ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

母 常盤の行方

2010-10-31 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「そんな話があったのか…戸隠に」と呟いた時、コツンとぶつかってきた義隆を見て「子供に能の話はちっと早かったか。寝ちまった…。瑠璃、頼む」と瑠璃に隣の部屋の松尾と河合の隣に布団を引いてもらって、義隆の帯を解いて法被を脱がせて、山吹と寝かした。
義経「初音に楓に演目『紅葉狩』…さんきゅっな」と隣の部屋を遮る戸を閉め、義隆に付けられた桐生織り帯をギュッと握り閉めた。と、何か言いたそうな富樫の顔が目に映ったので、義経「富樫、あの若作り女…いつから繭子に付いている?」と質問してみた。
富樫「お前らが能登を離れて、俺が転がり込む直前らしい」
義経「俺らが都追放されてから1年後か…。それに話を逸らされた機密文書も気になるな…」
京での俺らの行動監視役に静が付けられ、朝廷勅旨“機密文書奪還”に繭子が、そして、“天叢雲剣”の行方を探るために俺ン所に嫁いだ郷で、
俺が郷、静に弁慶、繭子に富樫、それぞれ隠密(スパイ)の調査(スパイ)に当たっていたが…、
サブ「それぞれ、手ぇつけちゃって…」
ロク「ダメじゃん、任務守んないと!」罰として正座だ、正座!って俺の真似したから、
義経「ちょっと待て、俺が自分の正妻に手を付け、ツバを付け、何が悪い!」
富樫「まぁ、まぁ。どうどう、いいじゃねぇか、俺も正妻が欲しかった所だし…」
弁慶「お前ばっか妾に正妻いっぱいで、ずるぃだろ」みんな平等に正妻持って万事OKッ!
義経「って、ちょっとタイムな。おめぇらさ、俺の妾を正妻にして…自分で嫁、見つけろよ」
弁慶「この時代、正妻が妾を兼ねるって当たり前の話だ。お前の母親だって、色んな色男の妾になってる」
義経「俺の母上は容姿端麗、頭と勘が良いからそれで世渡りしてんの!」
って、ただ今、母上失踪中。俺の後を追っかけて奥州に向う途中で消息が途絶えた。
そこらへんを与一らが捜索に当たっているが…ちょっと心配してる…別の意味で。
弁慶「なぁ、常盤様の香りって橘(たちばな)?」
義経「あぁ、橙(だいだい)な。母上は自分の名前に由縁した香りを使っていた」
常盤とは常葉(とこのは)とも書き、松と同様、常緑の葉で朽ちないことから「永遠」に例えられ、縁起がいいから文化勲章のシンボルマークにもなっている。伝説では不老不死や永遠の生命力の霊薬として橘(大和蜜柑)が使われ、生薬の効果として皮を乾燥させて風邪薬、そのまま食ってもビタミンCの摂取で、雛祭りン時は、右近の橘(たちばな)、左近の桜で飾り、厄除けだ。それに橙(だいだい)は代々に当てられ、御家の子孫代々繁栄すると橘(立花)家が家紋で使っているって話だ。

戸隠の紅葉伝説

2010-10-30 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義隆「ねぇ、どうして紅葉、狩っちゃうの?」紅葉は獲物じゃない!と言うもんだから、
義経「あぁ?そうか…狩りって熊とか野兎とか獲物仕留める時に使うよな…。それはだな、えぇーと、子供の疑問ってなんて素朴で…超難問なんだ」うぅーんと返答に窮していたら、
ポンと鼓を静かに打ち鳴らし、
初音「その昔、戸隠村に美しい女がおりました…」ポポンと鼓を打って、
楓「その女の名は紅葉、身分高い男性の子を宿し、都を追われて戸隠に流されたのでした」
紅葉は子を出産したら再び都での華やかな生活を送れるだろうと思い、ひっそりと身を隠すように暮らしておりました。そんな事情を知った村人たちは身重の紅葉に精が付くようにと米や野菜を届け、また紅葉もお礼にと村人の怪我や病を祈祷術で癒し、琴を奏でては村人の心を慰め、日々平穏に暮らしおりました。しかし、その呪術の噂を聞いた盗賊 鬼武(おんたけ)は紅葉をそそのかし、盗賊の頭領に仕立て上げ、強盗略奪を繰り返しました。
盗賊 鬼武、紅葉の出産の話を聞きつけた都の者たちは紅葉の逆襲を恐れ、時の天皇 冷泉帝が紅葉の討伐の勅命を下しました。押し寄せる討伐軍を見て、紅葉は生まれた我が子の命を守るために戦う決意をするのです。心に潜む第六天魔王を目覚めさせ、さらなる力をもってして抵抗するのでした。紅葉は羅刹悪鬼となり、必死に我が子を守ろうするものの北辰の神 北向山に座する観音の神通が具わった降魔の剣により力封じられ、討伐軍頭首に首を切り落とされました。紅葉の便女 おまんの方は善光寺の御仏前で自ら首を落とし、その魂を鎮められました。紅葉をそそのかした鬼武盗賊一味も捕らえられ、紅葉討伐は終わりました。
討伐軍の頭領 平 維茂(これもち)は思うのです。
誰の心にも秋の冷たい北風が吹く。風に心乱され、ざわめき、紅葉の心と葉は揺れる…。

