ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

現実と仮想、3Dと4D

2011-10-31 | 日記
ハロウィーンですね。
お化けくんたちに、子供の魂を獲られないように、お菓子を渡しましょう。

「はい、どうぞ♪」

今回チョッパーくん(漫画 ワンピースの海賊一味)を同封しました。
可愛いトナカイ、しかも、名医。
すげぇ努力家で、優しい、さらに強い(凶暴化する)。

こんな可愛い名医に診てもらったら、体が癒える前に心が癒えそうだ。

さ、て、と、

ブレスレットです。
たまには、ぼけ…と手芸するのも良いですよ。
と言いながら、
頭の中で、池田さんと森くん(蘭丸のお兄さん)の長久手戦いをイメージしてました。
どうやら、脳みそって、体から離れたところにあるらしい。
体が三次元なら、脳みそは四次元ぽっけのドラえもんだ。アイデアの宝庫。
わんさか、イメージが湧いてくる。
戦いのシーンはさすがに辛いな。

知ってました?
蘭丸の兄さんって、鬼と恐れられてたんだって…。
ところで、お化けと鬼ってどっちが強いんだ?
お化けって仮装する姿から可愛いって感じだよな。
森の鬼さんって、十文字槍をぶんぶん振り回して首上げてたらしいから、
やっぱ、生きた鬼のほうが怖いのかも知れないな。
だから、狙われたんだよ。森家って。

いつか、紹介できたらいいな。森の鬼退治。
さ、本編に戻ろっ!

自我(エゴ)

2011-10-31 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
与一「そのボコッた相手だけど…君を、弟、と呼んだ。心当たりは?」
匠「え…」そういえば、アイツ、俺を…「ッ!?」空を見たら、
クルクル、火鷹が忙(せわ)しなく、上空を旋回し「危険を知らせてる」
与一「今日の朝練は、敢え無く終了だ」弓矢を下ろして「行こ」グイッと彼を引っ張って、
匠「あ、あぁ…」与一さんを連れて、義経さんに報告に行った。
空が忙しなく、お日様が山の谷間から覗き、カーッと笑っていた。そんな空に起こされ、枕の隣に寝かせて置いた、かんざしを手に持ち、クルクルと回した。
りりりり…水にも誰にも負けない澄んだ音を奏で、
キラキラ…日の光を反射させ、金にも星にも負けないくらい「きれい…」に銀が輝いた。
ただ、私の髪には…、どうしたらいいか分からず、うぅ…ん、とかんざしを天まで伸ばして、
愛「ふぁあ…」と大きくあくびをしたら「あッ」お口全開で、動きが止まっちゃった。
繭子「…」洗面所で、バッタリ。クルッ、方向転換、背を向けた。
愛「あ、あのッ」思いっきり頭を下げて「おはようございますッ」勢いよく、頭を上げた。
繭子「…おはよ」1秒以内、とっても短く3文字で挨拶だけは済ませた。けど、気分悪いわ。
同じ空間にはいられない。だから、この場から早々に立ち去り、時間をズラそ…と、したら、
愛「待って…」と呼び止められた「あ、あの…ごめんなさいッ」もう一度、頭を深く下げた。
する…と、黒髪が横から垂れて、顔が隠れた。
繭子「…」ゆっくり、彼女の方を向き直り「なぜ、謝るの?」黒く柔らかそうな髪を見た。
愛「なぜって…」ガンッ、パンチの利いた重い言葉が頭に圧し掛かって、髪が余計に垂れた。
繭子「私はあなたの言うとおりスパイよ。事実を突き付けた、あなたが正しい。そうでしょ?」
愛「…」うつむいたまま、誰と会話してるのか分からないわ。だから、
繭子「頭、上げなさいよ」
愛「…ん」と、ゆっくり、黒髪の間から、幼い顔が覗いた。
ギュッ、かんざしを握り締めたら、りり…と空しく、悲しく、小さく響いた。
繭子「“誰かさんに”言われて頭を下げた。そうでしょ?」
愛「そう…だけど、でも、傷付けたと思ったから、」こうして…、
繭子「傷付けた?ふんッ、笑わせるわ。この傷は、自刃しようとして自分で付けた」
愛「あ…」彼女の胸の、斜めに大きく切り裂いた傷痕を思い出して「違う…その、」
繭子「違う?事実よ。正論を突き付けて謝るの?謝られても困るわ。それって、自我よ」
愛「自…我(エ…ゴ)?」

