ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

夏越の神事

2013-06-30 | 日記
一年も半分が過ぎ、
行って参りました。
夏越の神事、大祓。

皆様もお体に気を付けて、
暑い夏を越しましょうね。


パンパン、御祓いした後、
婆ぁに会いに行きました。
すると、
「おぉ!」

カサブランカがお見事、
美しく咲いていました。

主の帰りを、首を長くして待っているような、
主の水を待っているような、そんな顔でした。



散華の如く~桔梗の刺繍と、十兵衛様~

2013-06-30 | 散華の如く~天下出世の蝶~
藤吉郎「奥方様ぁ、あれにございます、あれ。あれがその寺にございます」
帰蝶「あれが…寺?」
サルの指差す方向に、寺…というより、御屋敷。
物々しく武装した阿吽が仁王立ちで待ち構える。
藤吉郎「ここでお待ち下さいませぇ、このサルめが話を付けて…」
帰蝶「ちょ…ッ」
待てと、止めるも利かず、
ぽーん、投げ飛ばされた。
ドッシーン、
サルが、
藤吉郎「おぃちちちちぃ」
尻を摩り摩り戻って来た。
「分からん奴らですさぁ」
流石の人たらしも話が出来なければ、
阿吽の心を掴む事が出来ないとみた。
帰蝶「私が行こう」
そうなれば、この尼が本領発揮。
話の通じない輩と異人怪人罪人、
その意思の疎通図るはお手の物。
侍女を連れて、阿吽像の前に躍り出た。
懐から、マリア観音の包みを取り出し、
衣から、マリア観音のお顔を覗かせた。
観音様と同時に顔を出した刺繍を見て、
阿吽の片割れが「しばし待たれよ」と、
和尚、和尚と和尚呼びに行ってくれた。
和尚「十兵衛殿の、縁者と…?」
何を焦っいるのか?
しきりに汗を拭う。
帰蝶「十兵衛が従妹、濃にございます」
そう言って、私が刺繍した桔梗の花を見せた。

散華の如く~戦艦ヤマト?~

2013-06-29 | 散華の如く~天下出世の蝶~
“いずれ戦は船の上。慣らすが良い”
五兵衛「あンダラ何を…」
帰蝶「女神の船は沈まぬ、のであろ?」
北近江を手中に治めた後、
大きな戦艦を琵琶に配置、
各国列強の度肝を抜いた。
この戦艦を設計したのが、
元海賊の、五兵衛だった。
設計図無しで鉄砲を分解、
連射短銃の作製や造船等、
五兵衛「面ドクセェ…」
ぶぅぶぅと必ず文句を言うが、
帰蝶「船が楽しみじゃ」
殿の絶対的信頼の中、
実績を上げてくれた。
殿は、元農夫のサルや元罪人といった家臣を大切にする。その一方で、
血筋出生権力を傘に幅を利かせる、能書き古株家老たちを邪険にした。
碌に手柄もなく親の七光り石高だけは人並み以上のこの体制をいつか、
“切ってくるわ”
子息子孫のためにならぬと家老の首を取る…その好機を窺がっていた。
御身内切りはこの頃からで、逆に空席を用意周到、引き抜きで埋めた。
引き抜きによって殿の腹心まで上り詰めたのが私の従兄明智様だった。
この頃私は、本能寺謀反の立役者、その買収に一役買っていた。
まずは彼の最愛の方、熙子様の懐に入る、それが密命であった。
買収の真意と密命を包み隠すように、そぉ…と、
掌のマリア観音を私の衣で包み、懐に仕舞った。
すると、
五兵衛「…」
胸に仕舞われた少女の上に、そぉ…と掌を置き、頷いた。
それは黒も私に対して行う、異国の、忠義の証であった。

散華の如く~大和のためなら…~

2013-06-28 | 散華の如く~天下出世の蝶~
神代の、
ヤマトの悲劇がある伝承を作った。
海を渡る日本武尊の船を嵐が襲う。
ヤマトの巫女は嵐を鎮めんがため、
「大和を、どうかお守り下さい」
自らを生贄に、船首から身を投げた。
その後、巫女の祈りは天と海に通じ、
武は無事、海岸に着いた。しかし…、
その心に大きな傷を残してしまった。
神力神剣をその手に持ったとしても、
少女のたった一つの命すら救えない。
犠牲の上に立つ大和に、
何の意味があるのか?
ヤマトは深く悲しみ、
遂に宝剣を熱田に奉納、
国家の象徴を手放した。
この悲劇から、
“女を船に乗せるな”
海の男たちの女神信仰が生まれた。
生贄を女神に転生させ船首に飾る。
“うちの神さん、嫉妬すっから”
海賊は神を言い訳に、
女を、船に乗せない。
「乗せて…」
五兵衛「あ?」
帰蝶「私を船に、乗せよ。送金は、そのためであろう?」
五兵衛「…」
女神がなぜ、殿と五兵衛を引き合わせたか?
女神がなぜ、私と五兵衛を引き合わせたか?
帰蝶「この目で、見たい」

