監督・脚本:ディーン・デュボア、クリス・サンダース
原作:クレシッダ・コーウェル
音楽:ジョン・パウエル
弱虫なバイキングの少年ヒックはある日、傷を負ったドラゴンと出会う。天敵であるはずの2人は秘密の友情を育み、やがてバイキング一族の未来をも変えてしまう奇跡を起こす……
「父親に認められたい」「息子を誇りに思いたい」……アメリカ映画の永遠のテーマがここにも。近ごろ見ただけでも「アイアンマン2」がそうだったし、DVDで何度見たかしれない「グラディエーター」は最初から最後まで父親探し(と同時に父親殺し)の作品だった。
「ヒックとドラゴン」の場合、バイキングという設定がいい。巨木のような腕や足、ひたすらマッチョな父親たちと、未熟そのものを体現しているかのようなか細いヒック。いくらなんでもお調子者がすぎるぞヒック、と途中までは思っていたのだけれど、あふれる知恵と優しさによって結果的にマッチョな女性の愛を獲得する。あ、これもアメリカ映画ではだいじなポイントだ。
感情表現が「歯(トゥース)」を出すか出さないかしかないドラゴンがかわいい。そのドラゴン、「トゥース」が傷ついてしまい、うまく飛べなくなってしまうことから交流は始まる。
ネタバレになるようだが、ラストにおいて並のファンタジーではありえないオチがついており……えーと、すいませんバラしちゃいますが、ヒックは片足を失います……巨大な善をなした者は、否応なしに何かを失わなければならず、そして片翼のトゥースとのコンビネーションもぴたりとはまる。いやーびっくりしました。
「借りぐらしのアリエッティ」と「トイ・ストーリー3」という化け物にはさまれて興行的には苦戦中。いかな「ワンピース」でバイキングの世界観になじんでいる日本でもしんどいか。アメリカでは大ヒットしたんだけどな。3D映像もすばらしいし、親子で見るには最高の作品だ。ぜひ。
あ、ついでだけどまたしてもパラマウントピクチャーズジャパンの宣伝にひとこと。なんでオードリーが宣伝担当なのかと思ったら「トゥース!」つながり。それは許せる(しかし春日は考えてみるといつも「歯!」って言ってるわけね)。しかし年末に公開の「シュレック・フォーエバー」の長大な予告編はいかがなものか。あのシリーズも本国と日本の興行収入には天地の差があるんだけど、だってシュレックのキャラが日本でうけるわけないもんねー。