好敵手

2011-10-30 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
「匠、」養子先の志鷹家に母が訪れ「今度は、」
薬?…志鷹の家には薬剤庫がない…薬草くらいしか、
「薬なんかに、もう頼らない」
え…?
「この世には、もっといいモノがあるわ」
…なんか?もっと?
「陰陽師よ」
俺なんかより、陰陽師なんだ。ふぅ…ん。プニッと、陰陽師の卵を、指で押した。
賀茂女「うぅ…ん」寝ぼけて、手で払い除けた。
匠「そりゃ、俺なんかより、数段かわいいさ」ふん、と力を入れて立ち上がろうとしたら、ボディパンチが利い「テッ」体が悲鳴を上げた。火鷹が助けてくれなかったら、歯の一本では、済まなかったな「…っと、」いつもの習慣で弓道場に足を向けたら、いつもより早い時間で、彼の朝練の時間を考慮するの忘れて、
与一「池田さん?」バッタリ、出くわした。
匠「あ…いや、」気まずい。サッと殴られた頬を隠したけど、
与一「弟の方か」見えてないし、
匠「あ、あぁ…」スッと頬から手を下ろした。
与一「今回の件、ありがとう」
匠「礼なんか、」言われる筋合いないし「…ただ、能子さんに」謝りたかった…だけだし、
与一「能子さん?」
匠「あ、いや、能子さんって、すげ…な」
与一「…タマ蹴りが?」
匠「…」それはそれで、すごい「…痛かった?」
キュー…ン、シュッ、右腕で弦を引く彼が先に矢を放って、与一「そっちと張ったもんだよ」
ビシュッと、的から大きく外れて、匠「…それじゃ」ご愁傷様です「…っと」キリッ、
キュー…ン、シュッ…ビシュ、左で弦を引く俺が後で射る。背中合わせの朝練で、
与一「ところで、体術の方は?」背中越しに声を掛けてきた。
匠「ん?」どういう意味だ、と睨んだら、
与一「ボコられたんだろ?」クッと笑ってやがった。
匠「…」こいつ、意外と、ムカつく。キリッ、力み過ぎて、ビシュッ、的から外れた「チッ」

体は楽に、心を蝕む蠱毒薬

2011-10-29 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
一方、弁慶とロク、つまみと酒を運ぶパシリの海尊は、忍者屋敷の最上階 月見櫓(やぐら)に見立てた天守閣で松殿を接待中、ドンチャンドンチャン…それぞれの気忙しい夜が明けて、
チュンチュン、チュンチュン
あぁ…頭がズキッ、痛ぇ。体がズシ…重ッ。まっ…てよ、てるに「イッ!?」目が覚めたら、
匠「賀茂女」が、俺の体にうっぷして寝てる「賀茂女…」を揺すったら、シッ、
池田「今、眠ったところだ」兄貴に咎められた。
匠「と…」いう事は、兄貴も寝ずに「俺…?」ズキッと来て、頬を手で押さえた。殴られた頬より抜歯の痕が痛く「てッ」眠っている間に、何があったのか?「どうしてここに…」
池田「継さんが、お前を負ぶって戻って来た、後から礼を言え」スッと、立ち上がって、
匠「冷さんッ、能子さんは?」
池田「後…」相変わらず、徹夜明けは機嫌悪く「眠…」パタン、部屋を出て行った。
匠「待って、輝にッ!?」呼び止めようとして、賀茂女が、ピクッと動いた。起こしたか?と思ったら「ほ…」眠ってる。そっと布団から出て、代わりに彼女を布団の中に押し込んで、
血色の良い、彼女のぷっくらした頬をツンと押してみた。弾力があって指を押し返してくる。
蠱毒の苦しみから脱け出してくれて…少し開放された気持ちになった。10年前…、
「これ、作って」
母から渡された薬の成分表、タイトルには蠱毒と書いてあった。蠱毒…毒下し、解毒薬かな?
10歳の俺は、それが『コドク』だと読めず、また、人を殺めるものだとは知らなかった。
兄貴の居ない間、こっそりと池田家の冷たい蔵の中に忍び込んで…、すげぇ、宝の山だ。
蔵の中には薬箪笥(くすりだんす)があって、薬草がたくさん保管されていた。珍しい異国の器、道具や機材、計量器…俺にとっては、おもちゃ。それがいっぱい並んでいた。
成分表の文字と文字を照らし合わせ、箪笥をすぅと開けて、保管してある生薬をこっそり頂き、おもちゃで量って調合する。成分表通りに配合すれば、薬なんて簡単だった。小さい俺はその薬がどこの何に利いて、命にどういう影響と体にどんな副作用があって…と、そういう知識がなく、薬って、全て良いモノだと思っていた。だから、母のために良いモノを作ったと信じて疑わなかった。何より、母は薬を作ると褒めてくれた。
「匠は…本当に器用ね。それに、優しい子だわ」
ねぇ、母さん、この薬…何?
「体を、楽にする薬よ」
楽?そう言う母に疑問を持った。だが、ブルル…首を振って、母さんが、そんな事しないよ。

