夢を見た。あの頃の、夢。
「もういいかい?」
“まぁだだよ”
「もういいかい?」
“もう良いよ”
武庫を抜けて、
大仏殿御堂へ。
剥げた金色菩薩様、
“隠れても良い?”
手手を合わせると、
観音様が微笑んだ。
美しく細く長い指が天と地を示す。
左手親指と中指で清浄蓮花を持ち、
人差し指で天に指し、清浄を示し、
右掌は平らにして、下を指し示し、
救い求める御霊を受け入れ降魔印。
釈迦の悟りを邪魔する魔を封じる。
印の先を辿れば、
“こんな所に…”
地下に続く入口。
弟が見張り、
私が潜んで、
「みっけた」
“…光…様…”
姉婿に見つかった。
弟が仏前に突き出され、
菩薩面が憤怒に変わり、
弟が…、
“すまぬ信吾…この姉を、許せ”
気付くのが、遅かった。
「もういいかい?」
“まぁだだよ”
「もういいかい?」
“もう良いよ”
武庫を抜けて、
大仏殿御堂へ。
剥げた金色菩薩様、
“隠れても良い?”
手手を合わせると、
観音様が微笑んだ。
美しく細く長い指が天と地を示す。
左手親指と中指で清浄蓮花を持ち、
人差し指で天に指し、清浄を示し、
右掌は平らにして、下を指し示し、
救い求める御霊を受け入れ降魔印。
釈迦の悟りを邪魔する魔を封じる。
印の先を辿れば、
“こんな所に…”
地下に続く入口。
弟が見張り、
私が潜んで、
「みっけた」
“…光…様…”
姉婿に見つかった。
弟が仏前に突き出され、
菩薩面が憤怒に変わり、
弟が…、
“すまぬ信吾…この姉を、許せ”
気付くのが、遅かった。