ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

良い御年をお迎え下さい

2012-12-31 | 日記
「んくー、くー」


うちのじぃちゃんです。

幸せそうに、いびきかいて眠っています。

こういう幸せが、来年も続きますように、と、
じぃちゃんに顔を近づけて寝顔に祈りました。
すると、

「ぐしゅんッ」

やられました。
私の顔に、じぃちゃんの鼻汁がびっちょり。

まぁ、じぃちゃんのすることです。
許してやりましょう。

では、良いお年を…。









散華の如く~頭が高い~

2012-12-31 | 散華の如く~天下出世の蝶~
信長「子は子なりに遠慮しただけであろう」
こい殿も、
“子供の事ですから…”
そう言っていた。でも、
“友ではない、侍女である”
九つが九つに、明らさまに嫉妬、
身分立場の上下を示して見せた。
帰蝶「子供らしゅうございませぬ」
この時、初めて黒と出会った事を思い出していた。
ひれ伏し、私の足に接吻、服従を示す元奴隷の黒。
「子が子に服従するなど、あっては成らぬ」
今でも、同世代と話が出来ず、
あれは、言葉を覚えられない。
宣教師の通訳にと考え起用したが、
恐怖心が先に立ち、足を震わせる。
萎縮した心が成長の枷となって、
彼本来の力、優しさが伸び悩む。
信長「ヤスケか」
殿は今戦、ヤスケを小姓から外した。
あれから鉢巻を取ったはその意味で、
それが分からぬ、あれでは無かった。
帰蝶「あまりに、哀れで…」
殿の御役に立てないと意気消沈して、
大きな体を丸めて小さくなっていた。
いつぞや、背筋を伸ばすよう注意した。
しかし、裏目に出た。同じ十五に足を蹴られ、
“図が高い”
黒は地下手を這う。即立ち上がり…、
やり返す事も、言い返す事も無く、ただただ、ひれ伏す。
何に対しての謝罪か。手を組み合わ、平謝りを繰り返す。

散華の如く~イチキヒメ~

2012-12-30 | 散華の如く~天下出世の蝶~
平安の世、平清盛が厳島の御社に女神が降ろし、
海上整備、国家繁栄、武家社会平定を祈願した。
厳島祭神、市杵島姫命(イチキシマノヒメミコト)。
白い肌に、柔和なお顔立ち。薄衣露わに片足上げて、
水辺に座り琵琶を奏で、響く神音に人は心癒されん。
後に吉祥招福、芸能と水を司る天部の弁財天と習合。
つまり、殿の祖平家の、守護神…
帰蝶「あれを、神に仕立てるおつもりにございますか?」
“秀子…嫌い”
ひでこ、と呼ばれる事を嫌い、渾名を付けた。
一秀、一の姫の「一」の字を「市」に宛がい、
殿は、あれを「市」と呼んだ。
その「市」に、近江の琵琶を抑えさせるなど、
「あれは、私の娘…どこへもやりませぬ。ましてや、敵方に嫁がせるなど…嫌にございます」
私の、二の舞になるのでは…、
それだけは何としても避けたい。
信長「では、他を用立てる」
帰蝶「他…」
信長「寧々」
帰蝶「寧々…と、逢うたのですか?」
信長「なかかなの器量良し。上手く立ち回れよう」
帰蝶「いえ、…あれは、難しき女子にございます」
信長「どういう事か?」
帰蝶「あれは、油…」
一旦火が点くと激しく燃える炎。
灯の芯は強く、母似で忍耐強い。
あの寛容さと聡明さで申し分なく立ち振る舞えるであろうが、
“私…どんな役でも、構いませぬ”
市に遠慮し、母役を拒む寧々の、
あの我慢強さが気掛かりだった。

吉祥天の御使い、白蛇

2012-12-29 | 日記
早いものです。
今日で、仕事納めです。
あぁ、一年いろいろあったな。
と振り返りながら、

祝い膳を作っておりました。
つまみ食いと菜箸、神饌(神と食事を共にする)にお使い下さいませ。
水引を飾りにしましたが、
皆様との固い絆、深い御縁と、感謝の気持ちにございます。

さて、昨日、大和出没。
すると巷では、

辰が片づけられて、巳が整然と並び、
ちょっとだけ午が見えてますね。

吉祥天女の御使いの白蛇がにょろりと顔を出し、

精子種子に象られ、子宝成就。
財政難からの脱皮が財運向上。
死と再生のシンボルで、国家再生を願い、

陰陽五行五色蛇が来る2013年を祈祷する。

さて、問題です。
ひつじ草の玄関を一年守護する蛇はどれだ?

