ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

参戦

2010-11-30 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
女将「ほぉれぇ、乗りな」と風邪気の義隆を車の後ろに立たせ、未だはいはいのみの山吹を車に乗せて、山形 酒田の「酒の町」まで義隆「あっ!」ちゅう間に到着した。
酒田とは、鳥海山から西に歩いて海岸通りに出てから、真っ直ぐ南下し[酒の道・酒田街道]まっしぐらで到着の酒田景観を代表する山居土蔵造りの倉庫で酒田米穀取引所である。北前船の船着場としても有名だ。
女将が子供たちの面倒を見ている時、ポロッと酒田にヒーローズ戦隊が集結するんだよってサブ・ロクの話したら、義隆が「見たい!」と言い出した。5歳前後の子供に深い思い入れがある女将は「じゃ、行こうか!」と快く承諾した。何分風邪気が心配だったが、兎に角、
女将「まっいいさ、行くよっ♪」と向った酒田のイベント会場だった。
しかし、その舞台裏ではヒーロー不在の大問題を抱え、てんてこ舞いだった。ちなみに悪役も不在である。
スタッフC「どうする??ヒーローがいない!」
スタッフB「もう、子供たちが集ってる、やばいな…」そこへ、
スタッフA「あ、親方!」と呼ばれたのは童ちゃんだった。
童ちゃん「おう、ヒーローズを連れてやったぞ!」と得意気に、ヒーローズスーツを強引に装着させたニューヒーローズ二人を突き出した。
どーん、と自慢げに。
スタッフD「おぉ!助かった!あ、時間!」と打ち合わせが無いまま、
童ちゃん「大丈夫だ!なんせ俳優っ。アドリブかませっ!」とステージ真ん中に、
ぽーん、と放り出された孤高のニューヒーローズは、
サブ・ロク「…(きもっ)」と深酒と弁慶と富樫の貰いゲをここで放出しそうになっていた。
いかんいかん、ここで吐いては、マスク内がゲで埋もれる…なんとか食い止めよう。胃で。
それにしても、襲ってくる悪役が居らず、何もすることなく、ぼっけっとつっ立っていた。
集った子供たち&義隆は「ワクワク」と胸を躍らせ、ヒーローズに注目。そんな無垢なる瞳で見つめられてもヒーローズは何もすることが無く、悪役が居て始めて引き立つヒーローだ。
サブ・ロク「俺たちにどうすれっと?」とマスクの中では困惑中、なす術無く、お面の下の素顔は困った顔なのだが、お面は無表情で下の素顔は誰にも見えない。従って、困った事態が誰にもスタッフにも伝わらない。ステージ脇でじれったい二人を見つめていた、
鞍馬「何ボケッとしてんだ!!」と罵声と野次を同時に飛ばした。
義隆「あ!!鞍馬さん!!」と鞍馬を発見し大声で呼び掛け手を振った。

