あやめ「う…うぅ…」
ぽろぽろ…涙を出して、
斎藤「お、おい…いきなり、泣くなよぉ」
しかも、道のど真ん中。公衆の面前で…「違う、違うって。俺がいじめてるみてぇじゃねぇか。ジロジロ見んなッ」野次馬を追っ払って「ちょ、ちょっと来いッ」と、
グイッ、あやめ姉さんの腕を引っ張ったら、
あやめ「あ…」
体が硬い。
斎藤「とにかく…」腕を放して「こっちに来いよ」
どうも、この姉さん、様子が変だ。
怯えてる?
人気のない川っ縁に連れて行って「ほら、顔、洗えよ。店に戻れねぇぞ」
あやめ「も…戻りたくありません」
斎藤「あん?」この時期特有の五月病か?と思ったが、“何か”違う。
あやめ「辞表…の書き方、教えて下さいませんか?」
“茶菓子と職場をマズくするようなら、接客業、辞めちまえよ”
斎藤「そんな事も知らねぇの?」
あやめ「何を、理由に辞めれば良いのでしょうか?」
斎藤「紙…持ってるか?」
あやめ「懐紙なら…」お茶菓子を乗せる和紙をお渡しして、
斎藤「結婚は?」矢立(やたて・携帯筆記用具)を、姉さんから引っ手繰って、
あやめ「まだ…、ですけど…」
斎藤「なら、してから辞めな。周りが詮索してくっからな、こういうのが一番だ」
『寿退社』…結婚を期に退職します
「早いとこ、家庭に納まっちまいな」
あやめ「…」“寿”の文字を食い入るように見て、
「私には、縁遠い話です…」ポツリと呟いた。
斎藤「縁…?」ねぇ訳、ねぇだろ。
こんだけの美人、ほっとく男、いんのか?
“何か”ある、と直観的に思った。
ぽろぽろ…涙を出して、
斎藤「お、おい…いきなり、泣くなよぉ」
しかも、道のど真ん中。公衆の面前で…「違う、違うって。俺がいじめてるみてぇじゃねぇか。ジロジロ見んなッ」野次馬を追っ払って「ちょ、ちょっと来いッ」と、
グイッ、あやめ姉さんの腕を引っ張ったら、
あやめ「あ…」
体が硬い。
斎藤「とにかく…」腕を放して「こっちに来いよ」
どうも、この姉さん、様子が変だ。
怯えてる?
人気のない川っ縁に連れて行って「ほら、顔、洗えよ。店に戻れねぇぞ」
あやめ「も…戻りたくありません」
斎藤「あん?」この時期特有の五月病か?と思ったが、“何か”違う。
あやめ「辞表…の書き方、教えて下さいませんか?」
“茶菓子と職場をマズくするようなら、接客業、辞めちまえよ”
斎藤「そんな事も知らねぇの?」
あやめ「何を、理由に辞めれば良いのでしょうか?」
斎藤「紙…持ってるか?」
あやめ「懐紙なら…」お茶菓子を乗せる和紙をお渡しして、
斎藤「結婚は?」矢立(やたて・携帯筆記用具)を、姉さんから引っ手繰って、
あやめ「まだ…、ですけど…」
斎藤「なら、してから辞めな。周りが詮索してくっからな、こういうのが一番だ」
『寿退社』…結婚を期に退職します
「早いとこ、家庭に納まっちまいな」
あやめ「…」“寿”の文字を食い入るように見て、
「私には、縁遠い話です…」ポツリと呟いた。
斎藤「縁…?」ねぇ訳、ねぇだろ。
こんだけの美人、ほっとく男、いんのか?
“何か”ある、と直観的に思った。