散華の如く~四天四方、海城要塞~

2012-12-28 | 散華の如く~天下出世の蝶~
信長「勝手やったのは、そなたであろう?」
なぜ、そなたのために用立てねばならぬ?
理不尽申すなと、私を諌めて、
帰蝶「でも、あれは…」
信長「親父殿の形見を…すまぬ。我が妹の為に」と深く頭を下げて、
白々しい…。
帰蝶「殿の、悪い癖にございます」
信長「あ?」
ひょ?と顔を上げて、
「何の事か?」
帰蝶「市を、何としようと仰せですか?」
私に教育をさせて、
まさか、
「あれは今や、私の娘。どこにもやりませぬ故」
信長「そう言うて、ここに嫁いだはそなた」
帰蝶「私にあれを教育させ、敵に嫁がせるおつもりで?」
信長「尾張は美濃の敵に非ず」
帰蝶「和睦に、あれを使うおつもりにございましょう?」
信長「言うたであろう、特段、今…」
帰蝶「今川戦の後の話にございます」
義母様が、堺の商人に手を廻し、
私に義妹の市姫様を教育させて、
「京より西、越前を取り返すおつもりにございましょう」
尾張より東に目が向いていると見せかけ、
実のところ、西へ西へと駒を進めている。
信長「越前(朝倉)の前に、近江の壁」
殿は、日ノ本の中心に位置する琵琶湖を欲しがっていた。
琵琶湖に四天四方海城要塞を建てる構想は、この頃から。
帰蝶「浅井の壁を、あれに…市に壊させるのですか?」
信長「市…琵琶を制すに相応しき名よ。そうは思わぬか?濃」

散華の如く~当て馬~

2012-12-27 | 散華の如く~天下出世の蝶~
バンッ
作法書『式部之書』を殿に投げ付け、
帰蝶「晴れませぬ」
信長「コレ、ヒトやモノに当たるでない」
帰蝶「では、当て馬を立てて下さいませ」
信長「杉原は、当てにならぬか?」
帰蝶「彼女は…」杉原は否の打ちどころの無く、
私の狭き淋しき心をよう察し、面倒見が良く、居て、助かる。
信長「良い話し相手になろう」
彼女は、殿が私のために用立てた侍女だった。
帰蝶「…」
殿は、私より先に侍女らに疑いの目を向けていた。
三度の流産。
もしや、食に堕胎薬をと、まず先に侍女らを疑い、
そこで起用されたのが、尾張家臣杉原の娘だった。
侍女の見張り役として、抜擢された彼女だったが、
三人の娘がいる。一番上は十四で早々医者に嫁ぎ、
残った二番寧々と三番ややを連れて来るよう命じ、
しかし、それでは依怙贔屓。他も同じように扱い、
「…私の部屋が、ありませぬ」
信長「いつも通り、ここを使えば良かろう」
帰蝶「いつも…」
信長「留守中、ここで転寝。書を勝手持ち出す理由も無くなろうが、え?」
私は、ここの緋色アラベスク絨毯で寝そべるのが好きだっ。
端たなくも足を投げ出し、アラベスク(永遠)の中で横になる。
それはまるで、輪廻転生を待ち侘びる、ややのように感じる。
殿の御部屋は、興味の宝庫。面白そうな書を密かに持ち出し、
バレぬよう、元に戻して置いたはずが全部御見通しであった。
言い返す言葉が無く、ついには、
帰蝶「…私に、新しき懐剣を用立てて下さいませ」

散華の如く~疑いの目~

2012-12-26 | 散華の如く~天下出世の蝶~
うぅ…ん。
こいは、子供の事ですから…と言うてはくれたが、
水に油の、あの子らを、このままにして良いのか?
私は侍女に子たちを任せ、密かに殿の部屋に行き、
沢彦様が私に渡した作法書『式部之書』の活字図案だけを目で追って、
腕組し、眉間にシワを寄せ一点を睨み、殿の御考えを思案していたら、
帰蝶「ふ?」と、枝葉に視界を遮られた。
視界を遮ったのは、あの時の、南天で、
信長「誰のマネか?」
帰蝶「入室の際は、お声を掛け下さいませ。ややが驚きましょう?」
信長「…待ち伏せて、それは無かろう?」
視界を遮っていた南天を向こうに押しやり、
帰蝶「これ、殿の策にございましょう?」
信長「さて、何の事か、検討付かん」
すっとぼけおって。
南天の枝は木の実包み、さらに、水引が結ばれていた。
市姫に教えた折形に、私が与えたあわじ結びを飾り…、
帰蝶「妹君の事にございます」
信長「あぁ、市か…」
南天を右に、左に半回転、繁々と意味有りげに見ていた。

帰蝶「何を、お考えで?」
信長「特段、今、戦しか有らず」
帰蝶「今…?」
ねぇねぇ、兄上が戦に行かれる時、何と申し上げれば良い?
市姫は、私にこう訊ねた。だから、
“御武運、お祈り申し上げます”
無事を祈る心、その思いを伝えよと、私は教えた。
そして今、市姫の、その祈りが殿の手の中にある。
私、殿にハメられた?
信長「それより、そなた。“疑い”は晴れたか?」