人生、そんなもん

2010-11-29 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
弁慶&富樫「う゛え゛ぇ゛」と今まで呑んだものを大放出。その様子をテーブルの下から、
サブ・ロク「も…貰いゲし…そ…」と見ていた。
鞍馬「貰いゲしてる場合じゃねぇぞ」
童ちゃん「お前ら。これにサインしろ!」バーンと書類を提示、油性のサインペンを置いた。
サブ・ロク「(・・)へ(・・)い?」俺らのサインって本名で?
童ちゃん「本名以外に名があるのか?」
サブ・ロクは黙って[鈴木 三郎重家・亀井 六郎重清]とさらぁ~んと契約書にサインした。
童ちゃん「おし!」と、これでお前らは山形ヒーローズだ!と悪役から一転、転身契約を済ませてしまった。ま、人生っちゃそんなもんだ「明日、ヒーロー頑張れ」と労い、杯を酌み交わした。
鞍馬「…(鬼の頭領と主従関係、結んじまったよ…)」
そんな鬼の契約とは露知らず、親分子分の契り酒の酌み交わしがAM5時回るちょい前まで続いていた。滅法酒に強い奴らで、
童ちゃん「お前ら酒強いな…気に入ったぞ」
さっきまで殺気立って怒って竜巻き起こした親父も一緒になって呑んでいた。飛ばす相手が伸びて、お客さんが他にいないからから参加したまでである。
このどんちゃん騒ぎで女将だけはつまみを作ったり、酒燗したりと大童だった。
女将「なんで、私がこんな苦労しなきゃならないのよ」と離婚という言葉を頭に過ぎらせた。
親父「なぁ、そろそろ…」と声をかけられ、
童ちゃん「おっ、もうそんな時間か!なら鞍馬、来くぞ」と親父と鞍馬と一緒に、子分サブ・ロクの首根っこ掴んで連れ行き、朝風呂に行ってしまった。酒田イベント会場に向う前の眠気覚ましの一風呂である。しかし、腑に落ちない素面(しらふ)の女将は「わたしゃ、小間使いかい、全く!睡眠不足は美白美肌の敵で美容と健康にも悪いし…(ぶつぶつ)…店はめちゃめちゃ。それに酒代も頂戴してないじゃないさ。蔵にストックの酒なくなるし…」と外の暖簾を下げに行って「今日は定休日だよ。全くと(怒)!」とめっちゃ怒っていた。
ちょうどそこに義経が声を掛けて義隆&山吹の面倒を見ているうちに、機嫌が治ったが、夫への怒りは冷めてない。めちゃめちゃになった居酒屋の掃除や壊れたテーブルを直すのは、さっきようやく起きた弁慶と富樫に任せて酒田の[午前の部-11時~]の子供向けイベントに間に合うよう向っていた。子供たちにヒーロー戦隊を見せたい一心で風邪気の義隆に温かいものを着せて、山吹には乳母源氏車を用意して、

漆のつげ櫛

2010-11-28 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
スッと立ち上がったが、ただならぬ雰囲気で無言のうちにスッと座り直した。
なんだかいやぁな雰囲気と妖しい雲が漂って、ゆっくりスカウトできる雰囲気じゃない。
店の親父とのやり取り事の成り行き、女将の顔色化粧ノリと雲行きを窺いながら酒の徳利をしっかり握り締め、
童ちゃん「ほれっ」と鞍馬に酒を注いだ。
鞍馬「おっ、さんきゅ!おっとと」酒をこぼしてはもったいないとズズズッとすすった。
そのすすった音で、カウンター席を見た弁慶らは京都ヒーローで正義の味方??の鞍馬天狗を発見した。
サブ・ロク「鞍馬さん!俺らを助けてくれぇ!!じつはぁー…」と叫んだ。
鞍馬「なんだ?」
サブ・ロク「俺ら二人、俳優で!!」ケンカはご法度なんだ!
親父「ケンカじゃねぇ!」とツッコミ入れた。悪いのはそっちだ!
童ちゃん「しかし、俳優って?」顔で命じゃねぇの?
鞍馬「そりゃそうとあいつらヒーローに起用したら?」あのイヤらしい相な顔はお面で全く見えんだろ。
サブ・ロク「って、俺らの顔って…一体」※身近なイヤらしい顔の人を思い浮かべれば良し。
店主「それもそうだ…ちょっと親父、その後ろのアホ二人はこっちに回せ、可愛がっちゃる」
親父「へい!」と親父に抓まれ、パスされたサブ・ロク。ぽ、ぽーい、と。
ガッシッと童ちゃんの胸にナイスにキャッチされたサブ・ロク「ん?」キランと光る童ちゃんの首飾りが目に入った。
サブ「女もんのつげ櫛?」漆塗りで…
ロク「しかも、金!」
それは、黒く艶やかな漆塗りに散りばめられた黄金際出すつげ櫛で、両サイドに穴を開けて糸を通し、首飾りにしていた。
サブ・ロク「うわぁ、高そぉ…」と手が伸びた。
鞍馬「ぼさっとするな、おまえら!酒とつまみを持ってテーブルの下に非難しろ!」と避難勧告が出され、手を引っ込めた。皆が非難したのを確認し、親父&女将の息ピッタリ阿吽の呼吸の「降魔(ごうま)印っ!!」で弁慶&富樫はぶっ飛とんだ。ガッチョーン、と。
こんなちっこい居酒屋内で巻き起こる渦巻竜巻にテーズル座布団に椅子とぐるぐるぐるぅと回って、弁慶と富樫も頭回って目回り酔い回って、

