ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~休憩中…~

2013-06-05 | 散華の如く~天下出世の蝶~
猿は故郷を素通り、折角なら…と、
帰蝶「藤吉郎殿、親御様に逢うて行かぬのか?しばし待つぞ」
しかし、休憩を、
藤吉郎「お役目中、ここを離れるわけには参りませんッ」
キッパリ断った。
帰蝶「そ…う?」
殿の言い付けは絶対。
任務優先、着実遂行、
真面目な男であった。
殿の危険には、いの一番に駆け付け、
我が身を挺して殿を死守したらしい。
それに、
藤吉郎「お市様ぁ~お市様ぁ、何かの時はこの猿め、御迎えに上がりまするぅ」
たとえ火の中水の中、お市のためなら、
馳せ参じる…そんな気迫と勢いがある。
市に忠誠の篤い男と、
“あんとこ、きぃつけぇ”
私に忠誠の篤い男を、
天秤にかけて、
ぐらりぐらり、信頼揺らぎ、
慣れない旅で、頭痛が酷い。
五兵衛「ほれぇ言わんこっちゃねぇ乗れ」
帰蝶「大事無い」
ここで馬に跨れば、身分素性がバレる。
ボロを纏い、顔に泥を塗る意味がない。
野盗に狙われ、皆に迷惑かけては…と、
五兵衛「えぇから乗れて」
ひょいと、五兵衛に負ぶされ、
帰蝶「…忝い」
彼の、潮の香りに心を休めた。