親の心、子知らず

2011-10-28 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
富樫「継が、匠抱えて戻って来たぞ」
義経「二人…だけか?」義隆を床に寝かせて「匠は?」
富樫「池田が付いてる。大丈夫だ」
義経「そう…」と、義隆が起きないように、小さい声で「能子と冷は…、」
富樫「女二人は泊りだ。夜道は危険だから、」
義経「え…?」
富樫「明朝、送るってよ」
義経「どういう事だ?」
富樫「匠が交渉したんだと」ふん、と突き付けたのは、
義経「あ…」水面に浮かぶ日輪 日の丸旗だった。受け取った旗は、絹の光沢が艶やかで、シュルッとした質感が心地よく、織り目を見たら、乱れがない「繭子…は?」
富樫「ぐっすり寝てら」親指を突き出し、口出し無用って言ったろと、余裕のポーズに、
義経「そ…か」安堵した。繭子の日の丸を広げて、明日、皆が揃ったら「旗揚げだな」
富樫「そうこなくっ…ちゃ?」義経が木炭を持ち、繭子の織った日の丸に向かって“ある文字”を書いたから「なんて書いたんだ?」と聞いたら、

義経「さぁ」コトッと木炭を置いて、西洋の言葉なんて「知らねっ」ましてや、梵字なんて書けないし、読めないし、ただ「祈りの言葉…らしい」って事だけは分かる。
ずっと、懐に仕舞っていた、俺の源氏旗と能子の平家旗を並べて「ぴったりだ」
富樫「よっ」と、義隆を抱えて「こんな所で寝て、風邪引くぞっ」と顔を覗き込み、
「ふぅ…ん」つくづくと義隆の寝顔を眺めて「男(おのこ)もいいもんだな」と笑ったが、
義経「生意気だぞ」同意は出来なかった。散らかった古紙に書かれた仁愛の文字を拾って、
富樫「義仲に似ちまったか?」戦友に苦笑した。
義経「強情で曲げない」木炭を拾って「自分より、他人で…」
富樫「アイツは優し過ぎた。そういえば、木曾でのんびり暮らすのが、アイツの夢だったな」
義経「…義仲に似ちまうのかな」
富樫「親子だから、当たり前だ」義経から紙と木炭を引ったくり、義隆を被かせて、
義経「だったら、」義隆を抱き締めて「俺にも似ろよ」
富樫「その内、イヤでも似てくる。お前ら親子になって来た」紅白旗を広げたままにして、
義経「それはそれで複雑だな」明日に備えて、打つ合わせして、
富樫「それが親ってモンだろ」能舞台を後にした。