スカウト

2010-11-26 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「んー…」と眉間にしわ寄せ、考え事していたら、
志鷹「義経ん所って兄弟仲最悪だもんね…」羨ましい?
義経「そんな小せぇことで妬っかむか!バカっ!」
志鷹「…じゃ、なんで恨めしそうな顔してんの?」
義経「恨めし相?」頼む、だれかこいつに人相学教えてやってくれ…ふぅと溜息をついた。
溜息と同時に一息ついた所で11時回ったようで、とぼけた二匹の鳩が変り番コに“ぽっぽ×11”とやかましく鳴く鳩時計が11時を告げた。
義経「鳩2匹?(といえばユキオンとクニオンとどうした?マスターを失い迷子迷走中か?)」
郷御前の神使 ユキオンとクニオンを心配してみたが、時間は刻一刻と過ぎていく。
こう考えて行くと全く持って物語とはすんごく便利なもので、時間を遡ることも出来る。
さて、毎回毎回場面がコロコロ変えて「申し訳ない!」という気持ちは全く無い、そこで勝手に場面を切り替えさせてもらう。
はい、いきなり昨夜の居酒屋「同じ穴のムジナ」だ。(覚えているかい?)
酒田のイベント主催の酒店主 通称 童(どう)ちゃんは飲み友だちである鞍馬と呑んでいた。
童ちゃんは結構稀な妖怪で数奇な運命を辿る鬼の類だった。日本神話上でとっても有名なお化けか?妖怪か?の息子さんで、物語上とっても重要な人物なのだ。
したがって、どうしても登場させたくてうずうずしていたよ。
ようやく“酒”田という“酒”の町で酒呑みとして人間界に登場することなった。
よかった、よかった、チャンチャンと言ってしまっては物語が強制終了してしまうので、勝手に話を進めよう。
深刻相な酒焼け赤い顔をした、
童ちゃん「今日のイベント中、怪我人が出ちまって…山形ヒーローズのガッサーン(月山)とザオウ(蔵王)が大怪我だ…全く前代未聞の珍事だ、おっと」と酒はこぼさず、愚痴をこぼす。
鞍馬「困った悪役だな…」ふぅと思い浮かべたのは女らを負ぶっていたイヤらしい山形ヒーローズで、そいつらの素顔は知らん。
とそこへ、Goodなタイミングで暖簾を潜るのは、
弁慶で「やってるかい?」と居酒屋に入ってきた。弁慶の後ろに見慣れない顔も付いて来て、
鞍馬「(後ろの奴らは…)」確か、お面を被った奴ら…
童ちゃん「いい体してるな…後ろの奴ら」と37、38の弁慶と富樫はちょい年齢にブブーで目に入らず、若いサブ・ロクに目をつけた。「スカウトすっかな…」と。