頼みつる 北向山 風さそひ
あやし紅葉は とく散りにける

美しい紅葉の手を赤く染めさせたのは誰でもない己の心だ。己が紅葉を狂わせた。秋の頃、紅葉(こうよう)を見れば思い出す、必死に子を守る紅葉の涙と手が血で滲んでいた事を…。

初音「(能の)演目『紅葉狩』(脚色付き)です」ポンポンと鼓を鳴らして、話を終えた。
楓「これが紅葉を“狩る”と言われる由縁です。母の涙を宝玉に変えても、決して血の涙に変えることがないように…と祈られた戸隠 鬼無里(きなさ)の紅葉伝説…」

繭子のメッセージ

2010-10-29 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「はい、ご馳走様」いいなぁ惚れられるって。なぁ、海尊を見たら、
海尊「…俺」傀儡操り終えた繭子に赤ちゃん返して「小便…」とスクッと経ち上がった。
義経「夜のトイレは、さみぃぞ」受付で毛布貰って、厨房でおにぎりでもこさえてもらえ。それと、明日には俺も顔を出すって言って来い、進捗状況の確認に行くからなと告げて、
海尊「コクン」と頷いた。部屋を出ようと戸を開けて「さっきから…何してんの?」そこに繭子の便女 若作りの女が座って聞き耳立てていた。
繭子「あら…迎えに来たの?じゃ、私そろそろ…」と海尊と繭子らは一緒に出て行った。
それを見送って、
義経「で、冷。繭子なんだって?」読唇術で繭子の口パク、読んだろ。
冷泉院「…姫…神薬の開発中止してって。それに、私…」
富樫「狙われてるんだって」
冷泉院「でも、私が?」と、富樫に目を向けてと「ふぅん、富樫さんでも真面目になるんだ?」
富樫「…あのな、俺の一面しか見てねぇくせに、俺の人格を勝手に決めるな…。いつもアホしてるわけじゃねぇって。それに、俺様の魅力って…」手をギュッと握って拳を作り、胸を親指でツンツンと指し示し、冷にウィンクしながら「ハートの奥にあるあっつい魂さ」としゃーしゃーと恥ずかしくもなく決め台詞を言ったから…
弁慶「魂って胎に宿るって言うぜ。あっつい魂、ここじゃねぇ?」とポンポコ狸の真似をした。ポン♪ポン♪と胎を叩いて。例のメモをひらひらさせた。

義経「…それは、後」
富樫「はいはい、こっちが先ね」と繭子がだだちゃ豆で書き残した文字を見つめた。
義経「モミジガリ…」シーズンにはまだ早いぞ。物語設定上では五月に入ったばかりだ。

富樫「あの便女が付きっ切りで、繭子に探り入れにくくて肝心の内容が聞けなかった」あの能面便女…義経並に勘が良くて屋敷内の調査もうかうかしちゃいられないし、何とか繭子と二人っきりになれないかと…
弁慶「思い付いたのが、夜這い…」
義経「んだぁ!」弁慶、お前の入れ知恵か!静を落とした手と同じじゃねぇかッ!
富樫「ガキみたいに騒ぐな、落ち着けって。どうどう。山吹がつられて騒ぐぞ」
義経「…てめぇがほだしのか?」と胸座掴んで、小声で問い詰めたら、
富樫「おいおい、両者同意の上、成立した夜這いで、結果、和菓子だ」手を放せって。
義経「てめ!って、なんだッ!?」クイクイと義隆に袖を引っ張られ、富樫から手を放した。

