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事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

どうする家康 第43回「関ヶ原の戦い」

2023-11-12 | 大河ドラマ

第42回「天下分け目」はこちら

先週は「どうする家康」のキャストを「真田丸」の面々に脳内変換していましたが、今回は逆に、「どうする家康」のキャストが、近ごろわたしが観た映画でこんなに活躍していたのかを。

まずは本多忠勝役の山田裕貴。「ゴジラ-1.0」での(ちょっとネタバレだけど)ダンケルクですか、ドラゴンボールの元気玉ですか、な活躍で観客を驚かせた。

つづいて柴田勝家役の吉原光夫。「バッド・ランズ」における刑事役の渋さは忘れがたい。

そして極めつけは「愛にイナズマ」の佐藤浩市。真田昌幸をはじめとした曲者演技が真骨頂だけれど、松岡茉優や池松壮亮の弱っちい父親役はすでに神がかっていた。この人はまもなく父親を追い抜くんじゃないか。

これだけのキャストを受け止める松本潤もしんどいことだったろうが、「いくさなら徳川」を関ヶ原で冷静沈着に実証してみせる。健康オタクで薬学にくわしいので、井伊直政の傷を自ら治療するあたりの小技もにくい。

関ヶ原の戦いの最大の謎は、これだけの一大決戦がわずか半日で収束したこと。石田三成の側に備えがなかったととるか(ちょっと退いて自分の城に入ればいいだけの話では?)、あるいはこれだけの大軍勢だからコントロールしきれなかったととるか。

いずれにしろ、家康はこれから嫌われ者の道を歩む。そのあたりのタヌキっぷりを松本がどう演じるのかが楽しみかな。所属する事務所への大逆風のなかで大河の主役をはるあたり、彼の苦労は並大抵ではなかったろう。ああもうすぐこの大河も終わってしまう。

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どうする家康 第42回「天下分け目」

2023-11-05 | 大河ドラマ

第41回「逆襲の三成」はこちら

とりあえず、日本シリーズのことも。いやはや疲れた一週間。それにしても面白いシリーズだった。エラーやミスが多かったけれども、それだけ両チームともに若かったのであり、だからこれからもっと強くなっていくだろうことを予測させた。わたしは浪花節な男だから、第5戦の宇田川の涙を見て、きっと来年はもっと成長してくるんだろうなあと。

さて大河。小山評定からスタートして真田の智謀、伏見城落城、そして関ヶ原へと、ほぼ史実どおりの展開。だからわたしは頭のなかで「真田丸」のキャストと脳内変換しながら楽しんでいました。

内野聖陽に比べればだいぶお腹がひっこんだ松本潤の家康は、小山評定でアジりまくり、政治家としての成長を見せる。

勝つためならなんでもやると評判の真田昌幸は、草刈正雄と佐藤浩市のどちらも好演。いくさが楽しくて仕方がないあたり、両人ともはまっている。

家康のお話だから仕方がないとはいえ、大泉洋と堺雅人のキャラにくらべたら、今回の真田兄弟の印象はだいぶ薄い。

知謀担当の本多正信は、近藤正臣と松山ケンイチで、これもどちらもけっこうでした。

関ヶ原に間に合わない秀忠役は、森崎ウィンはちょっとスマートすぎて、星野源の挙動不審さにはおよばないかも。秀忠の参陣が遅れたのは、真田の忍びによって書状が奪われたからという新解釈も。ああそれって佐助(藤井隆)ががんばったのかしらと。

どうする家康で突出していたのは鳥居元忠の妻として死んだ千代役の古川琴音。悪魔的な存在を貞女にして最期を迎えさせるという仕掛けはうまい。

そしてあらためて思う。今が攻め時だと判断した家康が、一瞬だけ三白眼になるあたり、松本潤はどんどんよくなっている。くどいようだけれどももっと早くタヌキになっててくれていたら……