ゼン鬼・ゴ鬼

2010-11-25 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
兄弟は手を取り合って喜び、修験者に感謝しました。その後、兄弟は修験者に従い、守護しつつ今ここに生きています。はい、こっちが兄の赤鬼がゼン鬼ちゃん、弟の青鬼のゴ鬼ちゃんね」とそれぞれを指差し自己紹介した。
義経「おいおい、普通に考えて鬼を式神にするか?」
賀茂女「普通の精神じゃなかったのよ、その時は。助けてあげたい、一心だった…。本来、紙に描いた絵に息吹拭き掛け魂入れるんだけど…ね」
式神って役目を降ろすという意味で、命のお役目を等分にするの。マスターの身代わりだけど、マスターの魂を使っているから、分けられた魂に危険が及ぶって事はマスターにも危機が迫るってことでどちらか一方の息が止まれば、お互いの魂が消滅する。でも、おじいちゃん(ゼン鬼ちゃん)はゴ鬼ちゃんだけを残して死ねなかった…。
義経「だからって即身成仏したってのか?在り得ねぇだろ」普通の人間じゃ。
賀茂女「本人曰く、普通一般より高いスピリットを持つから神様になれるんだって。それに蘇生術は魂の輪廻転生がなくなる。取り残された者たちが心配で…」と一瞬表情強張らせた。
義経「…んー?」
賀茂女「魂は入れ物である体が死滅しても生きられるの。魂に死はない。新しい入れ物が見つかるまで異次元という本質や時間の感覚のない空間で漂い、入れ物を探す。今生きている3次元より上の次元の世界にいる魂も、次の機会に”再び”学びと出会いが訪れる。けど…、
義経「それがない…。つまり、本当意味で“死”が来るってことか」
賀茂女「そう…ね。私たち陰陽師が魂の分身、つまり、身代わりは、本人と同じかそれ以上の役(厄)を背負わせる」大きい役を背負ってのサインだから、後から残念になったら後悔に変る。そんな危ない関係で結ぶ魂の契約だから下手にサインしない方が身のためよ。
魂にクーリングOFF制度はないわ。
義経「危なっかしいサインだな。賀茂女、絶対にそんなの使うなよ」
賀茂女「わ、私?だ、誰にも使わないわよ」
義経「んー…」と疑っていたら、
河合「おい、じーさんが目ぇ覚ましたぞ!」と呼び掛けられた。
賀茂女「おじいちゃん、ゼン鬼ちゃん、大丈夫?」と義経からうぅんと離れて、駆け寄った。
おづぬ「う~ん、よう寝た♪」と大きく伸びをして、ゼン鬼ちゃんも目が覚めて、兄弟手を取り合って喜んでいた。
志鷹「仲がいい兄弟だね」よかった、目が覚めて♪って義経を見たら、

籠目歌

2010-11-24 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
賀茂女「う~ん、おしい!お日様の下って意味で日ノ本ってこと。それに、ほらぁヤマトは妖怪群生地で…」
義経「卑弥呼?邪馬台国?大和朝廷?妖怪群生地?」点と点が線にならん。
賀茂女「大日なる和に対極 陰(闇)陽(明)あり、拮抗する風穴(磁場)の節より闇に葬られしものが明るみに出ずる。節の目から出る再生の時、我ら陰陽 節目を守らんとす」と”籠目印”六芒星(魔除け)を右手で△、同時に左手で▽を空に描いた。

義経「器用だな。六芒星…か、鞍馬寺の正殿にも六芒星があったな」今やパワースポット、人がゴロゴロ来るらしい。小さい頃で記憶定かじゃねぇが確か、真ん中で…。
賀茂女「…地方によって歌詞が違うけど…
♪か~ごめ、か~ごめ 籠の中の鳥ぃは~♪
♪いついつ出やる 夜明けに晩に♪
♪鶴と亀が滑った 後ろの正面、だあぁれ?♪」と歌った。
義経「あん?鶴と亀が滑った?目隠しした鬼の真後ろ?当てられたら、鬼の交代か?」
賀茂女「鬼(陰)は囚われし魂、千年(鶴)万年(亀)幾世にも続く魂で…」と呟いた。
そして、ほんの一瞬だけ悲しい顔をした。また笑顔に戻って、
賀茂女「それより誰ぇ?ゼン鬼ちゃんに怪我させたの。おじいちゃんが危ないじゃない!」
義経「また意味不明な事を…。どういこっちゃ?」鬼に石ぶつけたらじじが危ないのか?
賀茂女「石ぶつけた?って、そうよ!このゼン鬼ちゃんは、おじぃちゃんの式神だもん!」
義経「さっきからチンプンカンプンだ…」もっと分かりやすく説明しろよ。
賀茂女「…昔ぁむかしある村に赤鬼青鬼の兄弟が居りました。毎日毎日、村の畑をあさって、悪さして…。それに手を焼いた村人は鬼を懲らしめてようと罠をはって鬼を捕えられました。
捕えられた兄弟、兄は「弟の命だけは助けて」と懇願し、弟の代わりに暴行を受けて瀕死の状態でした。弟は「兄の命を助けてくれ」と懇願しましたが、村人たちは鬼の言葉に耳を貸さず…。弟は泣き崩れました。
そこへ、山岳修験者が通り掛り、村人と鬼から事情を聞き、村人を説得して二度と悪さをさせないから檻から出してやってほしいと、
修験者「私に引き取らせてくれ」と申し出ました。
ようやく解放された鬼たちでしたが、赤鬼は虫の息…もう死を待つのみでした。
兄の死を前に泣き崩れる青鬼。そんな兄弟の姿を見て、修験者は禁断法 反魂り(よみがえり)の術を使い、赤鬼に息吹拭き掛け魂を分けてやり蘇生させました。

