ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~縁座~

2013-06-22 | 散華の如く~天下出世の蝶~
雨乞いで召喚された竜神様は、
梅雨を呼び、暫く停滞された。
水神様の“行くな”とのお告げか、
私は三日間、ボロで厄介になった。
後にも引けず、
先にも進めず、
方丈「さて今日は…」
帰蝶「…」
禅寺だけあってやることは豊富。
写経、読経、座禅、瞑想で悟り、
茶の湯で涅槃、心の掃除と洗濯。
しかし三日の説法坊主も飽きた。
「…方丈様は、なぜ御坊様になろうと?」
方丈「なろうと頭丸めたなったわけでは…」
言葉を選び、
言葉に迷い、
遂に明かした事実とは、
「この命、母に救われ…」
元は武士の出。しかし敗戦。
残党追捕令により御家断絶。
母は幼い身一つを寺に預け、
その後、捕縛されて、縁座。
「寺に匿われて、生かされましてございます」
帰蝶「縁座(連座ともいう、刑が家族身内にまで及ぶ事)…」
もちろん、私の、この身にも在り得る話で、
尾張が敗戦国となれば、斬首磔は免れない。
方丈「浮かばれない、その御霊でも救おうかなと…そう思いましてな」
後にこの方丈横山禅師は美濃に寺を移され、武田との仲立ちをする。しかし信玄没後、
状況は急変。武田嫡男勝頼との戦が起きた。その時、我が嫡男信忠を寺で匿っていた。
その罪で寺は焼き討ち、そして彼は斬首された。