でもいずれにしろ今週の視聴率は阪神日本一のおかげでふるわないんだろうな。38年ぶりかあ。二年連続Bクラスになったくらいで監督を交代させるチームのファンとしては、関西の人たちは我慢強いんだなあと。あ、こういうことを言うから家康=東京は関西人から嫌われるのかしら。

第43回「関ヶ原の戦い」につづく

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どうする家康 第41回「逆襲の三成」

2023-10-29 | 大河ドラマ

第40回「天下人家康」はこちら

年に一度の、うわ、大河を観ようか迷う時期到来。プロ野球の日本シリーズとかぶってしまうのだ。同じことを考えた人は多いようで、だからシリーズはデーゲームでやってほしいと願っているとか。

そうかなあ。もちろんナマで観戦するなら、青空の下で(今日は京セラドーム大阪だけど)生ビールを飲みながらベースボールを見るのが至福の体験なのは理解できる。でもテレビ観戦のわたしのようなものには、夜気が迫るナイトゲームの方が趣深いけどな。

結局は大河を優先。家康、タヌキとして順調に嫌われております。暗殺計画が露見して大野修理(玉山鉄二)らが流罪とされ、石田三成(中村七之助)はついに家康を討つと挙兵する……

直江状(直江兼続を演じたのはTAKAHIRO)から小山評定直前までの、政治的にまことに微妙な時期。作品によってはすべてが家康の策だったとするものもあるけれども、それやっちゃうと「戦なき世をつくる」というこの大河の大前提が崩れてしまうのでどうするものだか。

それよりも強調されているのは、それぞれのキャラを印象的な女性たちがリードしていること。家康のそばには阿茶(松本若菜はほんとうにきれいだなあ)がいるし、伏見を任された鳥居元忠(音尾琢真は立派になったなあ)のことは後妻となった千代(古川琴音)がひっぱたいている。そして、石田方にも家康側にも金を贈ることで全面戦争を煽っているのがもちろん茶々(北川景子)だ。

そしてこれら強烈なキャラを受け止める松本潤は、次第にタヌキっぷりに磨きがかかっている。できればもう少し前から白ウサギから脱却しているともっと面白かったろうに。

第42回「天下分け目」につづく

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どうする家康 第40回「天下人家康」

2023-10-22 | 大河ドラマ

第39回「太閤、くたばる」はこちら

秀吉がいなくなって、五大老五奉行による合議制開始。石田三成(中村七之助)の理想とする形になっている。形としては。

しかし綻びを見せたのも三成のせいだったともいえる描き方。朝鮮から帰ってきた加藤清正や福島正則らは、三成たちが担った兵站の脆弱さが苦戦の原因だと思っていて、だから尊大(に見える)な三成の対応に激昂する。

彼らに襲撃される三成が、家康の館に逃げ込むというエピソードは今回描かれない。史実じゃなかったのかな。

清正らを懐柔する家康(松本潤)のやり方は、天下を簒奪するものだと大老である毛利輝元(吹越満)や上杉景勝(津田寛治)は三成に吹きこむ。家康は、いくらでも嘘をつける男だと。

酒田市民会館である希望ホール(酒田出身の岸洋子のヒット曲「希望」からその名がついた)では、きのう「中村勘九郎・中村七之助 錦秋特別公演2023」が行われた。妻がS席で(!)見てきたのでどんなだったか聞くと、トークコーナーで観客から

「わたしは松本潤さんのファンなので、大河では七之助さんと仲がいい設定になっていてうれしいです」

という声が。七之助はしかしちょっと困って

「これから仲が悪くなっていくんです(笑)」

翌日にいきなりこうきたか。

オープニングのアニメが象徴するように、本日から白ウサギはタヌキに変貌している。老けメイクもおそろしく自然で、体型もタヌキらしくなっている。そんな家康の登場が、まるで「夜のヒットスタジオ」のオープニングだったのが笑える。