散華の如く~市と寧々と、母役と~

2012-12-25 | 散華の如く~天下出世の蝶~
帰蝶「姫にも、話の相手が要ろう」
私は、寧々と市を引き合わせた。
九つの姫と寧々、いかに遊ぶか?
時を仲良う過ごしてくれようか?
微笑ましく見ていた。
しかし、まさか、
この寧々と、市の娘子お茶々が、
あのサルを間に対峙しようなど、
この時、露にとも思わなかった。
こい「寧々、ようございましたね」姫と遊び、御一緒させてもらい、
母は子、寧々に声を掛け、愛でる。
寧々「はい、ありがとうございまする」
寧々は小さなお手々を揃え、私にご挨拶。
寧々はよう躾けられた姫で、私も褒めた。
それを、じ…と黙って見つめる姫がいた。
市姫「…」
母に褒められ、羨ましく思ったか、
私は姫の心を察し、その手を握り、
帰蝶「友が出来て、良かったな」と言うと、
市姫「友ではない、侍女である」と言った。
それは、寧々の耳にも入ったであろうが、
聞こえないフリ、癇癪持ちを遊びに誘う。
母譲り、穏やかな中に忍耐の強さが潜む。
寧々「お市様。次、お人形遊び(おままごと)、致しましょう」
市姫「…母が、良い」
母役を譲らぬ姫。寧々は黙って従っていた。
帰蝶「寧々も、母をやりたかろう」
役を譲るよう言うと、市は不貞腐れた。それを見て、
寧々「あの、私…どんな役でも、構いませぬ」母役を遠慮する寧々。
それで良いのか?

散華の如く~私には、ねねがおりまして~

2012-12-24 | 散華の如く~天下出世の蝶~
私自身が彼女らの心、何も考えていなかった。
しゅる、一旦水引を解いて、今一度結び直し。

(左、あわじ(鮑)結び、右、梅結び)
それをみて、
市姫「わらわも、やる」
姫の御手に水引は、ちと難しく、
こちら教える側が、かなり苦労。
どうするか、と思案していたら、
侍女「姫様、折形致しましょうか?」
しゅしゅっ…と紙を折ってみせて、
水引から興味を逸らす侍女がいた。
ほ…機転の利く侍女もいるものだ。
しかし、見慣れぬ顔の侍女、一体?
帰蝶「そなた、名は?」
折りの手を止め、私に名を告げた。
侍女「杉原のこひ(こい)、にございます」
帰蝶「杉原様の…」
殿の家臣、杉原家定様の娘と分かった。
「そなた、子を扱うのが上手いな。助かる」
こい「いえ…」伏せ目がちに、下を見つめ、
再び、紙を折り初めて、こう言った。
「姫様と同じ年の娘が居りまして…」
こい殿の二番目の娘が寧々(ねね)。
※後に十四年上サルの正室となる。
帰蝶「淋しがろう…」
こい「妻が、御家と淋しさを天秤に掛けては、居られませぬ」
やはり、目を伏せたまま。しかし、芯の強さが折りに現れる。
ぴたりと折り目正しく、角が揃う。そこに几帳面さと繊細さ、
さらに、不道理、良心心情にそぐわぬが嫌いと見受けられた。
帰蝶「今度、そなたの娘、ここに参らせよ」
こい「え?」ひょっと顔を上げ、驚いた顔を私に見つめた。

散華の如く~結び直し~

2012-12-23 | 散華の如く~天下出世の蝶~
まさか、姫を連れ出したと、またあらぬ噂が立ったか?
義母様の耳に入ってはマズいッ。何か弁解をせねばと、
ガラ…、
襖を開けて(・・;)見て、驚いた。
部屋にゴロゴロ、
侍女に女中が芋の子の様に群がり、
キッ、一斉に視線の先が私に集中。
生駒「濃姫様、お待ちしておりました」
待ってましたとばかりに、生駒が詰め寄り、
「遅いので、心配致しました」
帰蝶「心配…あぁ、姫様なら…」
小さな姫の手を放し、侍女に返そう…としたら、遮られた。
侍女「濃姫様そのお心体、今や殿のモノ…気を付けて頂かないと我らがお叱りうけまする」
帰蝶「はぁ…すまむ」
ややの事で、侍女に叱られた。
侍女「さ、こちらへ」
強引に元の上座に上げられ、何をさせられるのかと思えば、
生駒「あの、これ…」
侍女「あわじの結びに梅結び、解いてしまい分からなくなりました」
はい、結び直して下さいませと、私に紐を渡し…、
ほい、結び直したら、また、
「そうやって、濃姫様は、我らを無きモノにするのでございます」
そう言われて、ハッとした。
濃姫様は、我らの声を聴いては下さらない
脳に、あの時の、生駒の嘆きが響いた。
帰蝶「え?」
生駒「すみません…あの、もう一度、もう…」
水引をもちゃもちゃに、手と指に絡ませ、
美人が台無し。顔を崩して今にも泣きそうな生駒がそこにいた。
帰蝶「すまぬ…」