比丘尼のくの一

2010-10-28 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
ロク「賀茂女、可愛いし♪」手出すかツバ付けるかマジックで名前書いておくぞ。俺のって。
サブ「はい(挙手)!俺、志鷹やります!賀茂女ちゃん」と両手を広げて、胸を張り…
ロク「おれ、賀茂女役、な。匠くん♪」って、もう名前で呼び合ってだな、
ぶちゅーっと!?したから、
弁慶「うぇっ!」
富樫「きもっ!足まで絡ませて!!アホかっ!酒が不味くなる!」
義経「…ちょっと…森乃・熊世、出て来い、こいつら止めさせろ」と畳をノック、コンコンという合図で、一枚の畳がすーっと動き、平安装束の二人が床からのっそり現れた。
森乃・熊世「はじめまして…」とおずおずと初対面の方々 薬師大の御一行様にご挨拶した後、サブロクを出足払い※した。※柔道の足技である。もちろん、サブロクだって受身した。
この二人は、熊野信仰の比丘(びく)尼 くの一で、サブロクの妻らである。が…、
富樫「もりの・くまよ…いい加減な名前だな…」
弁慶「調べても分からなかったってのが、その理由じゃねぇ?」なぁ、筆者 松郷?
富樫「それより、こいつらの浮気調査すんの止めたら?」大丈夫だって。
弁慶「巷の女が付いて来んって」おめぇらぐらいだ、サブロクの相手できるの。
義経「よかったな、サブロク。心配してくれる女房がいて」普通だったら、ブッチ縁されるか、浮気の心配もされんようになって書類上の形式ばった夫婦となって挙句、離婚だ。
冷泉院「お…奥さんいたのぉ」って、ちょっとかなりショックなんですけど…。
サブ・ロク「理想の高い独身女と一緒にすんな」俺たちなんでもOKだ!
森乃・熊世「なんでも!?」と聞いてムッとしてカッとなり、戸を全開、サブロクの襟首をそれぞれぐぁと掴みはOK、巴投げでヒューンと外へ投げ飛ばし、さらに短刀をシュパッとシュパッとそれぞれ投げた。この妻ら、誇り高い今でいう柔道家で懐から短い武器を取り出し反則技をくり出すが、当時、それを体術といい、隠し武器もしくは飛び道具は使用OKで決して反則技ではなく認可された反則だった。が!?
サブロクだって負けちゃいない。体術と愛を避けることなく全て受身の草食系男子!?
よっと素早く起き上がり、ど玉?ぶち抜かれる直前に真剣白刃取りで短刀と森乃・熊世の愛を受け取った。ガシッとナイスキャッチで二人の心も掴んだ。
サブ・ロク「まだまだだなッ」と短刀と愛を妻らに返品、何も無かったようにだだちゃ豆を食って、酒を呑んで、富樫と騒いでいた。
森乃・熊世「ぽ…(#・・#)」そういうことをしゃらんとするから、惚れ直すらしい。

