ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~剃髪のマリア~

2013-06-21 | 散華の如く~天下出世の蝶~
方丈「生まれながら、皮膚疾患をお持ちで…
帰蝶「皮膚病…でも、ややを?」
出産、許されるものなのか?
この時代、皮膚病となれば、
結婚すら夢のまた夢である。
それを、
方丈「三人目を身籠っておられるとか」
帰蝶「先妻様に、お子は?」
方丈「…」
首を横に、一、二、三回、
ゆっくり振って否定した。
帰蝶「三行半(みくだりはん、離縁)か…?」
その問いにも、無言で、
方丈「…」
首を傾げるだけだった。
帰蝶「…」
私と破談になって、その時の女性とは、
おそらく、死別…。熙子様と出会って、
「世継ぎに恵まれ、ようございましたね、そう労えば良いのか?」
実子に恵まれなかった私が、
子宝を労うなど、滑稽極み。
羨む気持ちと妬み恨み辛み、
そればかりが浮かんでくる。
「会って拝み、子宝に肖れと?」
方丈「いえいえ御世継はまだだとかで、御立場は同じ」
軟膏の、貝の蓋を取り、
帰蝶「まだ…?」
くっ、と顔をしかめた。
方丈「これを…お渡し下さいますな」
※猪脂から作った軟膏で、火傷擦り傷皮膚疾患の薬です。