2011年5月号「昇給のルール」はこちら。
震災によるガソリン供給の不安定さと、なにより価格の高騰によって自転車通勤者が全国で増えているのだそうです。なんでもツーキニストと称するとか。いけてないネーミング。都会の場合は3月11日の帰宅難民の悪夢が自転車通勤を後押ししているのでしょうが、はたして山形県職員の場合はどうでしょうか。
ここで、公立の中学校に勤務している51才の男性事務職員を例にとってみましょう。彼はど田舎から7.0㎞の通勤。届は自家用車使用で提出しています。この3ヶ月、彼は自転車を主に利用していますのでチャリ通のメリットデメリットを十分に承知しています。
◇メリット
電車やバスの運行時刻を気にしなくていい(→特に庄内地方では、公共交通機関が実質的に機能していないのでたいして意味はない)
運動不足解消になる(→筋肉痛による影響の方が大きい)
ダイエット効果がある(→きわめて疑わしい。反証はうちの生徒にもたくさんいる)
駐車スペースの確保が容易(→うちの職員用駐輪場はキチキチです)
燃料を使わず、排気ガスも出さないので環境にやさしい(→この男はチャリに乗っているときも平気でタバコを吸っている)
機動性が高いので経路の自由度が高い(→寄り道が増えるので生活コストが増大する)
毎朝すれちがうアジア系の女性たちと心の交流がはかられる(→一種の妄想と考えられる)
◇デメリット
天候の影響をうけやすい(→ポータルサイトの天気予報をこの事務職員ほど熟読している人間はいないはず。気温、風速、風向のチェックに余念がない。もちろん降雨時と向かい風のときは自動車を使用)
交通事故のリスクがけた違いに大きい(→日本の道路は自転車向けにつくられていない)
匿名性の高い自家用車通勤と違い、出入りの業者などにやたらに目撃されてしまう(→要するに図体のでかい人間がチャリ通していると目立つ)
ヘアスタイルという概念がどこかに吹き飛ぶ
高校生たちに抜かれるのが通常なのでプライドがいたく傷つけられる
生徒指導主事に「路面に雪があるときはチャリ通禁止って言ったでしょ!」と怒られる
……なにより、田舎のことなので免停をくらったと思われているらしく、近隣の住民がうれしそうにクルマを幅寄せして声をかけてくるのがつらい。まあそれはともかく、チャリ通が通勤手当にどのように影響するかというと……以下次号。
※画像は、わざわざ東根まで行って(もちろん自動車で)観た甲斐があった傑作「奇跡」。ふたたび親子4人で暮らすことを願った兄弟が、しかし最後に祈った奇跡とはなんだったか。泣いたー。