男の酒話会

2010-10-27 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「それよりサブ ロク!どこ行ってた?」と肝心な時にいなきゃダメだろ!と注意したら、
サブ「あぁ、雷でザオウ スーツを焦がしたろ」弁償する金ないって言ったら、
ロク「じゃ、バイトだ!って明日も酒田のイベント会場に行かなきゃ…悪役だけど、ね」
結構面白いんだぁ。ヒーローやっつけるのって。
義経「いいのか?こんなん悪役で起用して…」正義の味方より強いじゃねぇ?
弁慶「ま、しっかり働け。それより赤ん坊の名前決めたのか?」と富樫に話を振って、
富樫「あぁ、決めた!そこの荷物から白い紙、出せ。それと筆と墨も、な」
海尊「了解!」人様の荷物から勝手に紙と筆、墨を貸りた。さっきから無断借用してるんだ。
富樫「命名!」と、すらすらと書を認(したた)め、書き終わった紙をバーンと見せた。
そこには『和 菓 子』と書かれていた。
弁慶「わ が し…ってお菓子じゃねぇか」繭子の名物 蕨餅にちなんだのか?
富樫「わ・か・こ、だよ!」
義経「それだったら、草冠いらねぇだろ、果実の果でいいんじゃね?」
弁慶「繭子ン子なら、和香子じゃねぇ?」繭子の二代目 香具師になって…
義経「ダメッ!」義隆がほだされたらどうする!!
義隆「大丈夫。だって、猿顔…嫌いだもん」富樫から筆を借りて、もっとこう可愛いのがいい!とワンコの絵を描いていた。
弁慶「ワンコ好きだな…お前。しかも、皆鶴(・ω・)※っぽい」※鞍馬の娘で海尊の母親
富樫「ほざけっ!我が娘、誰にも嫁にもやらん!」ずっとそばに置いておく!一生俺んだ!
義経「もうすでに親バカ…」
海尊「って、言ってるけど、そういうのに限って早く嫁に行くんだぜ…惚れたとか言って駆け落ちするんだ。北条政子みたいに…くっ」て、意外と冷静に人の恋路を分析しているが、
義経「で、お前はここに居ていいのか?」
海尊「はぁ?」何言っての?意味分かんねぇっし。
義経「俺、松尾さんらに、ここに来てくれるように伝言は頼んだけど…」別にお前、あっち(くいっと鳥海山をあごで指して)の二人追いかけても良かったんだけど…?
海尊「なんで?俺まで鷹匠訓練すんの?」
弁慶「あぁ~あ。わかっちゃいねぇなぁ~」志鷹って根性無さげだけど、根は良い奴だしぃ素直だし。それにあいつ、顔が良い。それにあのがたい…(弓道で胸板が引き締まってる)
富樫「ほれぇ、若い男女が山小屋で3日間二人きりだ、何もありませんでしたって思うか?」

傀儡回し

2010-10-26 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
全くっ!俺に疑いの目を向けるより自分の顔に目を向けろよ…どう考えてもそっちの能面の方が怪しい。もっと怪しいのは天井に潜んでたこいつら(初音&楓)だろ!と腹が立ったが、一先ず皆のいる部屋まで案内することになった。
義経「俺!」と言って、スーと戸を開けた所に、初音・楓が顔を出してビックリしちゃって、
瑠璃姫「えぇ!初音に楓ぇ!?」
冷泉院「ちょっとぉ、いつから潜伏?」
海尊「ほんと、気が付かなかった…」俺としたことが…不覚。
繭子「あっ、香りって空気の質を変えて体に入り込み、脳から神経系を鈍らせるの。気がつかなくても、別にあなたが鈍感って訳じゃないから」って、シャラァンと言ったから、
義経「もういい加減、その人工的かつ人為的に人様の神経系麻痺させる香り…止めろ!」
海尊「同感!同感!」やめろぉ!富樫さんをそれでほだしやがって!!
繭子「ま、失礼ね、純粋な愛で、その結晶がこの子よ」と赤ちゃんを付き出した。
海尊「おっ!?」女の子?って富樫とどことなく似ている…顔が赤くてサルボボっぽい。
義経「富樫の顔は酒やけだ。生まれたばかりの赤ん坊は皆赤くてサルっぽい」ちなみに、高山サルのボボ(赤ちゃん)は禍がサル、夫婦猿(円)満で家内安全、縁起がいい。拝んでおけと赤ん坊を拝ませたら、赤ちゃんが「ふんぎゃー!!」泣いて、つられて山吹も「んぎゃぁ!んぎゃっ!」と泣いた。赤ちゃんをあやすのが下手くそな海尊で、
義経「あぁ…泣いたじゃねぇか」と部屋がうるさくなった所で、陽気に酔っ払った千鳥足二匹の弁慶と富樫がサブロクに肩を借りて顔を出し、うるさいメンバーが大集結した。
富樫「お♪繭子!起きていいのか?それに、なんだ?メンバーが増えてるぞ」じゃ!
弁慶「ほれっ!」部屋で飲むつもりで大量の酒を買い込んだらしく、酒樽を持ち上げ、祝賀二次会に突入だ!!と喜んでいるが「つまみないがない、つまみ!」って言ったから、
義経「あん?じゃ、そこの菅笠に入った、だだちゃ豆、こっちに持って来て摘めよ」
それより山吹が泣き止まねぇんだ、って困っていたら、
繭子「…では!」懐から徐に折りたたみ式傀儡人形をサッと取り出し、人形劇を始めた。
義経「懐かしいな。15,16の時に(初めての遊郭で)見たぞ、傀儡回し…」
糸で繋がれた人形を巧みに操り、
繭子「…」口をパクパクさせて山吹をあやしながら、傀儡にタダ茶豆を持たせて、運んで…。
義隆「すごい!」と歓声を上げ、山吹もきゃっきゃと大喜びだが、繭子の子はまだ目が見えちゃいないかった。泣きやまねぇっし。赤ん坊をあやすのは女らに任せて、

