ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

円仁さん

2011-04-30 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
佐伯さん「駒を扱うの(戦略を練るの)は、得意じゃろ」ニタリと笑った。
義経「!?」兵法…!?
円仁「おいおい、じじぃに手荒な真似は、関心せんぞ」と佐伯さんから手を下ろさせた。
義経「…」佐伯さんをキッと睨んでいたら、突然、目の前に「!?」突き出された…
すみか「お煎餅っ♪」だった。
義経「…」この緊迫した空気が読めない子って、時には助かるな…と煎餅を受け取った。
すみか「あの、おにぎりの片付け…ありがとうございます」と頭を下げた。それより、
義経「ぶんぶん!」と首を振って、人差し指をにょっきと付き出し(落ち着いて、少し考えてから行動しろ!)と心の中で、注意勧告を発令してみたが、
すみか「え?何?なんて?」と、人差し指と首を、右に同時に傾けた。その仕草が、
義経「…(かわいい♪)」だけで、何も分かってねぇ「チッ」と紅餅で真っ赤に染まった人差し指をすみかの鼻の天辺にのじり付けてやった。
すみか「きゃッ、何するのぉ!」お鼻が真っ赤かぁ。
義経「…」(昔…そういう鼻をした賢い女がいたんだよ…)
煎餅と紅花ティータイム後、じじぃたちも染め体験に加わり、すみかに手ほどきを受け、紅染めの一連の工程を覚えることが出来た。ボーン×5の五時を告げる鐘の音が響き、
斯波「おろ?館長さんまで染め体験?」と迎えに来た。
これにて、今日一日の紅花染めと女装体験終了。疲れた…精神的に。
義経「ン(ありがと)!」すみかに礼を言う代わりに、敬礼したら、
すみか「…」深く、深く頭を下げた。俺にじゃなく…斯波に、深く礼をしたんだと分かった。
義経「…」遊郭から出してもらった礼なのか?別の、深い意味がある礼なのか?…不明だ。
斯波「鼻があけぇぞ…」と、すみかに言って「じゃ」クルッと背を向けたその表情は冷たく、
すみか「はい」と答えたその表情には、今までの笑顔が消え、とても淋しげに映った。
義経「…」円仁さんに戴いた風呂敷包みを持ち、斯波を追いかけようとしたら、
円仁「海尊のやつ…元気か?」と聞いてきた。
義経「え?」と振り返り、円仁さんを見て、海尊とも顔見知り…?と、動きを止めたら、
斯波「おい!行くぞッ」と急かされた。
義経「ペコッ」と頭を下げ、円仁さんとすみかに手を振って、紅花の里を後にした。
斯波の隣でほっかぶりして黙って船番所まで歩いたが、何も斯波まで黙りこくらんでもいいのに…と思った。さっきの、斯波の冷たい表情と、すみかの、消えた笑顔が気になって…。

将棋の里 天童

2011-04-29 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
池田「青いな」ニッと笑って「先に行きます」と船番所に向かった。その後姿に、
斯波「俺らが、青二才だっての?」と、青いみかんをじーっと見た。
与一「俺が、青いんです」
ボーン、ボーン、ボーンと近くの山寺の鐘が三時を告げた。
紅花の里、染め工房[くれないの館]で作業の手を止めて、すみかのドタバタに巻き込まれ、昼飯を食い損なった義経「くぅ(腹減った…)」と腹を鳴らした。そこへ、茶を運ぶオイボレと煎餅を持つすみか、ガタイのいいじぃさんが風呂敷包みを持って、こっちにやって来た。
ガタイのいいじぃさん「はじめまして…」と深く礼をしたから、
義経「ペコッ?」と頭を下げた。誰だろ?と思っていたら、
佐伯さん「ここの館長さん。で、近くの寺の住職の円仁(えんにん)さん、じゃ」と紹介した。
義経「…(佐伯さんの、知り合い?)」と円仁さんを見たら、
円仁「これを…」と、風呂敷でくるまれた箱をくれた。そぉっと開けてみると、
義経「!?」大量の紅餅と赤く染まった絹糸が入っていた。(えっ?えっ?どういう事?)
円仁「源氏のケジメだってな。斯波から、聞いたぞ」
義経「ペコッペコッ」と深く二礼して、有り難く、有り難く、それを受け取った。
佐伯さん「しかし、困ったもんだな…」
円仁「ふぅ…む、天童に和田軍勢が待機している」ここ[河北村山]紅花の里の目と鼻の先に天童がある。その天童に和田軍勢が駒を揃えている。
義経「ん…」厄介だなと思った。紅餅を風呂敷で包み直し、それをコトッと床に置いた。
さらに、将棋の里で有名な[天童]の目と鼻の先に、第一の目的地[山寺 立石寺]がある。
俺たちは和田義盛に嫁いだ巴御前に面が割れているので、迂闊に勧めない。今進めば、今度は俺たちがいかだに流された和田スパイのようになる。ドッカーンと?
それより、俺は…葵との隠し子が心配だった。なんとしても、山寺に行かねばならない…が、
義経「ふぅ…」と顔を曇らせた。
ツラを拝んだ事のない実子に、どんな顔で会えばいいのか…天童を突破する前に、つい余計な考えちまったんだ。そんな俺に、
佐伯さん「駒を進めるには、それ相応の戦略を練らねば、なっ」と紅花茶を差し出した。
義経「…」茶を受け取って、グビッと飲んだら「ん!チィーーー」かった。
小角「引っかかったぁ♪」と手を叩いて、ガッチャン「ククッ」と笑った。
義経「ンッ!」と佐伯さんの胸倉をグッと掴んだら、