不揃いの仁愛

2011-10-27 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義隆「俺…なら、夢を聞くッ」
義経「夢…?」なら、早く醒めたい…「分かった。明日、その夢を聞く。それでいいだろ」
妹の夢…?聞いた事ないな。
義隆「うん」絶対だからね、と俺を一睨みして、再び、漢字の勉強を始めた。
同じ文字ばかりを練習しているから、義経「名前も、書けるようにしろ」と言ったら、
義隆「…う…ん」返事が遅い、という事は、
義経「画数が多いからな」苦手なのかと思って、義隆から木炭を取り上げ、
義隆(よしたか)…従兄弟の子 義高の呼び名を受け継ぎ、意味は、
「我 美しく、高らかに舞う龍の如し」これが、葵が付けた『義隆』の名の由来だった。
義隆「りゅう…」
義経「義隆の“たか”は“りゅう”とも読む。美しい龍のようになれって事だ」
義隆「龍…って」
義経「見たこと無いから、分かんないよな」空想上の生き物に苦笑したら、
義隆「うう…ん」首を横に振って「ねぇちゃんが…見せてくれた。俺の…銀の龍…なっ…た、」
義経「そっか」もう寝る時間が過ぎてる。昨夜も巴御前に義仲の話を聞いて、遅かったし。
仁愛の文字の上に木炭を置いて、落ちそうな頭を膝に乗せて寝かせてやった。
古紙いっぱいに敷き詰められた、不揃いの仁愛に「ガキのくせに…」いや、子供だからか、
大人の、そういう世界と現実を壊そうとする。
“同じだよッ”
そうだな、夢って、皆が見るもので、それぞれが掴むものだな。ただ、夢には悪夢もある。
妹の、それを作ったのは、この俺だ。敵方の妹をどうしてやる事も出来ず、結局、救えなかった。負ぶった小さい妹の、平家の日輪は俺から…離れた。
“お前なら、どうする?”
すまない…。妹を苦しめるだけで、何も出来なかった。平家の、アイツの夢って何だ?
義隆「母…上…」の夢を見ているのか?
まだ、母を恋しく思う年頃で顔を覗き込むと、まだまだ、あどけない。その顔は俺の妻らに似て、起きてりゃ生意気盛りの…アイツに似て、
“何とかしてよッ!”
くそッ、いつも誰かが脳に投げ付けるこの問いが、耳に付いて…、コツンッ
「いいか?」と顔を出した、義経「富樫…」

どうして…なんで…、

2011-10-26 | 日記
父の小銭入れがボロボロになっていたので(→洗濯機で回った回った)
小銭入れを見て真似て、革で作ってみました。
レッスンの合間に縫って、
ジャーン、

完成です。しかし、
父「…」無言です。おもむろに、小銭をバラバラっと入れて、
財布を、
シャカシャカ、シャカシャカ、おシャカさま、
カクテルシェーイクッ!!!
ちなみに、うちのおとん、学生の頃、夜はバーテンダー、シェイクはお手の物。
ただ、昼間は太秦映画村で切られ役だったらしい。さて、お勉強の方は?
「大学は、遊ぶ(興味ある方向に進む)所だ」だそうだ。
学生諸君、遊べ。
さて、シェイクタイム終了。
チャ…リン、脇から十円玉が落ちた。
父「ダメだ」
はぁ?おい、コラ待て。親父!
財布をそこまで振るか?そんなに振る必要があるのか?
銭抜け落ち検査って、そこまで厳しいのか?
父の厳しい検査で駄目出しまで頂戴し、二作品目を作った。
これなら…と、渡したら、
父「や…こっちを使う」と一作品目をポッケに仕舞い込み、職場に向かった。
ドッ、パヒューン。
最初から、一作品目でOK出して下さいよッ!
どうすんだッ!二作品目!と思ったら、
お母が「なら、貰いッ」とバックにストンと仕舞い込んだ。

