ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~三蔵法師と、孫悟空~

2013-06-12 | 散華の如く~天下出世の蝶~
御坊様の世話にならなくても、
何も寺で厄介にならなくても、
近くにどこか宿があるはず…、
帰蝶「お助け頂きありがとう存じます。しかし、我ら先を急ぎます故これで、」
早々に荷物をまとめ、ここを出よう…と、
方丈「そう簡単に、問屋は卸しませんぞ」
ほぉれぐつぐつ、美味そうな匂いがしてきた。
帰蝶「な?」何を煮炊きしているのか?
油臭い…寺で肉を?殺生厳禁であろう?
方丈「あのちっこいの、なかなか手際良い」
帰蝶「ちっこい…」
私と身丈が変わらない猿のこと。
方丈「ほれ」捲し上げた裾から、
ちらりと、足首の包帯が見えた。
帰蝶「足…どうなさいました?」
方丈「山菜取りが足を取られ…」
ストンと裾を下ろし、捻挫と包帯と隠した。
帰蝶「そう…でございまいたか」
ちっこい猿が、こんな感じ?
「おいやい坊主。大事無いか?診せてみよ」
ブチブチッとそこら雑草薬草を引っこ抜き、
ちゃちゃッと包帯巻いて、お?近くの寺か?
送って進ぜよう、など調子良く話を丸めて、
恩着せがましく、まんまと寺に転がり込み、
うきっきっ、宿賃を浮かした…という訳か。
あんの人たらし、人の心を掴むのが上手い。
特に農民庶民商人の心を得ている、だから、
地元民の助けを得られ、遠征先で重宝した。
方丈「それに、折角得た好機…逃すまじ」
帰蝶「ひ?」