早く熟してね

2011-04-28 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
与一「え…」
池田「なぜ、シテが悲しみを背負う?ワキに、夫となるお前が付いていながら」
与一「クッ」何も言い返せずにいたら、
池田「能も知らない源氏の坊ちゃんがッ」
与一「それが、あなたの、本性ですか?」
池田「…。ここで、切って、捨てられたいか?」
与一「ここで捨てたら、シテは救われません」
池田「フッ」と力を緩めた所に、
向こうで腕組みして見ていた斯波が「もう、いいのかぁ?」と声を掛けた。
池田「…」すうっと、与一の胸倉から手を離した。
斯波「池田っていったな。何、企んでる?」
池田「…何がです?」
斯波「お前、平 重盛の重臣で…」
平家全盛期、政権を握っていた能子の父 清盛の後継者として選ばれたのが重盛。当時、政治路線の違いから後白河上皇と対立関係にあり、殿下乗合事件を機に両者の仲は完全に破綻。そんな中、病気により急逝。その三年後、父 清盛が死去。平家政権は完全に崩壊した。
与一「!?」能子の…兄!?
斯波「重盛の次男、資盛の従者だったそうじゃねぇか」
与一「…」壇ノ浦の合戦後に、入水した能子の従兄弟殿で、清経の兄…。
池田「土岐(とき)さんから、聞いたんですね」
斯波「…」
池田「まさか、あなたの下で働いているとは…」
斯波「目的は、能子奪還か?」
池田「クッ」とあざ笑って「たいした護衛ですね」と皮肉を言った。
斯波「…。平家の巻き返しにしちゃ、分が悪ぃんじゃねぇの?」と長槍を手にしたから、
そっと手を袖に入れて、みかんを取り出し、
池田「ただ熟すのを待っているだけですよ」ポーンと投げた。
斯波「あん?」パシッと受け取り「みかん…?」
池田「青くて、まだ食べられません」もう一つのみかんを「フッ」と与一の胸に突き出した。
それを受け取った与一「…!?」この香…

3.11.祈りの日から

2011-04-28 | 日記
4月からのヨーガプログラム…
あの3.11(祈りの日)から、涙をのみながら、
皆様とヨーガさせてもらっています。

ありがとうございます。

プログラム中の、私の台詞ですが、

“子々孫々と、平和の意図(糸)が、繋がって生きますように”

とありますが、これは、和を紡ぐ思想と遺伝子が、親から子へ、孫へと繋がって、
生きますようにという願いが込められています。

皆様の思いが、
天に届きますよう、日立の神 鹿島様に届きますよう、
地に届きますよう、被災地に届きますよう、
人に届きますよう、被災地で尽力上げて働く人々に届きますよう、

心から、日々日々、お祈り申し上げます。

さて、
明日から~5月5日まで、ヨーガレッスンはお休みさせて頂きます。
休みの日には、心体のリフレッシュ&取材を!
というわけで、感性磨いて、感度を高めて、帰って来たいと思います。

「取材…?」

と疑問の声が聞かれる前に言っておきます。
そうです、義経記の取材旅行です。

「え!マジ!?」

去年のGWに奥州平泉 中尊寺参りから『義経記』を連載し始めて、
かれこれ1年ですね。まだ、続きます。
歴史って、そんなに甘くはなかった…ということですかね。

密かに思うこと(歴史に手ェ出すもんじゃねぇな…)