鼓の初音、響(太鼓・たいこ)の楓

2010-10-25 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
初音「お久しゅうございます。先輩!」鼓を打つ手を止めた。
楓「単独行動はお控え下さい!」と扇子パタパタ扇ぎ、一生懸命空気の入れ替えしてくれた。
義経「はい、すみません」って、誰だよ?おめぇら。
繭子「えぇ、ビックリ(天井に潜んでいたの?)久しぶり」って?再会を喜んでるけど、
初音「御出産おめでとうございます!!」
楓「赤ちゃんは?抱っこさせて下さい!」って俺そっちのけ、3人で盛り上がっちゃって、
義経「おい!ちょっと待て!俺の事を忘れてねぇか?誰だってんだよ、おめぇら!」
初音「私、初音です」
楓「私、楓です」って、もうさっき繭子から名前聞いたから、
義経「分かったって…」で、どっちがどっちだ?同じ顔で区別付かん…。双子か?
繭子「私の後輩(薬師大)の鼓の初音とその妹 響(太鼓・たいこ)の楓…」
初音「私が姉で、佐藤継信(兄)の妻…」
楓「私が佐藤忠信(弟)の妻です」
義経「ええぇ!!って、ごめん。そうとは知らず…。継信は一の谷で俺を庇って矢を受けて、忠信は俺の身代わりになって…その、本当になんと言ったらいいか…」
初音・楓「身代わりは当然、分かっております」一部始終、能子から聞いていますし。
義経「え?能子から?」
初音「私たち能子の同期(29歳)で能楽部所属、伊達黒脛巾組(くろはばきぐみ)の…」
義経「って、佐藤んとこのくの一かよ…」
楓「旦那様より義経様をご案内するように…と」
義経「旦那様って、伊達に扮した佐藤の親父?案内ってどこへ?」
繭子「それより、瑠璃と冷と話した?」向こうの部屋にいるのよ。
義経「それよりって」とーっても大切な話だと思うが…。
初音・楓「それがまだなのぉ」と言ったから、
繭子「ねぇ、瑠璃たちの部屋に案内して」って胸の前で手を組まれて懇願されたら断ろうにも断れず「わ、わかった…(可愛い顔で懇願せんで)」香り無しでコロッといっちゃうから…。
繭子は隣の部屋で待機中の便女に赤ちゃん受け取って、
繭子「ちょっと、お披露目してくるわ。大丈夫よ、すぐ戻るから」とにっこり笑って、
便女「…」は無言で義経の方に顔を向けた。
義経「俺は襲わんぞ!」と何も言われてないけど、その無言に勘で答えてみた。