サイン(署名)

2010-11-23 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
賀茂女「止めといた方がいいわ。変な書類にサイン(署名)されちゃうよ」私たち陰陽師って紙に書かれた文字言葉と描いた絵に息吹入れて神霊宿し、その代わりに魂を使うの。
義経「魂使う?怖ぇ話だな」って、そういえば、義隆も変な書類にサインしてたな…。
賀茂女「ところで…」とチラッとじーちゃんと河合の方を見て「この方は?」と訊ねたから、
義経「河合さんと初対面か?こちら、河合さん。伊賀忍で俳諧人フリした俺らの隠密だ」
迷惑な話だろ。まったく(怒)
河合「隠密って紹介はまったくもって余計だ…」河合曾良てんだ、よろしく。
賀茂女「よろしく。私、賀茂女(って仮の名前だけど)それより隠密と一緒に行動して大丈夫?」
義経「後付いて来るくらいなら一緒に旅した方が楽しいだろ」それに何かと便利だし、薬と医療と医学の知識豊富だぞ。何かあったら頼める。無料診療だ。後からこいつの師匠 松尾芭蕉も海尊と来るぞ。俳句でも詠んで貰え。
賀茂女「別に俳句なんて欲しくない。で、無料でいいの?おじぃちゃんの看病…」
義経「あぁ。このじっちゃんか?道端で行き倒れの山伏と鬼で…まだ起きねぇな」
賀茂女「おづぬおじぃちゃん…大丈夫?」と河合に聞いたから
河合「お・づ・ぬ?おじぃちゃん?(・・)?」と素っ頓狂な顔をした。
賀茂女「しっかり自己紹介したほうがいいかしら…私、陰陽師 安倍一門、賀茂家役(えん)君 安倍葛葉の娘で、このおじいちゃんは分家の役家は安倍の遠縁にあたるの役小角よ」
河合「えっー!!と…役って苗字だったの?」
賀茂女「平安から明治まで続く朝廷 陰陽寮の役名だけど…」おじぃちゃんは寺や山を持たずして住所不定無職の修験開祖だから、どこの山でも神出鬼没に出てくる。わぁっ!って。
義経「いきなりじじぃが出て来たらそら驚くなってちょいタンマ、それ400年も前の話だろ」
賀茂女「即身成仏したんだって」自分で言って出て来たわ。ほんとかどうか知らないけど…。
義経「だぁっ!何でもかんでも即身成仏にすれば本編に登場できると思ってんのか!」
賀茂女「じゃ、精霊になったとしとく?」おじぃちゃん、神変大菩薩って言い張ってるわ。
義経「変人菩薩の間違いか?あの狗の神 鞍馬と一緒じゃねぇか!」全く!(怒)
一斉に即身成仏坊さんや妖怪 精霊がん首揃えてわんさか出やがって!
賀茂女「…出てくるには理由があるの。妖怪って、約400周期で陽の下に出るのよ」
現世界の結界が弱まるから出れるんだけど。そろそろ400年目って、400年は卑弥呼の古墳が魔除けの鍵、800、1200、1600、2000年…と陰陽師がそれを閉め直すの。クッと、ね。
義経「火の元(ひのもと)…って、火事かよ?」

ほんとかよ?

