事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「オーケストラ!」LE CONCERT(2009 GAGA)

2011-01-05 | 洋画

Leconcertimg02  すみません、わたし今日、鶴岡まちキネで鑑賞したんですけど、上映は明日までなんです。とりあえず言っときます。少なくとも庄内のみんなは明日お休みをとってこの映画を観に行けっ!

 オレほどクラシックの素養がない人間もめずらしいと思う。なんか、決まりごとが多そうだし、教養人のたしなみ、って感じがいやじゃないですか。学校の音楽室には例外なく作曲家たちの肖像画があるわけだけど(あれ、備品なんだよなー)、みんな偉そう。

 でも、そんなイメージをくつがえしてくれたのが「アマデウス」。モーツァルトがいかに下品な人間で、“それでもあふれるほどの天才”にめぐまれていたことが活写されていた。

 この映画はクラシック音楽のもうひとつの側面を見せてくれる。西欧人(わたしたちにはわかりにくい事情だけれど、ロシアははっきりとヨーロッパです)には、クラシック音楽が血肉になっているのだと。

 実はこの映画、被差別民族の問題が最後までつきまとっている。ユダヤ人、ジプシー(放送禁止用語。今は、ロマ人?)たちが、それぞれ“らしさ”を開き直って見せるあたり、確信犯。

ジプシーは法の網をかいくぐってパスポートを偽造(それ、空港でやるんだよ)、ユダヤ人親子はコンサートよりも金儲けに邁進する……かに見えて、音楽的才能を見せつける瞬間をちゃんと用意するあたりが周到。まちキネのたーくさんのお客さんたちが息をのむのがわかりました。えーと、でも素養のないわたしは思った。「倍音のアルペジオ」ってどんな奏法なんすか(T_T)

 その被差別民族をブレジネフ(なつかしー)から守ったために指揮者から清掃係になった男が、連座してオーケストラから離れていた人間たちと三十年ぶりに結集するお話。その目的が泣ける。

“目的”を演ずるのはタランティーノの「イングロリアス・バスターズ」で美貌を印象づけたメラニー・ロラン。圧倒的な美女にしてユダヤ人でなければ成立しない役柄を、見事にしょってたってました。彼女をサポートする指揮者は、トミー・リー・ジョーンズの変奏曲のようなルックスのアレクセイ・グシュコブが実直に演じ、最後の抱擁で泣かせます。

そしてキーになる女性はなんとミウ・ミウがっ!この人はオレが中学生のころに日本でも話題になったエッチ作品「バルスーズ」の、あのお姉ちゃんじゃないかっ!

Leconcertimg01 えーと、なんで興奮しているかというと、その映画に出演したブリジッド・フォッセーが「禁じられた遊び」の子役なのはいいとしても(いいとか悪いとかの問題じゃないんですが)、いきなり脱ぎだしたのに度肝をぬかれ、しかもジャンヌ・モローがとんでもない方法で自殺し、おまけに「バルスーズ」って、直訳すると「キンタマ」って意味で……

 原題つながりでいきましょう。わたしはこの映画の原題がLE CONCERTなので、ああ「コンサート」なんだな、と思っていた。でもそれよりも、奇跡のオーケストラが演奏する「協奏曲」の意味合いが強い。コンチェルトね。

 楽器ケースに入れられて亡命した奇跡の赤ん坊のために、すねに傷持つ連中がふたたび集結し、みごとな協奏曲を奏でる。曲目はチャイコフスキー。あまりにもメジャーなために、現代のクラシックファンが「好き」となかなか言い出せない曲を、正々堂々とフルバージョンで演奏し、観客を感動させる。まいった。見逃さなくてほんとうによかった。くどいようだけど映画館でしか味わえない感動。前半のたるさを我慢すると最後は泣けるぞー。急げまちキネへっ!

コメント (10)
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