ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

最上の斯波

2011-02-28 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
与一の右手を押さえ込み、いきなり、ガバッと与一に抱き付いた、そのもがっちゃんに、
能子「ひゃッ!(もしや両刀遣い(男女OKな人)!?」と突然の異性ライバル出現に困惑した。
与一「…男に興味ない」と静かに言い放ったら、
もがっちゃんなる人物「やっぱ、資(すけ)の隆坊※だぁ」※与一の本名 那須 資隆より
与一「…?」どっかで聞いた記憶が残る声と訛りだけど…思い出せず、
もがっちゃんなる人物「ひっさしぶりだなぁ!俺だよ俺。俺っちの顔、忘れちまったぁ?」と、すかさず右手で、与一の頬をブチュと潰した。
もがっちゃんの顔と与一の顔が、もうちっとで触れるぅ…って所で、
能子「あ゛(男同士でキス!?)」と思い、両掌で「きゃッ」と目を押さえたが、指と指の間隔をちっと開けて隙間を作り「ちょっと…(与一の反応に興味ある)」ので様子を伺っていた。
すると、
与一「…じば…ざん゛」と潰された頬で上手くしゃべれず…聞き取り難いが、
斯波「久しぶりで分かんなかったか?この銀細工見りゃ一目瞭然だろ?」と与一の目を覗き込み「ん?」と聞いて「お前…」と急に顔色が変り、パッと頬から手を離した。
能子「あ、あの、彼の目…」の説明を、与一は遮り、
与一「…斯波(しば)さん。随分、御無沙汰して…」と挨拶の途中で遮られ、
斯波「その目!」肩に手を置き、力を込め「どした?」とドスの利いた太い声で訊いて来た。
与一「5,6年くらい前から、です」と目を伏せた。
斯波「!?」
与一「それから…これ、妻です」と能子を紹介した。
斯波「これ?」と能子を見て「えらい年上を嫁に貰ったな。俺様に丁度いいと思ったが…」
与一「お持ち帰りだけはご勘弁を…あなたとは戦いたくない」
斯波「おぉお♪言うようになったなぁ」
童ちゃん「おい、知り合いか?」
斯波「…って、俺はアンタと隆坊が顔見知りってのが、超!摩訶!不思議なんだけど…」
与一「酒呑さんとは、昨日…会いました。ちょっと教えてもらいことがあって…」と詳しくは語らず、童ちゃんには「母方の親戚です。小さい頃、よく面倒掛けました」と斯波との関係がそういうものではないという説明に、
能子「(母方って)新田…さん」
与一「…。あぁ」