散華の如く~男たちの、女神信仰~

2013-06-27 | 散華の如く~天下出世の蝶~
神と仏は仏師により先に融合を果たし、
マリアと慈母観音は一つになっていた。
子に恵まれない女にとって、マリアは子安の象徴。
生まれた子の無事や成長を見守る観音は母の象徴。
異国と自国の、母と母。その祈りは同じであった。
それは、我ら女、妻や母の信仰に留まらず、
とりわけ、男たちに、その信仰は篤かった。
それが、男たちの女神信仰である。
帰蝶「そなたらの女神も、マリアに似ているのか?」
紺青様…一度、拝見したい。
海の男たちが崇拝する女神、
如何なる御姿なのであろう?
金色の肌に海色の御召し物、
如何にして海男を守るのか?
五兵衛「…大和の神をよ、」
大和の神とは日本武尊(ヤマトタケルノミコト)である。
殿が戦勝祈願、戦の無事を祈る尾張熱田神宮の御祭神。
※三大神器の一つ天叢雲剣(草薙剣)が奉納されている。
帰蝶「ヤマトの神…を?」
海を渡り、嵐に遭遇。
嵐神を鎮めんがため、
五兵衛「一人、海に飛び込んだバカで、そんが、こんよ」
紺と呼んで、見せてくれたのは一枚の絵だった。
帰蝶「こ…」
絵の中に愛らしく、にこり、微笑む異国の少女。
五兵衛「おらぁが乗ってっから、海の神さんが怒ったとよ」
私にだけその娘を見せて、
ささと懐に娘を仕舞った。
帰蝶「…」それ以上、聞かなくても、
五兵衛の過去が、分かってしまった。

散華の如く~マリア観音~

2013-06-26 | 散華の如く~天下出世の蝶~
殿に沢彦様や方丈様といった賢い僧が付く一方で、
御仏の黒い袈裟の影で行を怠る腐った坊主もいる。
禁欲も行もなく、中身のない説教を続ける坊主の、
温く腐ったその体質が、殿の気質に合わなかった。
“報恩忘れた坊主の、因果応報”
押切長谷部…あの事件は坊主への宣戦布告とでも、
見せしめとでも言おうか、寺との決別を意味した。
パードレと坊主、殿と寺の和を何とかせねば…と、
懐から像を出し、観音像に意味無く、祈ってみた。
藤吉郎「奥方様…それは?」
帰蝶「先ほど、方丈様が下さった観音様」
“旅の御無事を…”
手を合わせ祈る、上半身のみの像で、
掌に乗る程の小さな観音様であった。
それはどことなく…
藤吉郎「おぉ美しや。奥方様によう似ておられますなぁ」
こんオベンチャラがッ。
帰蝶「…」しかし、どことなく…マリアに似ている。
この頃、南蛮寺に寄進する像を仏師に作らせていた。
それはマリアと観音を融合させたような像であった。
後にこう呼ばれるもの、
「マリア観音じゃ」
それを聞き、そっぽ向いていた五兵衛が、
チラッ、私とマリアの観音像を盗み見た。
すると、
五兵衛「あッ、と。イゃぁンでもネェッ」
帰蝶「そなた…」声が裏返った。
明らかに動揺し、それを隠した。
「嘘が、下手じゃな」
五兵衛「…」