タヌキとしてのリスタートの回。キャストのほとんどに「(回想)」と入る。ああ、この大河も終わりが近い。

第41回「逆襲の三成」につづく

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どうする家康 第39回「太閤、くたばる」

2023-10-15 | 大河ドラマ

第38回「唐入り」はこちら

時の最高権力者が床に伏している。助けを呼ぼうとする彼を、次の最高権力者となる女性がさえぎる……今回の展開は、去年の「鎌倉殿の13人」最終回を多分に意識したものになっています。古沢さんの三谷幸喜へのオマージュでしょ。

茶々(北川景子)は秀吉(ムロツヨシ)に向かって宣言する。秀頼はあなたの子ではない……わたしの子だ、と。家康にとってのラスボス決定の場面。

今日は酒井忠次(大森南朋)の最期も描かれた。もうほとんど目も見えなくなっている彼の最後の海老すくい。そして最後の“出陣”。

妻を演じた猫背椿が「ご苦労さまでした」と静かに頭を垂れる。秀吉=茶々との壮絶な対比。いやしかしクドカンのドラマで常に笑わせてくれた猫背さんの端正な芝居を、ロングショットで描いた演出はおみごとでした。

秀忠登場。演じているのは森崎ウィン……はて、どこかで聞いた名では。なんと「蜜蜂と遠雷」のあいつかあ!“あの4人”のことを、映画を観た人なら誰でも応援したくなるはずで、どうやらみんな確実にステップアップしているようでめでたい。

秀吉は例によって猿芝居の連続。石田三成がめざす“合議による政治”など微塵も信じていない。豊臣の世など自分限りで終わってもかまわないと放言。大きな権力を握った人間にとって、これほど甘美な誘惑はないのかもしれない。

ムロツヨシは今回、三段階ほど死相に近づいていく。江川悦子さんの特殊メイク炸裂。さあ来週は誰が退場していくだろう。

第40回「天下人家康」につづく

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どうする家康 第38回「唐入り」

2023-10-08 | 大河ドラマ

第37回「さらば三河家臣団」はこちら

誇大妄想狂と化した秀吉(ムロツヨシ)が朝鮮に出兵。それは自分の子を亡くしたこと、茶々(北川景子)を慰めるため……的な予断があるけれども、そう簡単じゃないと古沢脚本は主張。

確かに秀吉は錯乱している。しかし判断力を失っていたわけではないようで、茶々に向かって、困ったときは……前田利家(宅麻伸)を頼れと指示する。つまり、徳川家康を完全に信頼していたわけでもなく、諫言する家康を疎んじてもいたと。

そこへありえないタイミングで追放されていたはずの足利義昭(古田新太)が登場し、まずは酒を飲ませろと、そしてかます。トップにいるときは気づかないんだ。自分に気に入らないことを言う人間がいかに必要か。やっぱりタイミングよすぎます(笑

茶々に対する態度が象徴。

朝鮮軍には確か水軍の英雄がいたはずで、どうやら戦況は厳しい。でもそのことを石田三成(中村七之助)は秀吉に伝えることができない。しかし家康は……

太閤になった秀吉に、「猿!」とまで家康が言えたかはどうもなあ。しかし秀吉のやり方に民意が離れていた象徴に家康がいたことはよくわかりました。

それから女優ですけど、秀吉以上に“壊れている”茶々を北川景子が演じていてすばらしい。そしてファナティックな彼女に耽溺している秀吉と、冷静な秘書のような阿茶局(松本若菜)を従えている家康の差も露骨。いいですよねえ松本若菜。「愚行録」の彼女は最高でした。

そしてつくづく思う。大河ドラマでムロツヨシと宅麻伸と山田孝之の共演ですよ。テレ東のあの番組、勇者ヨシヒコがNHKの日曜8時に再現されている!