出会いは必然

2011-02-27 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
一方で、キョロキョロ「どこ?」と能子が、酒田街道で迷子になっていた。
与一は朝の弓稽古を終え、乙和さんから貰った薬を目に点して「ちょっと、約束がある」と出て行った。その後、総出で繭子を見舞ってから部屋に戻ったが…与一が戻っていない「あの目で、どこへ?」と不安になり探しに出たが、とんでもない方向音痴の能子は迷子になってしまった。料亭帰る道も分からなくなりオロオロになって…前を見ずに歩いていたから、
ドッシーン!
能子「きゃん!」と人にぶつかってしまった。すっ転ぶ瞬間パッ!とすばやく、
ガッシッ「おっと」と腕を掴まれ「気を付けな」とナイスキャッチされた。
能子「…。あ、ありがとう…ございます」と頭を下げた拍子に「ハッ!」と目に入ったのは長槍の柄の部分に施されている銀細工だった。その龍の銀細工を見て「ひゃ!?」とビックリ、仰け反ったら尻餅付きそうになり「気をつけろって」素早く体を受け止められた。
能子「…。す、すみません。不慣れな状況で…」と言い訳し、それでも銀の龍に釘付けになって「ステキ…」クッと顔を上げ、キリッとした顔で「…ですね」と念をしたら、
「だろ?」と勘違いされ、ひょいと持ち上げられ「なら、いっか?」と笑顔で抱えられた。
能子「え!?ちょっとぉ?」お持ち帰り!?…それだけは、イヤ「よ、与一ーッ」とバカでっかい地声で夫 与一の名を叫び、助けを求めた。ら!?
そのお持ち帰り男は「よ い ち?」の名を耳にして訝しく思い、首を傾げた。そこへ、
与一「…何してんのだ?」と目を細めた。ぼんやりして見えん…。
隣にいた童ちゃんが「おろ?もがっちゃん…」と、お持ち帰り男をそう呼んだ。
そのもがっちゃんなる人物は「人を反カルガモ隊みたいに呼ぶな」と能子をストンと降ろし、
能子「よ、与一ッ!どこ行ってたの?」と言った。やはり、その“与一”という名に、
もがっちゃんなる人物は首を傾げつつ「よ い ち…」をガン見していた。
与一「約束があるって言ったろ。それより、何してんだ?」
能子「アンタの帰りが遅いから!探しに来たら…」
与一「迷子?」
能子「え!?えぇ。そうなの…って、そうじゃなくて!ほら、私があまりにも可愛いから…」
与一「お持ち帰りされそうになったって訳か」と能子の話を適当に聞き流し、大まかな内容を把握して…クルッと、もがっちゃんなる人物の方を向き「うちのを助けてもらったようで」と刀の鞘に手を置き「ありがとう…」とお礼と共に、抜刀しようとしたら、
素早くガッシッ!と、

兄の影

2011-02-26 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「賀茂女、何か悪ぃもん食ったのか?」と問い掛けに、
河合「いや…」と困った顔をして「腹痛の薬、飲ませたんだが…」
義経「ふぅん…」兎に角、休ませようと鳥海山荘に入ろうとしたら、
ヒュー…ンと何か飛んできて、コツン!
匠「アテッ」と頭に大当たり。ポトッと紙包みが落ちた「なんだ、これ?」と拾い上げてみると「芍薬(しゃくやく)!?」の根の乾燥粉だった。
河合「鎮痛剤ッ!ありがてぇ。早速、煎じて…」と投げられた方に向いたが誰もいなかった。
その薬のパッケージに見覚えあり「ハッ!?」とした匠「賀茂女ちゃんに飲ませてあげて…」と河合に薬を渡し、その姿を走って追った。
海尊「おい、匠!?」
義経「海尊!賀茂女を部屋に運べ。冷!牛に頼んで診てもらえ」と命じて、匠を追い掛けた。
兄の影を追い、匠「兄貴ぃ!」と呼び掛けるが、返事は無かった。
さらに奥の藪の中へ進もうとしたから、
義経「タクッ!」と呼び止め「それ以上行くと…迷子になる」とムジナまで連れ戻したら、
佐藤 継「こんのぉ、ヒステリーがっ!」バーン!とムジナの戸を豪快に開けて出て来た。
義経「おっ、鞘に納まりきらんのか?」と匠をしょっ引いていたから、
佐藤 継「ん?」と匠の顔をじっと見つめて、まじまじとガン見して…
匠「?」
そこへ、佐藤 忠「そこっ、片付けとけ!」と言い放ち、忠信も外に出て来た。
義経「なんだ、亭主関白に納まったか?」
佐藤 忠「酒臭くてお話になりませんって。酒抜いてから話付けようや!ってさっ」
義経「…くの一姉妹って結構な恐妻家だな。あ…それより、こいつは佐伯の…志鷹 匠…くんで、新しい弟分だ」と簡単に紹介した。
佐藤 忠「た く み…くぅん??」
匠「はい!タクッて、呼んで下さい!」とにっこり笑った。
佐藤兄弟「あ゛!?」と気が付いたらしい…、
義経「ま、というわけだ。よろしく頼む」と二人に言ったら、河合が走って来た。
河合「おーい!松尾さんに聞いたら、香月さん…酒田の患者、診に入っちまったってよ」
義経「酒田…。俺たちもそこ行くんだっけ。じゃ、しばらく休ませたら酒田に診せに行くか」皆に出発の支度をするように言って「1時間後、ここに集合、なっ」と風呂に向かった。