散華の如く~仏に代わり、排除すべし~

2013-06-25 | 散華の如く~天下出世の蝶~
仏様に花を供え、無事を祈り、いざ出立。
パッカパッカと猿に馬の名綱を引かせて、
帰蝶「天台とは、また…」不安であった。
高僧尼の身なりで恰好は付いた。
しかし、御供の者がこれでは…、
仏門から縁遠い海賊が修験山伏、
五兵衛「ンだ?」
これでは盗賊か、はたまた山賊。
しかも、
藤吉郎「おぉ花、花にございますぞ、奥方様ぁ」
私と侍女におべっか使う汚い猿。
帰蝶「…。大丈夫であろうか。密教とは特に女人禁制…私が詣でて…」
藤吉郎「奥方様だからこそ、入れる場所にございます」
ヒヒヒと笑って、私を見た。
時に鋭く光るその目が怖い。
殿はこの者の奥に潜む、欲、
野心を高く評価していたが、
私は賢過ぎる猿が怖かった。
帰蝶「なるほど…尼寺か」
この時代、聖地修験場は女人禁制。
修行の妨げ、穢れを排除していた。
しかし逆に女を庇護する寺がある。
それが尼寺である。
夫を亡くし、行き場を失くした諸大名の妻や侍女、また、
性暴力を受けた女性の身元受け入れ先に、と考えらえた。
尼寺は僧寺に付属して建てられる。つまり、
男性僧侶に守られる形で尼寺が建てられた。
寺によっては風紀風潮袈裟僧侶が乱れに乱れ、
娑婆から女を連れ込み、妾を囲う高僧もいた。
“腐った坊主が、数多おるわ”

最近…ちょっと子供帰り

2013-06-24 | 日記
昨日丸一日、家を空けました。

すると、じぃちゃん、
機嫌悪くなりました。

「んにゃぁ~!!!」
至る所で腹いせをして、

じぃちゃん無理は禁物。
人間年齢90歳近いです。

すぐに、体力を使い果たし、
「ちゅかれた…」

他人の膝で、寝んねします。

手の掛かるじぃちゃんで、

手が掛かるほど、
可愛いもんです。



散華の如く~供華~

2013-06-24 | 散華の如く~天下出世の蝶~
かつて、安倍清明も桔梗五弁を象り、
魔除け五芒星、陰陽の印にしたとか。
桔梗の魔性魔力が、私に襲い掛かる。
頭を締め付けられ、
がッ、がッ、
鈍い音が鳴り響く。
方丈「姫様…?」
帰蝶「いえ…何でも、ありません」
度々、私の脳を襲う頭痛と、
嘘か誠か、不可思議な映像。
そして、フッと突然消えて、
痛みが去って、私に戻れる。
「桔梗は、床の間のお花にございますか?」
方丈「…いえいえ、供華、しようかと」
帰蝶「ここの仏様も、花がお好きなのですね」
方丈「若く美しい花…見頃咲頃と、」
帰蝶「…」
方丈「特に、これからという命を好まれ、供華に致します」
帰蝶「これからという命を…」
次のを選りすぐり、
パキン、
さらに一輪切った。
方丈「仏は全て存じている。強く光放つ、美味い御霊を、御存じなのでございましょう」
帰蝶「供華にされた命を、御仏は、如何に召し上げるのでしょう?」
方丈「さぁ…」
す…と一輪、私に供華を差し出し、
「如何に見えますかな、この供華の顔…」
帰蝶「少し泣いて、少し微笑んで、見えまする」
方丈「それが、供華の最期にございます」
切られた花の死に顔は、是非に及ばす、穏やかだった。

散華の如く~裏紋、水桔梗~

2013-06-23 | 散華の如く~天下出世の蝶~
三日三晩降り続けた雨は上がり、
キラキラと朝日に露珠が煌めき、
帰蝶「あ…桔梗…」
五弁で珠がユラユラ揺れていた。
方丈「晴れましたな…」
濡れた草履で外に出て、
どれにしようか生け花、
桔梗の首を選りすぐり、
床の間の一輪挿し用か、
茎の部分に刃物を入れ、
パキン、切り花にした。
水に活けられた桔梗は、
じ…と私を、見ていた。
気が付けば、
帰蝶「あ…」
庭に植えられた桔梗が、私を見ている。
咲き誇る我が一族の証しが睨んでいた。
母から受け継ぎ、私はこれを裏紋に使っている。
殿の木瓜紋の裏に咲く、私の印である桔梗の花。
花が一斉に私を取り囲み、私に刃を突きつける。
“全ては、この桔梗のため…”
かつて、我が氏族の祖、土岐様は、
兜に桔梗を飾り、戦い抜いたとか。
桔梗、散らさぬよう、
その首落とさぬよう、
我が氏族を守るよう、
家の印、家紋にした。
「私の…花…」
方丈「は?」
帰蝶「…泣いている」