かつて、安倍清明も桔梗五弁を象り、
魔除け五芒星、陰陽の印にしたとか。
桔梗の魔性魔力が、私に襲い掛かる。
頭を締め付けられ、
がッ、がッ、
鈍い音が鳴り響く。
方丈「姫様…?」
帰蝶「いえ…何でも、ありません」
度々、私の脳を襲う頭痛と、
嘘か誠か、不可思議な映像。
そして、フッと突然消えて、
痛みが去って、私に戻れる。
「桔梗は、床の間のお花にございますか?」
方丈「…いえいえ、供華、しようかと」
帰蝶「ここの仏様も、花がお好きなのですね」
方丈「若く美しい花…見頃咲頃と、」
帰蝶「…」
方丈「特に、これからという命を好まれ、供華に致します」
帰蝶「これからという命を…」
次のを選りすぐり、
パキン、
さらに一輪切った。
方丈「仏は全て存じている。強く光放つ、美味い御霊を、御存じなのでございましょう」
帰蝶「供華にされた命を、御仏は、如何に召し上げるのでしょう?」
方丈「さぁ…」
す…と一輪、私に供華を差し出し、
「如何に見えますかな、この供華の顔…」
帰蝶「少し泣いて、少し微笑んで、見えまする」
方丈「それが、供華の最期にございます」
切られた花の死に顔は、是非に及ばす、穏やかだった。
魔除け五芒星、陰陽の印にしたとか。
桔梗の魔性魔力が、私に襲い掛かる。
頭を締め付けられ、
がッ、がッ、
鈍い音が鳴り響く。
方丈「姫様…?」
帰蝶「いえ…何でも、ありません」
度々、私の脳を襲う頭痛と、
嘘か誠か、不可思議な映像。
そして、フッと突然消えて、
痛みが去って、私に戻れる。
「桔梗は、床の間のお花にございますか?」
方丈「…いえいえ、供華、しようかと」
帰蝶「ここの仏様も、花がお好きなのですね」
方丈「若く美しい花…見頃咲頃と、」
帰蝶「…」
方丈「特に、これからという命を好まれ、供華に致します」
帰蝶「これからという命を…」
次のを選りすぐり、
パキン、
さらに一輪切った。
方丈「仏は全て存じている。強く光放つ、美味い御霊を、御存じなのでございましょう」
帰蝶「供華にされた命を、御仏は、如何に召し上げるのでしょう?」
方丈「さぁ…」
す…と一輪、私に供華を差し出し、
「如何に見えますかな、この供華の顔…」
帰蝶「少し泣いて、少し微笑んで、見えまする」
方丈「それが、供華の最期にございます」
切られた花の死に顔は、是非に及ばす、穏やかだった。