人間関係のほつれ

2011-02-25 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
佐藤 継「着物の解(ほつ)れ?」
義経「解れに、わざわざ、紅を塗るのか?」と考え「…。(濃い紅だな)」と思った。
佐藤 継「どうした?」
義経「いや、なんでもない。酒抜きに行こ…」と外へ出ようとしたら、
ダダダダダーーーッ!と遠くから走ってくる足音が聞こえ、ガラッ!と戸が開いた。
初音&楓「ぜぇ、ぜぇ、はぁ、はぁ、継っ!!!忠ぁ!!!」と、くの一姉妹が参上。
佐藤 継&忠「よっ!」とチャオして「4年ぶり!初音、元気してたか?楓」
初音&楓「わぁーん、わんわん」と大泣きして「会いたかったぁーー!!」と抱き付いた。
後から遅れて入って来た冷「あらぁ?反物王子様は?」と呆れて、夫婦の再会を眺めていた。
佐藤 継&忠「おい、よせよ。皆が見てる」読者も想像するぞ、と満更でもない様子だが、
初音「ん!?紅!」の付いた着物に気付き、楓も「もしや!?浮気!」疑惑が再浮上した。
佐藤 継「何言ってんだよ、違う!誤解だ、誤解!ツネ、何とか言えよ」
義経「俺が付けた紅じゃねぇよ…」とエプロン取って、クルンで…風呂の用意していた。
佐藤 忠「ボケかッ!誤解を解けって言ってんだよ」
初音「ご・か・い?じゃ、私たちが助けてから4年間、どこほっつき歩いての!」
楓「忠!あの子とまだ続いるんじゃないでしょうねっ!」と二人ヒステリックになっていた。
佐藤 継「おい。俺は、忠と違って浮気してないぞ!それに4年間、密偵してたんだって!」
佐藤 忠「おまえっ!いつまでも昔の事を!それに、あいつ(愛人)とは、もう終ったっ!」
と、何やら夫婦問答が始まり…俺は冷と顔を見合わせ、掌を上に、肩すくめ、
義経「お前ら…10分で、元鞘に丸く納めとけよ…」と、冷と二人でムジナの外に出た。
それに、あいつらの『狐の恩返し話』が作り話だという事が分かった。初音と楓に助けられたんだ。これじゃ、一生頭上がらんな…と思った。
外まで筒抜けの夫婦ケンカ、聞きたくなくても聞こえてくるので聞いていた…。と、そこへ、
匠「おーい!」と呼び掛けられた。
義経「ん?えらく早ぇ帰りだな?」と海尊に負ぶされてる賀茂女「…どした?」と聞いたら、
河合「腹、痛くなったんだって」
賀茂女「う゛…ん、ごめんなさい。修行中に…」
義経「何言ってんだ、無理すんな。修行なんてどこでも毎日やろうと思ったら出来る、な」と海尊と匠を見て同意を求めたが、
海尊&匠「毎日…?」と二人顔を見合わせて、とってもイヤそうな顔をしていた。

