出せなかった味なのだろう。

ま、てなことをかましながらも、事前情報を入れないのもほどほどにしないと。わたし、ジェフ・ブリッジスだけをマークしていて、マット・デイモンとジョシュ・ブローリンが出ているなん知らなかったのでびっくり。おまけに、「プライベート・ライアン」の狙撃兵バリー・ペッパーが、それはもう汚い格好で出てきたのでうれしくなる。

当たり外れの大きいコーエン兄弟作品の出来は、お兄さんの奥さんであるフランシス・マクドーマンドが出ているか否かで判定できる……勝手な法則をつくってますが(笑)、今回は彼女が出ていないのにかなり出来がいいです。フランシスはそのかわりに、この夏に公開される「トランスフォーマー3」の予告編に登場してました。ジョン・マルコヴィッチといい、どんなキャスティングだ。

それはともかくここからネタバレ

父親を殺され(殺したのがまったくの小物であるジョシュ・ブローリンだった悲喜劇)、泣いているばかりの母親にかわって金を工面してジェフ・ブリッジスを雇う少女。そのかわいげの無さがいいのだが、彼女は片目の保安官やレンジャー(マット・デイモン)の協力をえて復讐を“成し遂げてしまう”

そのために少女はあるものを失い(保安官と同類になるとも言える)、かわいげのないまま一生を送ることになる。このラストは苦くていい。「ヒックとドラゴン」パターン。

そしてそれ以上に、家族愛を知らないまま血なまぐさい人生を送ってきた男のある行動こそがトゥルー・グリット(=真の勇者)たりえた要因だが、それを知るものはわずか三人にしかすぎなかったという展開は中年男にもグッときました。

まあ、放り投げたパンを撃ち落とす場面を、ほとんどありえない角度から撮るなど、コーエン兄弟の“変な感じ”は健在なんですけどね。

コメント (7)
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