2010-11-22 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
今度は志鷹家で大切な跡継ぎが帰って来ねぇって大騒ぎだ!
志鷹「心配なんてしてないさ…5年前、志鷹家に待望の赤ちゃんが生まれた。男の子、でね」
めでたい話だよ…ただ、何のための俺(養子)か分からなくなって。自分の存在価値が見出せず、家に居辛くて、ね。池田のうちに戻るわけにもいかず…。こうして輝兄さんを探しながら、自分の道と選択と心のお洗濯してるって訳で…。
義経「…だから、あんの時(弟子入りの時)、人生、万が一に掛けるまで…って言ったのか」
ふいに自分の義兄 頼朝の顔を思い浮かべて「兄さん…か、心配だな。それに神薬って…」
志鷹「ん…そうなんだ。生きてさえ居てくれれば、それだけで良いんだが…」
賀茂女「…」とうつむいたから、
義経「なんだ、賀茂女。お前が暗い顔することないぞ。ほおれ弁当だ、食え」とまるで自分で作ったような顔して恩着せがましく風呂敷に包んであった三段重豪華弁当をデーンと出して並べて「ほれ箸だ!」と渡したが、どれもこれも女将さんが気を利かせて入れてくれたもんだった。しかも、九膳入っている。このじじと鬼二匹と一緒に食えってか?
賀茂女「あら!?これ、うちのお弁当箱じゃない!お母さんに作ってもらったの?」
義経「え!?お母さん??あの女将さんが信太の森の女狐 葛葉(くずは)さん?」
賀茂女「女狐(メギツネ)って…お母さんが聞いたら人間界から妖界にぶっ飛ばされるわよ」
鬼太郎とお友達になってみる?目玉親父にどつかれてみたい?
義経「へぇ、面白そうだな。でも、それで分かった!弁慶が酔い潰れるなんてあり得ないし、相当強い酒を呑んだのか?って思ってたんだよ」ほんとは葛葉さんにぶっ飛ばされたんだな。
河合「どこに疑問を持つんだよ。酒のせいで伸びてた訳じゃねぇだろ」とツッコミ入れた。
賀茂女「ま、どうせ、弁慶おじさんたちがなんか悪いさして印で魂ぶっ飛ばされたのよ」
河合「え!?魂ぶっ飛ばす?」
賀茂女「ほら、有名でしょ。安倍清明って陰陽師…印組んで四魂に喝入れるって♪」
義経「一霊四魂で直霊(なほひ)※にすんのか?陰陽師って」※正しい精神性と清き魂
賀茂女「近い!そういう類のことしてる」
河合「ほんとかよ!安倍晴明って確か美人な妖狐(ようこ)が母親って噂だけど、ほんと?」
賀茂女「で、そのハーフの私も美人でしょ?」と、うっふんと美人ポーズとったから、
義経「それが美人のポーズなのか?化けてんじゃねぇの?ドロンと」女って化けるからな。
賀茂女「私、まだお化粧して化けてないわ。すっぴんよ、すっぴん。ぴちぴちの16才よっ!」
義経「はいはい。それより、葛葉さんって有名な人なんだな。後からサイン貰っちゃおう♪」

輝と匠

2010-11-21 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
爪が食い込んでるじゃねぇか!と火鷹を志鷹の右手のカケに乗り移らせ、ひょい足元に置かれた桶を持ち上げた。
ら!?ピュッと血が滲んだ。河合さんに「傷薬、貰おっ」と山小屋に戻った。
ガラッ(降雪上、引き戸を開ける音です)
義経「河合さぁん、傷薬ぃ!」瑠璃にぶっ飛ばされた時、塗ってた紫雲膏、頂戴!
河合「あれ?紫雲膏の試作品、姫にあげちゃったっしょ?」
義経「ないの?」ツバで消毒するにはちょい傷が深いけど仕方なく、んべって舌を出したら、
志鷹「あ、ちょっと待って!」と火鷹を窓枠に止まらせて、自分の荷物から取り出したのは「パンパカ、パーン!!酒精(しゅせい)水!」と高音鼻声で、瓢箪水筒を高らかに掲げた。
義経「お前はドラえもんかっ!そんな大層なファンファーレで登場させるほどすんばらしいもんなのか?その瓢箪」
志鷹「ふふっ。立山は瓢箪細工が有名でね、って違う!中身がすごいんだ。未来においてこれが動燃力の燃料水となる、蘭語でエタノールっ!」西洋医学は蘭語なんだ!
義経「分かった、どうでもいい。早く消毒しろ」
志鷹「あれ?よく消毒薬だって分かったね?」
義経「あん?昔から酒精(アルコール)は戦の必需品で傷の消毒薬だ」戦人の常識だ。
志鷹「ふぅん。じゃ、左腕出して」とエタノールで傷を洗い流してくれた。
義経「くぅ~。沁みるぅ…ん?」アルコールの匂いに混じって爽やかな香りが広がった。傷口が沁みるから片目瞑って、もう片方は反目で志鷹を沁みるから睨んで「なぁ、これミント?」
志鷹「おぉ、正解!エタノールにミントを混ぜてあるんだ。ミントって虫除けにもなるんだ」
義経「……2年くらい前、これと同じような香りの軟膏をくれた奴がいた…」富山 上市大岩山に行った時、池田って模範みたいな優等生っぽいあんちゃんと出会って、ムヒをくれた。
若いのにえらい奴で料金は後払いの売薬して頑張ってたって話をしたら、
志鷹「…輝(てるみ)兄さん…」二年前って事は…。
義経「兄さんか!?今思えば雰囲気が似てるな!あの時は助かったよ、刺された弁慶が」って、ちょっと待てよ「お前ら苗字違うぞ?」
志鷹「輝兄さんは池田の家督を継いでる。俺は10歳の時、志鷹に養子に出されたんだ。兄さんは2年前、越の国に伝わる神薬に必要な生薬を取りに行くって出たきり帰って来なくって。俺が探しに回ってる。でも、何も手がかりなく足取りも掴めず…その、帰り辛くって」
義経「神薬…それよりお前、二年も家空けてんの?親御さん心配してる。すぐ富山に帰れ」