もったいねぇ剣豪

2011-02-24 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
エプロンに仕舞っておいたショールを取り出し、広げて見ていたら、
佐藤 継「ん…?」と、うすぅく目を開け、眠気眼で「それ、あいつン?」
義経「あぁ」とショールを継信に渡して、見せた。
佐藤 継「…平家だったんだ、あいつ…」とあくびしながら、ぼんやり見ていた。
義経「あぁ…」
佐藤 継「お前が罷免された後、少尉にあがった。それより…あいつの手、見たか?」
義経「あぁ。すんげぇ剣ダコ…だったな」
佐藤 継「もったいねぇ剣豪だ…」と苦笑して「フッ」とショールを返し「おい、起きろ」と弟 忠信の頭を足で小突いた。
佐藤 忠「ふぁ…」と大きなあくびをして「おっす!」と元気に挨拶した。
義経「よし!朝風呂いっかっ」と誘って「もう…昼風呂近いな…」と言い直した。
佐藤 忠「ちょっと待ってろ」と『親族関係者以外立入禁止』部屋にそぉっと入ったから、
佐藤 継「大丈夫だぞ。しばらく起きん。俺たちの話…ずっと聞いてやがったからな」
義経「え!?即寝たんじゃないのか?だって、いびきが…」うるさくて、
佐藤 継「いびきじゃねぇ、うなり声だ。親父がうなる時、戦法思索中か新メニュー思案中だ」
義経「…(おいおい、俺の隠し子…バラすなよ)」内心ドキドキもんだ。
佐藤 継「あ!それから、俺らのお袋に気をつけろ。お節介で曲(くせ)が悪い」
義経「あぁ!旅館の女将」と上を見て、乙和の名札付きエプロンを見るのに下を向いたら、床に付いた赤線が目に入った「灯りを点けてくれ」と部屋を明るくしたら…「なんだ、これ?」
佐藤 継「あぁ~らッ、義経さん。こんな所に汚れが残っているわ」とざーます義母(まま)っぽく、赤い線を右人差し指でクイッとのじった。
義経「紅…?」の行方を辿ってみると、外から続く赤線が玄関、奥座敷、さらに、奥座敷から奥の厠(便所)に付いていた。そこへ、
忠信「どったの?」と立入禁止部屋から風呂用具&イケイケメンズグッズ一式を持って現れた。
佐藤 継「これ」と床を指し、人差し赤い指を突き出し、ぐりっと忠信の着物にのじった。
佐藤 忠「うぉ、何しやがる!てめぇ」と負けずに床の赤線をのじって、継信にやり返した。
佐藤 継「こういう目には目を歯には歯を的な仕返しが恨みを買うんだ!」と罵り合い、のじり合いの攻防が続いた。こういう状況で悪ふざけ出来る兄弟がいてうらやましいような、だた疲れるような気持ちで、義経「ふぅ」と溜息き、一人、赤線の分析に入った「この線の細さ…絹?」とお座敷にこん転がってる繭玉を一つ取り出し、繭玉の糸と線の細さを比べた。

拾えるだけの命

2011-02-23 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「ブスでも?そんないい加減な命令下してねぇよ。拾えるだけの命、拾えって命じたろ。俺は真っ先に安徳天皇と天叢雲剣を拾い上げた。与一は…あの、ほとんど見えない目で鈴守の音を追い駆け、あいつを拾い上げてくれたんだ」
佐藤 忠「そん時、能ちゃん…死なせろぉ!くそバカ兄貴っ!!!って、泣いて叫んでたな」
義経「くそとバカは付いてなかったと思うぞ…」バキッと一発かまして「ま、兎に角ご苦労だった。お前らが生きてて…良かった」
佐藤 継「手放しで喜ぶにはちっと早いんじゃね?郷…いや葵だがな、伴の奴らに捕まってる」
義経「伴?」
佐藤 忠「謀反の疑いで飛ばされた大伴家持の子息 伴氏…あいつらも天叢雲剣狙いだ」
義経「チッ。こぞって聖剣聖剣と。奪還に利用されるのは、いつも下のもんだ。黒く肥えた胎をえぐる手段(切腹)も知らねぇくせに…」と苛立って「あのまま…壇ノ浦の底に、聖剣を沈めておけば良かった、かな…」と後悔を口にした。
佐藤 継「酒が不味くなる。しけた顔すんな。それに、あれは清盛が泰平 平和を託した剣だ」
義経「あぁ、分かってる…」と、壇ノ浦で入水直前、清盛の正妻 時子が言い放った『世の泰平 平家の終わりをそなたらの目でしかと見届けよ』という台詞(210ページほど前…)を思い返し「…平家の、終わり…俺らに託すなよ」と愚痴って、一気に酒を空けた。
佐藤 継「…。ペース配分考えろよ」と酒を注いでくれた。
佐藤 忠「俺らがいないと美味い酒も不味かったんじゃねぇの?」
義経「あぁ。あいつ(弁慶)のペースには付いてけん」と、ここから三人ガンガン飲み始めた。
いまだ葵の安否が掴めずにいるが、兎も角、こいつら幼馴染みの健脚を拝めて何より嬉しく思った。そして、再会を肴に最高の美酒『政宗』を浴びるように飲んだ。
チュンチュン…、
と鳥の鳴き声が聞こえ始めた頃、基治さんのいびきが静かになり、そこから俺らはようやく寝て、たぶん…昼近いと思うが、目が覚めた。
弁慶のドリンクに配合されているクルクミン含有のウコンのお陰か、二日酔いの症状も無く、
義経「…何時だ?」ムクッと起きた。その拍子にスルンと毛布が落ち「れ?掛けてくれたのか?」と佐藤の顔を見たが、そんな心優しい幼馴染みじゃねぇ「誰だ?親父さんか?」と思い『親族関係者以外立入禁止』部屋をチラッと見たが「あり得んな」と思って、毛布を畳もうとしたら、ふんわか柚子の香りが漂い「池田…」と辺りを探したが、姿は無かった。
ただ、カウンターにキレイに洗われた小皿が、ポツ…ンと置いてあった。

