ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~釈迦最期の、お説教~

2013-06-13 | 散華の如く~天下出世の蝶~
説教じゃ、説教。
方丈「そこ座ンなさい」
帰蝶「座っております」
方丈「愚かな、素性を泥や襤褸で隠そうなど」
これだから世間知らずのお姫様は…、やれやれ、
まったくッ、従者の命、なんだと思っておるか。
いっちいち細かい事を、くどくど、説教されて、
「今ちっこいのが竈で牡丹を煮ておるわ、精が付こう」
帰蝶「は?」牡丹とは、ぶふぉぶふぉ猪の肉。
方丈「不服か?」
帰蝶「可笑しい…御坊様が、牡丹を召し上がるなんて…」
方丈「人の善意、仏の供物、無碍にできるか?勿体ない」
帰蝶「まぁ」呆れた。
偉そうに人に説教だ説法だと言って、
御自分は、勿体ない勿体ないと殺生?
方丈とは名ばかりの大層な生臭坊主。
「仏法規律違反に、こちらの仏様はお怒りにならないのですか?」
方丈「うち仏はな、説教を止めた、疲れたと。どれ拝みたいか?」
帰蝶「ちょ…」手を合わせたいなんて、
ひと言も言っていないのに勝手な坊主。
こっちゃ早よ来い、私を本堂まで連行。
その本堂には、
「まぁ、木仏御釈迦様が…眠ってる?」
ゴロン、寝っ転がって休む、寝仏涅槃。
薄ら半目を開けて、何を思うお釈迦様。
方丈「釈迦の臨終、説法最期の姿よ」
帰蝶「最期…?」
方丈「いつの世も分からん奴が多い。説教も、さぞ疲れたであろう」
帰蝶「それは誠…、御疲れ様にございます」
私は、その悲しい現実に、自然と涅槃釈迦像に手を合わしていた。