こういう無骨な父と漁夫の利的母から生まれたDNAが、私だ。
親に褒められたいがため、頑張る。努力する。が、
褒めるのが滅法下手な親の子に当たる。
褒めない母は「負けずな子は、叱咤した方が伸びる」と持論を展開する。
だれが、私を負けずと決めたのか…それは親の判断だ。
私を褒めたら、もっともっと、伸びたかもしれないのに、残念だったな。
子は褒めて伸ばせ…と思ったが、ただ褒めるだけでは…、
作れば褒められるぅと思い込む匠君となる。
・注意・
薬って、昔から毒薬劇薬も多数存在する。特に、忍者って、そういうの取り扱ってる業者だ。注意して保管しよう!と思って、成分表を暗号化したってわけね。

さて、子によって、褒めて伸びる子、叱咤して負けん気が育つ子、十人十色で性格も違えば、性質も違う。
私は親になった事はないが、大人だ。だから、
子たちの、その心に対する刺激の仕方、接し方をよく考え、思考を凝らして、
今後の物語の展開を、幼少期の匠君と義隆君を、漢字をキーワードに対比して描いてみた。
いやはや、子どもには好奇心旺盛であって欲しいが、その為に、
これは「危ないッ!」
それは「どうして?」と、その理由や、そこに行き着く過程まで、ちゃんと答えを出せる大人になりたいと思った。
そう、答えだけでは、子は理解出来ないし、納得しない。
そういう分からない事をそのままに出来ない義隆くんには、本当に、手を焼きました。
私が、考えさせられました。
私は大人になって当たり前と処理していた事でも、子どもにとっては疑問なわけですね。
子どもの、なんで?どうして?を正しく、導きたいなとそう感じて、
私たち大人のモラルについてを、
元 保育士のおかんとよくよく話しているわけです。

勉強になります。

俺の、平家の妹

2011-10-26 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
どうして、突然、妹を?
帰れッ!突き放した。
だが、俺の後を付いて来る。
俺の真似して木刀振り回し、山道歩いて、木に登って、
…あッ!
崖から滑った。
小さい能子を抱き締め、ゴロゴロ…テッ、二人で転げ落ちた。
コイツだけは…、いつも、キレイな顔して、いいモン着せて貰って…だから、助けてくれ。
大丈夫か?
服は、汚れちまったな。どっか痛いか?
傷は…?
ない。…良かった。
雨上がりで足を取られて滑った。幸いにも地面は柔らかで、俺は打撲と擦り傷で済んだ。
ッツ…、元々汚いナリだ。傷だって、ツバ付けとけば、治…
妹は、俺を見て「兄様ぁ、死なないでぇ!」わんわん、泣き出した。
キレイな宮中じゃ、こんなナリ、見た事無いよな。
こんな事で死ぬかッ。
それでも、安心出来ないのか、泣き止まなくて、
大丈夫だ…ッテ、やせ我慢して、ほら乗れ、能子を負ぶって帰ったっけ。
それ以来、俺に懐いちまった。
「私の兄様(あにさま)はお強いの」
コイツが、俺の妹…能子(よりこ)。
そんなある日、
不意に突き付けられた系図に、
何だ、これ?俺、源…?
「お前の、源の系図だ」
アイツ…妹は、
清盛を見て、アンタの娘…、
なぜ、俺に、妹と会わせたッ!?
「そんな妹を“お前なら、どうする?”…かと思って、な」