ちょっと休憩…

2011-02-22 | アクセサリー
義経記…とっても長いですよね。
筆者 松郷本人…ここまで長くする予定はありませんでした。
アクセス数がカウント0くらいまで行けば、強制打ち切り!って思ったけど、
読んでくれている方が結構居られて…頑張ります。
ありがとうございます。

もうしばらく??続きます。

今度、最上 義光様のご先祖様が登場します。
あ、それと池田くんの御子息様は、武将 織田っちと幼少時代一緒に暮らしていたそうです。って、え!?じゃ、織田様を守っていた森蘭丸くんの御先祖様とか登場するん?とかいう話ですが、もうすでに登場してます。
さぁ、どこの忍者でしょう!

こういう想像と妄想って尽きなくて、楽しいですね。
ちなみに、時間を見つけてアクセサリー作りも頑張ってます。









写真、でか過ぎたな…。

何でも?

2011-02-22 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
佐藤 継「まぁ…救いは御前様が強運の持ち主だったって事だな。俺らが蔵王に向かう途中、足を挫いた御前様とバッタリ遭った。んで、俺たちに源氏御曹司義経の隠し子様を立石寺まで御案内しろって命じた訳さ。途中、那須家に立ち寄ったが、与一の実家は、お取り潰しは免れている。…良かったな」と義経を見た。
義経「そ…か、良かった。俺の下に就いたばかりに…大変だったじゃねぇ?あいつン所…」
佐藤 継「新田さんが何とかしてくれたらしいぞ。それに能ちゃんの事も。…それより、あいつ…相当具合悪いらしいな」
義経「聞いたのか?」
佐藤 忠「あぁ。おっかんさんに。一応、薬の木…渡してくれって頼んだけど…」とエプロンの名札を指差した。
義経「乙和?」
佐藤 継「お袋…。でも、その薬も気休めだぞ。で、いつからだ?」
義経「…粟津でトチった時、疑いを持った…」
佐藤 忠「義仲の顔面、射抜いた時か。武将の首挙げるのに面打ち抜く失態はないわな」
義経「…確信したのは、屋島だった。名誉挽回に、与一に扇の的を射抜けって命じたら、出来ませんって即答しやがった…で、分かったんだ。的が見えねぇんだって」
佐藤 継「え…扇の的、ブチ抜いたじゃん?」歴史的功績でお取り潰し免れったって話も…。
義経「あぁ。俺には真似の出来ん芸当だ。扇の両端にバランスを取るのに錫の重りが付いた。それ、俺が能子にやった鞍馬寺の鈴守で…。あいつ、ズバ抜けて耳が良いだろ。だから、目ぇ瞑って鈴の音の出所探れって。音は輪になって広がる。音と音のぶつかる所、ブチ打ち抜けって言ったら、ほんとに射抜きやがった」
佐藤 忠「目ぇ瞑って射抜く奴に我が身を任せた能ちゃん…いい度胸だな。普通、逃げ出すぞ」
義経「…。あいつ、スバ抜けて目がいいだ。俺たちのやり取りガン見してて…見抜きやがった。能子を捕虜にした時、与一の眼ぇ診せろ!診せろ!って、うるさくて…。その後、何かにつけて、与一の…世話焼いてくれてな」
佐藤 継「なんだぁ?与一にとっちゃ、一生頭上がらねぇ姉さん女房って訳か?そこら辺、詳しく教えろよ。俺、そこら辺から死んでるから、事情知らねぇんだ」
義経「その表現にも些か疑問が残るな。ま、いいっか。能子…与一には壇ノ浦で恩義がある」
佐藤 忠「はっはぁん。あん時だ…壇ノ浦で公家平家こぞって入水しようとした時、お前がブスでも何でもいいから拾えっ!って、命じて…」