第39回「太閤、くたばる」につづく

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どうする家康 第37回「さらば三河家臣団」

2023-10-01 | 大河ドラマ

第36回「於愛日記」はこちら

小田原攻めのお話。

北条氏政(駿河太郎)が汁かけ飯を食べているので、大河ドラマファンはいきなりうれしくなる。そうか真田丸を見ていない読者もいますよね。これは氏政が汁かけ飯を食べるときに、汁が足りなくてもう一度汁をかけたのを見た父親の氏康が、

「毎日食事をしておきながら、飯にかける汁の量も量れんとは。北条家もわしの代で終わりか」

と嘆じたエピソードの引用。ってことは駿河太郎の無計画さに笑福亭鶴瓶が激怒したって構図に見える(笑)。でもそんな些事にこだわる父親がいたらわたしはやだなあ。

 大河ドラマ好きとして、もうひとつの名シーンを思い浮かべる。「独眼竜政宗」において、小田原攻めにな参戦しなかった伊達政宗と、待っていた秀吉が緊張感ありありで連れションをするエピソード。

スタッフはこのシーンのために秀吉役の勝新太郎と正宗役の渡辺謙を一度も会わせなかったというから徹底している。さすがに今回、ジャニーズの松本潤に放尿はさせなかったけど。

北条を切り取ればその領地はすべて徳川のものになる。しかしそのかわりにこれまでの領地を失うことになる……秀吉の残酷さがここでむき出しになるけれども、こっからが家康の真骨頂だ。

門井慶喜の「家康、江戸を建てる」で描かれたように、単なる湿地帯にすぎなかった江戸を、治水、利水によって未来ある土地に変え、貨幣の鋳造などによって次第にチカラをつけていく……こういう家康が見たかった。

何度も言うようにわたしは信長嫌いで、家康やオクタビアヌスのような地道な人が好き。地方公務員の習性かも。大好きな松本若菜が登場したことといい、好きな回です。

あれ?わたしは家康の最も大きな成果をこないだ見なかったっけ?江戸城。

第38回「唐入り」につづく

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どうする家康 第36回「於愛日記」

2023-09-24 | 大河ドラマ

第35回「欲望の怪物」はこちら

酒井忠次役の大森南朋さんが鶴岡に来てトークショー。なぜ鶴岡なのかといえば、庄内藩の初代藩主となったのが忠次の孫・酒井忠勝だったのだ。酒井家は領主として善政を敷き、現当主も酒井様として尊敬を集めている。会場には松本潤のビデオメッセージもあって

撮影が立て込んでくると、台詞を覚える時間がない。そんな時、相手がいた方が自分の中に(台詞を)取り込みやすいんです。自分はそういうタイプだったので、松本くんにも「大変だったら、一緒にやるよ」と声を掛けました。歴史の解釈や感情の入れ方などを細かく話し合いました。一回、秀吉が、ムロ(ツヨシ)くんが来ちゃったこともありました(笑)

……コソ練と彼らが呼んでいる、コッソリ練習をやっていたのだ。こういうチームは強い。

さて今週は女優中心の回。側室の於愛は死亡フラッグが立った途端に早世し、かつて徳川家をゆるがした千代はなんと鳥居元忠(音尾琢真)と添うことを家康に許される。そんな彼女たちの姿を見て、本多忠勝(山田裕貴)の娘、稲は“戦いの場”としての真田家への輿入れを決意する。そして秀吉には新しい愛人が……

広瀬アリスの艶めかしさは健在。米澤穂信の古典部シリーズ「氷菓」での

「わたし、気になります」

な千反田える役は、明らかなミスキャストなのに印象強かった。稲の役は「真田丸」での吉田羊のインパクトが強かったので大変そう。千代役の古川琴音は末恐ろしい。今回はメイクを落として貞淑さを強調。

「すごいねこの女優。今度の朝ドラで主演でしょ?」

「なに言ってるの。彼女は水谷豊と伊藤蘭の娘よ」

く、区別がつかない。

そしてのちの淀君である茶々が登場。みなさん予想したようなキャスティングでした。ちょっと狂気が入っていてお市の方とは別人のよう。こちらは同一人物だけど。

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どうする家康 第35回「欲望の怪物」

2023-09-17 | 大河ドラマ

第34回「豊臣の花嫁」はこちら

秀吉(ムロツヨシ)は妹(山田真歩)だけでは足りずに母親(高畑淳子)まで家康に送りこんで上洛させる。ラグビーのワールドカップがあったからオンエアは一週間あいたんだけど、それが奏功しましたね。家康が成長しています。

