ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~神と仏の、板挟み~

2013-06-16 | 散華の如く~天下出世の蝶~
方丈「やはり、神と仏の狭間で戦しておったか…」
そぅ…と乗せられた掌が、
私の心の封と、涙の栓を、
帰蝶「うぁー…」
とうとう外してしまった。
「神に、祈れば、祈る…ほど…遠く、仏に…願えば、願うほど…戦が、起き…」
私の祈りが間違っているのか?
この願い、それこそが誤りか?
神を信じて祈れば、仏と喧嘩なさり、
仏を信じて祈れば、仏が私を穢した。
「御釈迦様は、天主様が御嫌いですか?嫌い、と仰いましたか?」
私には、聞こえない。仏の声も、神の声も。
なのにあの坊主、私の救いを突き飛ばした。
方丈「宗恩から聞いておったが…まったく愚かな」
帰蝶「沢彦様…?」
同じ臨済宗の朋輩、一つの竈で飯を食った仲だという。
一足先に、汚い姫が伺うで頼むと、友より文が届いた。
「汚い姫とは…なんと無礼な」
やはり…これ全て、沢彦様の計らい…?
方丈「伴天連の経緯を聞いて、心病んでおった」
まさか…全て、
“素性を泥や襤褸で隠そうなど”
黒が話した…?
帰蝶「あの…、どこまで御耳に…」
当然、殿の御耳にも入っているはず、
方丈「まったく坊主の風上にも、おッ」と、腕を捕まれ、
帰蝶「お、お放し下さい…、私…城に戻らねば…殿…」
方丈「時、既に遅し」
ゆっくりして参れ
帰蝶「まさか…殿…」