お面舞踏会?

2011-02-21 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「ちょっと待て。なんで、俺が郷の隠し子を…」
佐藤 忠「…。お前さ…俺らの報告、ちゃんと聞いてる?」
義経「あん?」
佐藤 継「お前の隠し子って言ったんだよ、ボケッ。お面被った姫様イッチャンって覚えてるか?ほらぁ、お面舞踏会 夏のアバンチュール再現!とか言って、護衛中の姫に手ェ出した…」
義経「おい!それは言わない約束だろ。内緒、内緒」シーッと人差し指で口を閉じ『親族関係者以外立入禁止』部屋をチラッと見て、いびきの響きを確認した。
佐藤 継「…。イッチャン古い妾だから平気って、忍び込んで…」
義経「だからッ!」と大声を出して「ハッ」と我に帰り、小声で「あれは…昔の…三河の姫と間違って。って!?ちょっと待てよ…」
佐藤 忠「そ。義仲ンとこに輿入れする姫様 松殿伊子と恐れ多くも間違って手出したろ」
義経「あ゛!?」
佐藤 継「6、7年位前の話だよな…当時、松殿にはそんな娘がいなかった。どこぞの姫さん連れて来た?と身辺調査…で、出て来た娘が同じ三河の姫様で、中原大佐(兼遠、義仲のパトロン)の3番目の娘だった。松平家の養女で本名、葵…」
義経「松平 葵!?」
佐藤 継「そ。郷(さと)…山吹とは双子の姉妹だ。双子の面が割れることを恐れ、幼少期から面を被らされていたらしい。面が割れない限り…潜り(スパイ)をさせるって魂胆だろ」
義経「双子…」
佐藤 忠「義仲は葵の妊娠に気付いて、即突っ返した。その一年後、粟津の合戦で…没。それから、壇ノ浦後にお前に嫁いだ山吹は義仲の子を宿していた。だろ?」
義経「あぁ。義仲の子だから…養子にって事にした。あの件は…俺にも責任があるからな」
佐藤 忠「…与一の事か?ま、仕方ねぇさ。その山吹だけどな、出産のために実家に戻ったろ。産後状態が悪く、動けなくなったらしい。んで、葵が義仲の子を預かる事にしたが、頼朝北条が義仲の子を狙い、お前の子は松殿が狙っている…二人のガキを連れて奥州に逃げるには目立ち過ぎる。そこで…」米神に人差し指を当て「武蔵嵐山に幽閉中の御前様を思い出した」
佐藤 継「葵はお面を外し、姉の山吹に成りすまして、比企尼に御前の釈放を願い出だ。そして、解放された御前に我が子…つまり、お前の子を託した。そりゃ、自分の孫、必死で守るさ、安全だと考えたんだろ。しかし、御前様の…女の足でどこまで逃げ切れる?時は冬…1歳にも満たない赤ん坊を連れて。それに、松殿がそれに気づいちまった…」