私の兄様ね

2011-10-25 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義隆「なんで、泣くようなとこに行くの?」
義経「情けをかけに、」自分の心と引き換えに、俺たちの命を救いに「行ったんだ」…が、
義隆に、その意味を理解させるには、まだ早い。説明が難く、ポリッと頭を掻いた。
義隆「どうして、ねぇちゃんなの?」
義経「そういう所に生まれた。俺たちより、高い所で生きてんだ」
義隆「高い?」
義経「この舞台から、」立ち上がって…「たくさんの人が見えるだろ」
義隆「うん」
義経「アイツは、そういう目には映らない高い所にいる。それを、身分というんだ」
義隆「そこが、おこちゃまには、分からない世界?」
義経「あん?」
義隆「夢から覚めろって」
義経「…」
義隆「でも、池田さん、夢は見るだけじゃない。掴むもんだって」
義経「掴む場所が違う」自由の無い身分だから、俺たちの世界とは「住む場所が、違うんだ」
義隆「同じだよッ!一緒に、ここで稽古したッ」
義経「あのな、」こうなると、納得するまで長丁場だ「いいか、能子の事を考えろ」
義隆「じゃ、与一にいちゃんと池田さんは?」
義経「あ…」子供の言葉がストレート過ぎて、返答に困る「アイツらは、」
義隆「二人とも、ねぇちゃん、好きだッ」ぐいッ、袖を引っ張って「高い低い、ないッ!」
義経「俺に、どうしろって言うんだッ」バッ、袖を振り解いた。
義隆「何とかしてよッ!」
義経「なんとかって、お前…」ムチャクチャだ「…なら、どうする?」
かつて、清盛が俺に投げ掛けた言葉を、今度は、俺が自分の子供に投げ付けてしまった。
鞍馬寺で、これを見ろ、と系図を突き付けた。“お前なら、どうする?”って。
その言葉を投げ掛ける前、清盛が、
誰だ?
綺麗な…女の子を連れて来た。
「私の、兄様ね」小さい頭をペコッと下げて「はじめまして」ニコッ、俺に笑いかけた。
その顔と、声が…母上に似てる。妹?

仁愛

2011-10-24 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
能舞台中央で胡坐を掻いて、妹の模造刀をチンと鞘に収めた。護身用にもならない、
義経「ダミー(偽)置いて、本モン持って行きやがって。あのバカ…」能子が、与一の短剣を引ったくり、兼雅とかいう許婚んとこに行った。何仕出かすつもりか…大よそ検討が付いた。
早まるなよ、ギュッと目を瞑って、ゆっくり目を開け「…どうした、眠れないのか?」
義隆「俺も、ねぇちゃん、待つ」
義経「いつ帰ってくるか…」帰って来ないかもしれないし「分かんねぇぞ」と言ったら、
クルッと背を向け、ダッシュして忍者屋敷に戻って行った。なんだ?アイツ…と、思ったら、
タタタ…ッ、戻って来た。忍者屋敷内徒競走があったら、TOPだな。
手に古紙と木炭(昔の鉛筆)を持って、俺の隣にペタンと座って「なんだ?お絵描きでもするのか?」何か書き始めようとしたから「ちょっと、貸せ」ぴり…と紙一枚を破いて、
手が汚れないように木炭に紙切れを巻いてやった。ほら、と木炭を返したら、漢字を書き始めた。その文字…「誰に、教わった?」
義隆「池田さん」掌に書いてくれた文字を、紙に書いた「ひと…」“仁”って。
義経「池田が?」
義隆「うん」でも、もう一つの…「アイ…って、どう書くの?」俺に木炭を突き付けた。
義経「まだ、早い」5歳に覚えさせる漢字じゃない、だが、
義隆「ふんッ」さらに、木炭を突き付け「書いてッ」
こういう所が、どっかの俺の妻らに似て強情だ。木炭を引ったくって書いてやった。
義経「心を中に、受けると書いて、愛。この二文字で、仁 愛(ジン アイ)だ」
義隆「読み方、変わる」
義経「そうだ。愛(アイ)は、めぐみ、とも読む」木炭を返して、
義隆「めぐみ…って?」書き始めた文字は、まだ漢字の組み立てが出来ないのか、整わず…、
義経「恵みとは…望み、希望だ」義隆の手を握ってやり、大きく分かりやすく一緒に書いた。
「人が二人心受け愛と成す。人に優しく、望みを与え、情けをかける(慈しむ)」
義隆「なさけ…」不思議そうな顔をして、パッパッと、ふりかけを「かける?」マネをした。
義経「ご飯にかけるものじゃない。それぞれの人にかけてやるもので、他人を思えって事だ」
義隆「たにん…ねぇちゃん、たにん?」
義経「身内だな。つまり、人の生まれや、昔ってのがある。それを考えてやれって…」
義隆「ねぇちゃん、泣いてた」
義経「…そうだな」