戸出の姫

2010-10-24 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「51…。あ、久しぶり。義隆の法被、あんがと」と小声のくぐもった鼻声で言ったら、
繭子「外したら…」香りって空気を通して鼻腔の奥にある嗅覚神経を刺激するの。
義経「はい…」生きてる以上遮断不可ですかい、と素直に洗濯ばさみを外したら「ん?」御香に懐かしい香りが混じっていた。
繭子「…ちょっと席を外してくれない?」と赤ちゃんを便女に渡して、その代わりに山吹を抱っこして義経に渡した「はい」って。
義経「山吹の面倒、さんきゅな」とあんま心を込めていないようなお礼だけど、形だけでもって一応言っとこうと思って…、
繭子「山吹ちゃん、可愛いわね」郷ちゃんとよっちゃんを足して二で割った感じ、ね。
義経「こら、能子と足すな」ショックだ…俺とほぼ同じパーツの妹 能(より)子って。
繭子「…秦家(やすいえ)※さんがにかほで会おうって…」※富樫のこと
義経「妊婦のお前に?わざわざここで?あぶねぇだろ」
繭子「(メンバー集結するから、ここを選んだんだけど)クスッ、心配してくれてありがとう」
義経「法被の男帯、あれ、桐生織りだな。桐生と繋がりあったとは聞いてないぜ?」
繭子「あら、私、蚕(生糸)で“西の西陣から東の桐生”織りこなし、東西情報網一手に掌握、糸の繭子。それを恐れて監視密偵(富樫のこと)を屋敷に転がり込ませたのは、誰よ」
義経「はい、俺です。って朝廷に返してないだろ、機密文書」を問い詰めようとしたら、
繭子「……戸出の姫が桐生にいるわ」と目を伏せて、機密文書から話をそらされた。
どうやら、そこは突っ込んで欲しくないようだから、話題を逸らして話を進めた。
義経「高岡…戸出の?義仲※の妾が?」※木曽 源義仲で義経・頼朝の従兄弟
繭子「えぇ。桐生 和田の妾になったわよ。義仲様が殺された後、捕らえられて、ね」
義経「…そう、か」って…、ちょっと、まず…いな。
繭子「義隆と山吹ちゃんを狙っているわ。気をつけてね」
義経「…と も…が?」って、このぷんぷんフェロモン(香蕨(かわら)のせせらぎ)&妙に懐かしい香りが交錯してコロッとコテンといきそうで、富樫みたいにほだされるぅ…と思ったら、
天井の一角がスーと開き、一人二人と侵入者が現れ、
ポンポンポンポンポンと鼓(つづみ)が鳴らす者と、バーーーー!!!と戸を全開して周り空気の入れ替えしてくれる者に分かれて、
義経「ハッ!」と正気に戻って「空気の入れ替え、さんきゅっって、誰、君ら?」
繭子「初音(はつね)に楓(かえで)じゃない!!」と繭子が紹介してくれたけど、誰?

化かし合い

2010-10-23 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「って…今、相手しているのはワンコだし」ここ掘れ、ワンワンってか?
鞍馬「冗談言ってる場合じゃねぇ!どアホッ!」
義経「全く分からん…」鬼那臭い蛇女って??繭子が蛇女?
鞍馬「義隆!危なそうだったら呪文?と一緒に八手の団扇を思いっきり扇げ!分かったか!」
すぐに駆けつけるからなっ!と団扇で旋風巻き起こし、ピューと消えた。
義隆「うん!わかったぁ!」とサインをひらひらさせて「いってらっしゃい」と手を振った。
義経「あん?なんだそれ?」と義隆から紙切れを引ったくってマジマジと見て、なんて書いてあるんだ?そういえば鳥海免許皆伝もこんなような文字だったが「これ、何のサインだ?」
義隆「ダチのサイン!」俺らダチになったんだ!と自慢した。
義経「はいはい…」ともうあきれて紙切れを返して「とりあえず、瑠璃たちの所に行くぞ」と義隆の手を引き、瑠璃たちの部屋に戻った。
義経「俺だ、開けるぞ」と堂々と戸を開けたら、海尊が「わぁ!」と驚かすもんだからビックリして、こういう時に冗談かます奴にあったま来て、むかっ腹立ったから「座れッ!このどアホッ!」と一喝と同時に拳骨食らわした。海尊は頭を撫でながら、義経にメモを渡した。↓