鬼ごっこ

2010-11-20 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
河合「ま、いいか…」喜んでいるし。じじぃを背負ってテクテク歩くこと10分で山小屋に到着。しかし、山小屋内には誰も居らず「勝手にお邪魔しま~す、よっ」と白髭のじじぃを下ろして布団を敷いた。
義経「あいつら、どっか場所を変えて修行してんだな」荷物はあるから帰ってくるはずだ「河合さん!」と呼びかけ、赤鬼くんを「へいっ!」パス、ぽーいと放り投げた。「ナイス、キャッチ!俺、青鬼と遊んでくるわ、後よろしくぅ」とパンパンと手を叩いた。
河合「鬼さん♪こちらっ、手の鳴る方へ」って…”本物の鬼”と鬼ごっこかよ。
性格が鬼みたいな義経と本物の鬼が遊んでいる様子を見て「ふぅ…」と溜息ついて「ほっとこ…」とじじぃと赤鬼の介抱していた。
義経、鬼ごっこすること1時間。「腹がへった…」と思い、お空を眺めると日が高かった。午前11時を回ったかな。と、
義経「あ!?ちょっとタイム!!」と右手を垂直にして、その上に左腕を水平にして乗せて、Time(待機)の”T”の文字を作り、青鬼くんに停戦司令を下した。
青鬼「(・・)?」
ら!?お空を向こうから二匹の鳥が飛んできて、一羽だけピューンと左腕に止まった。
バッサンと羽をバタつかせ、スタンと片足で…上手に。
火鷹「キキッ♪」と目が合ったから、
義経「おっす…」って火鷹に挨拶したが、左腕に爪が食い込んで「いてぇ…」
黒栖「…」と上空からこちらの様子を黙って見ていた。「あぁ~あ」って感じで。
その直後、草むらから、ひょっこり顔を出した二人は、
志鷹「おぉーい♪もうこっちに来てたんだね!」と満面の笑みだった。が!?
義経「バカモン!なんで俺の腕に止まるんだよ。痛ぇじゃねぇか!」
賀茂女「おっす!」とこちらに来て、桶たっぷりの水を義経の足元に下ろした。
義経「おっす…って、これどういうことだ?」
賀茂女「あぁ、これ?代わりに運んでもらおうと思って…」これからご飯炊くの♪
義経「違う!火鷹だよ。なんで俺の腕に止まるんだ?」乗るのはマスターの腕だけにしろ。
賀茂女「うぅ~ん、だって…疲れたら誰の腕でも止まるんだもん」火鷹ちゃん片足だし…。
義経「だぁっ(ダメの略)!なんて根性無い鷹だ!飼い主と同じだ」誰がマスターか分からん!
志鷹「だって…」
義経「言い訳 問答無用、だってもあさってもあるか!明日までが猶予だ。しっかりやれ!」