事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ダンケルク」Dankirk (2017 WB)

2017-09-21 | 洋画

戦争映画といっても、決して血湧き肉躍る題材ではない。なにしろ連合軍の撤退作戦を描いているのだから。真珠湾攻撃を描いた「トラ・トラ・トラ!」や、超オールスターキャストを用意してマーケット・ガーデン作戦をネタにした「遠すぎた橋」の興行的惨敗を考えれば、敗戦を描くのはとても勇気が要る。

そこを、クリストファー・ノーランはチカラでねじふせた。三つのストーリーをまず用意し、

・1週間(ダンケルクの海岸で英国兵を船で撤退させる顛末)

・1日(イギリスの民間人がみずからの船で救出に向かうお話)

・1時間(英国空軍のスピットファイアとドイツのメッサーシュミットの空中戦)

という三つの時間をより合わせ、それぞれのクライマックスを微妙に相関させている。

この、まるでアクロバットのような脚本を、CGをほとんど使わず(実際にドッグファイトをやらせている!)、セリフをそぎ落とし(日本語吹替版ってあるのかな)、端役にいたるまでみごとな面構えの役者を起用して傑作に仕立て上げている。

ノーランにしては上映時間も短く、「ダークナイト」のように三本分のアイデアをつめこんだ高カロリー作品ではないけれど、英国人船乗りの誇り高い行動(「わたしたちの世代が始めた戦争で子どもたちが死んでいくのはがまんできない」というマーク・ライランスの矜持に感動)、ドイツ軍に追いつめられ、自分さえ生き残ればいいと卑怯なふるまいをしてしまった少年兵が、故国に帰り、老人から毛布を受け取り「顔も見ないで毛布を渡してくれた」と涙ぐむエピソードなど、しみじみとさせてくれる。

敗軍の兵士たちを英国人は熱狂して迎える。しかし主役である少年の顔は晴れないままだ。このあたりの苦みもまた、しみじみといい。

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5 コメント

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3本立て (まっつぁんこ)
2017-09-22 08:29:43
陸海空3本立てなのはわかるけどすすみが違うということは素通りしてしまいました(^^)/
敗戦映画 (もののはじめのiina)
2017-09-22 09:26:01
「トラ・トラ・トラ!」「遠すぎた橋」も敗戦を扱った映画でしたか。

それに、「クリストファー・ノーランはチカラでねじふせた。」 のでした。^^
左様なのです。ノーラン監督なのに no run なことはなく、走り続けるのでした。

見逃したといえば…… (hori)
2017-09-23 00:00:47
うわああのパイロットはトム・ハーディだった
のね(笑)。気づかなかったなあ。
ご無沙汰です (ぱたた)
2017-09-24 23:19:09
ノーラン監督作は《バットマン以外》全部
鑑賞しています。オープニングからラスト
近くまで緊迫感続きなのは脱帽でした!
台詞も必要最小限、ノーラン監督作にしては
2時間以内の上映なのも◎
スクリーンで観て正解でした!
なんでバットマン見ないんだ(笑) (hori)
2017-09-25 17:46:45
見ようよ「ダーク・ナイト」。
にしても作家性の強さを製作陣が
簡単に許すあたり、よほど信頼されてる
んだなあ。

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