海尊「いってぇ…」まだジンジンしてるぅ。
そのメモを見て、チラッと隣の部屋で眠ってる松尾と河合を見て…海尊に目を向けた。
義経「当たり前だ。本気で殴った。おい、義隆。山吹はどうしてた?」と義隆に八つ当たり、
義隆「離乳食、貰ってた」かぼちゃのすり潰したやつとか、豆腐の葛あんかな?
義経「…(単独行動ダメって言われても)」チラッと瑠璃と冷と牛さんを見て「ふぅ(肝心な時にサブロクいねぇし)」と溜息ついて海尊にここで待機を命じ、義隆に繭子の部屋を教えてもらって「瑠璃、洗濯ばさみ持ってる?」と洗濯ばさみを借りて、一人、繭子の部屋に向った。
コンコン…とノックして、
義経「おい、俺だけど…」と鼻声なのは、洗濯ばさみで鼻を抓んでいるからで、
繭子「どうぞ…」と言われてもさっきみたいに脅かされたらイヤだから、戸を開けずに待っていたら繭子の便女(びんじょ・お付きの人)が戸をスーと開けてくれた。ら!?
義経「ぬぉっ!?」と便女の面(つら)にビックリした。能面を付けていたのだ。
繭子「くすっ、若作り面よ」と言ったから、
便女「!!?」とクイッと繭子に見た。多分、繭子をガンミ、睨んでると思うよ…。
繭子「あら、ほんとの事に怒った?あなた51でしょ…能面の若女(30代)よ。20歳もサバ読んじゃって…。それに赤ちゃん起きるから静かして…」と義経に目配せした。

第六天魔王

2010-10-22 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義隆「繭おばちゃんに着せてもらったぁ♪」
鞍馬「おばちゃんって…」聞いたら、おいおい泣き崩れるぞ、繭子の奴…。
義経「俺もショックだ。俺より一つ上、32歳でおばちゃんか…」じゃ、俺、おじさん…。
義隆「かっこいいでしょ!」とクルっと背を向けた。ら!?五大紋の一つである木瓜紋(もっこうもん)と紅葉があしらわれていた。木瓜紋は公家、清和源氏の家紋で、

義経「法被の織田木瓜紋に桐生織りの帯?」繭子と織田紋との繋がりが見えんな。
やっぱ直接聞くしかないのか…法被のお礼も言わなきゃな。あ゛~あの匂い…イヤだイヤだ。
鞍馬「お前ってほんと律儀な奴だな。って、ちょっと待て。織田って第六天魔王 織田信長か?」
義経「あぁ。時代が違うが揚羽の替紋が木瓜紋の織田信長だけど…、第六天魔王?なんそれ?」
確か、織田って志鷹が信仰してる怪力無双雄山神 天手力雄神と同神 武運勇壮戸隠神を信仰してて…信仰するに至った経緯が戸隠周辺の神社仏閣を焼き払おうとした時、突然の濃霧に襲われ落馬して…そこから、戸隠神の畏怖の念を感じて信仰するようになり、戦の前には岐阜戸隠神社で戦勝祈願をしていたって話だ。それに能舞をこよなく愛する武将だって…、
鞍馬「…織田信長は第六天魔王と自ら称していた。黒いマントを羽織って」コスプレだな。
仏教の世界観だけど…、
魂は六道(天道 人間道 修羅道 畜生道 餓鬼道 地獄道)を輪廻するといわれる。そこらへんには欲という邪な奴がウヨウヨして、心の隙を狙ってそいつらが天界に行こうとする魂を邪魔するいわれているんだ。
その6つの欲の最高峰に立つのが第六天魔王、インド語でマーラと言われる釈迦の瞑想を邪魔していた奴らだ。ちなみに、余談だが、鞍馬はインド語でクマァラ(菩薩)だ。
義経「知ってるってば。それより釈迦って生まれた時、六道越えた7歩目に立ち、天上天下唯我独尊って言うた人だろ」個々の魂は天地上下なく大切な存在であるって説いたあの釈迦様と最高峰の魔王様で、繭子と何の関係があるんだ?繭子が魔王になっちまったか?
意味分からん、時代も違う。物語上、時代設定は一応鎌倉だが、ヒントらしくないヒントだ。
鞍馬「今からちょい前…平安時代に第六天信仰って信濃を中心に武蔵方面に広がっていた」
義経「…平安?」それもまたちょっと時代が飛ぶな。
鞍馬「んん…俺が即身成仏する(妖怪化?)前、ちょっと話題の伝説があって…」と義隆の法被のまっかな紅葉をじぃーと見て「ハッ!!?」と目を丸くして「俺、一旦、京都に戻る!鞍(馬寺)の蔵にしまってある文献にお前らにまつわる鬼那(きな)臭い夜叉女の伝説があった!調べに帰るから下手に動くな!単独行動は慎め!相手は蛇女だ!」執念深いぞ!