歓待する秀吉。酔いつぶれる秀吉。謝罪する秀長(佐藤隆太)と妻(和久井映見)。しかし家康は

「起きておられるのでしょう?」

と秀吉に告げる。むしろこの芝居に気づかなかったら家康はそれだけの扱いになっていただろう。ようやく、腹芸のできる狸オヤジの萌芽が見えてきた。そう来なくちゃ。ジェニーズ事務所云々があるからこそ、この展開は必然に見える。

秀吉の母の述懐がすごい。

「あたしが産んだのは、どんな化けものだったんかいねえ」

そうなる。怪物であることは確実。その化けもののもとに帰りたくはないわけだ。

石田三成登場。最後の最後まで誰かを明かさないように撮ってある。七之助かあ。「いだてん」での圓生役で、彼の女役の艶っぽさを再現していたのが素晴らしかったので適役かも。お兄さんはあっちでもこっちでもひたすら走ってたわけだし。

先週はお寺さんの関係で関東方面にバス旅行。つらかった。酒を飲まずに寝たのは何年ぶりだろう。っていうか眠れなかったんですけど。どうしておじいちゃんたちはあの苦行に耐えられるんだ。

んでどこの寺も太田道灌と徳川家康が関係している。んー、禅は権力に屈従していたのかなあ。あ、逆かも、怖いから気を使われてたのか。現代でも同じようなことが行われているのを見てきたのでそれはいずれ。っていうか大森南朋さんが鶴岡に来てトークショーやったんだって?それ、早く言ってよお(松重豊調)

第36回「於愛日記」につづく

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どうする家康 第34回「豊臣の花嫁」

2023-09-03 | 大河ドラマ

第33回「裏切り者」はこちら

タイトルはおそらく吉川英治の「牢獄の花嫁」を意識しているんだと思います。確か70年代に、市川崑監督で映画化されそうだったのに実現しませんでした。

え、キャストが山口百恵三浦友和、そして三船敏郎が予定されていたの?見たかったなあ。まあ、当時の百恵の殺人的スケジュールでは三船との共演は実現できるはずもなかったか。

今回は石川数正(松重豊)出奔の謎解き。徳川家のみんなが石川のことを泣きながら

「あほたわけ!」

と愚弄し、それが彼への追慕になっている仕掛け。石川数正もまた、妻(木村多江)に

「あほたわけ」

とつぶやいて感謝する構図。うまいものだ。

自らが豊臣に走ることによって、石川数正はむしろ徳川家を救うことを企図していた……これまたうまい理由づけだとは思うんですけど、ちょっと考えこむ。

天正地震という存在は誰も予想できなかったはずで、だから石川の行動があろうとなかろうと秀吉(ムロツヨシ)は家康を圧倒しに来たのではないかとも。微妙ですけどね。

しかし何らかの意図をもって秀吉は家康をどうしても上洛させるために、妹と母親まで人質に差し出す。すごい覚悟、あるいは深謀遠慮。はさみ将棋でいえば、家康を木下家がはさんだ状態。

そして妹を演じたのがなんと山田真歩!サイタマノラッパー2」のあのお姉ちゃんですよ、「花子とアン」のあの女流作家ですよ、そしてあの「シャーロック」で佐々木蔵之介を食いまくっていた彼女です!

彼女でなければ、無理に場を明るくして自らの不幸を隠すという難役はなかなか。大河はキャスティングで冒険するのが常だけど、ムロツヨシと山田真歩が兄妹という設定はさすがにすごい。

ところで、来週はなんで大河はオンエアされないの?え、ラグビーかあ。あの大騒ぎだった前回のワールドカップを一度も見ていない人間としては……いえなんでもないです。

第35回「欲望の怪物」につづく

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