しかし、キーボードに手を置き、キーを打ってしまう…と、
止まらなくなるのが、想像力。
ストーリーが浮かんでしまうから、

顔が怖い。

時おり、百面相しております。

哀しいシーンを描く時は、マジ泣きます。
楽しいシーンを描く時は、マジきもい。
悪戯シーンを描く時は、ほくそ笑んで、
悪役を描く時は、すんげぇ腹立っています。

しかし、まぁ、
ひつじの、ほんの些細な欲望から、読者皆様にここまでお付き合い頂き、
(いやいや、まだ続きますが…)
誠にありがたいやら、申し訳ないやら複雑な気持ちでいっぱいです。

源氏と平家が仲良く日の本 紅白旗印上げるシーンと、
三種の神器 聖剣『天叢雲剣』を再生させるシーンを再現したいという、
小さな欲望を簡単に言ってしまえば、

誠に、手っ取り早いです。

デーンと絵を描いてもいいでしょう!
が、しかし!

歴史とは、そんなに甘いもんじゃなかった…。
結果に辿り着くまでの経過が、長ッ!

ま、考えてみれば当然です。
多くの偉大な方々、御先祖様たちの御苦労、御心労の積み重ねにより“今”という歴史があるのだから…。

歴史上のご先祖様には、お名前を借りて登場していただいておりますが、
皆それぞれに、ステキなキャラクターで描ければ、
ま、いいかっと、簡単に思っております。

登場人物の多くが男性という事で、
男性の心理・心情など、解りかねる場合がございます。
ぼそッ(遊郭って、入った事ねぇっし…)みたいな、ね。

ま、そこらは、持ち前の想像力でCoverして…頑張ります。

では、皆様、良い休暇をお過ごし下さい。
連休明けには、皆様の元気な御姿と明るい笑顔で、ヨーガしましょう!

ひつじより

本当に、ごめん

2011-04-27 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
継・忠「このボケッ!!探すぞッ!何のための護衛だ!!」と、どやして、
初音・楓「えぇ!?」状況を把握してないようだった。(ちゃんと説明しないとダメだよね)
そこへ、能子「ちょっとぉ、置いて行かないでよ!」と向こうからタッタと走ってきた。
斯波「(ホッ)良かった…」が、継・忠に「あいつら、クビッ!」宣告を出した。
継・忠「…(なんも言えん)」
与一「…すみません」
斯波「お前が謝らんでもいい」悪いのは護衛だ「さ、行くぞ」と能子と歩いた。行き先は山の神神社。ひっそりとたたずむこの神さんは木で象られた男根で「子安 安産の神さんだ」
継「へぇ、男の象徴がデーンと…」、忠「立派だな…」パンパンと拝んで、
斯波「与一、頑張れよ」と祈ってくれた。
与一「…」池田の…移り香が気掛かりで、それどころじゃないし…。
能子「ふぅ…ん」と大きな男根をじぃー…と見て「子安…」と池田さんの姉上様の…お腹の赤ちゃんを思って祈った。
あの時…死ぬ覚悟で入水した。でも、私は、兄に、与一に…救われた。
救ってもらった。けど…私は、嬉しくなかった。
私なんかを救うより池田さんのお姉様とお腹の赤ちゃんを救って欲しかった。
あの時から、二人分の命と自分の命を天秤に掛け、生きる意味や価値を…測っていた。
何度、測っても…どうしても、私の針が定まらない。グラグラと揺れて測定不能…生きる価値が未だ見つからない。4年たった今でも、海に沈んで行く彼女の姿が…見えてくる。
自分だけが救われた後ろめたいさに苛まれ、罪悪感だけが重く圧し掛かって、いっそ…。
“生き残った事に罪悪感ある者が、心から婚姻に臨む、とは考えられません”
ズキッ、
池田さんに見透かされた心が、軋んだ。
“それじゃ旦那さんに悪いでしょう”
本当に…悪いよね。本当は「ありがと…」と、伝えるべきなのに…ね。ごめん。
与一「…ッ」もう少しだけ…彼女の表情(顔)が見えたら…と、落ちていく視力を恨んでいた。
斯波「よし。子孫繁栄祈願OK!これから、足湯に行くぞぉ」と与一の腕を掴んで、
継・忠「おぉっ!」と能子の両脇抱え「行っくぞぉ!」と皆で足湯に向かった。
能子「ちょっとぉ!連行しないでよッ!!」と、足湯に到着し、
斯波「船の準備して来っから、ここで待ってろ!」人差し指でビシッと能子を差した。

青いよぉ

2011-04-26 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
売店のおばちゃん「これ?青いよぉ。まだ熟しないガ」
池田「いえ。青い方が香り立つ。熟すまでゆっくり香りを楽しみたいんです」と手に取った。
売店のおばちゃん「そぃガ?」と笑顔で「なら」と、もう一つみかんをおまけにくれた。
池田「ありがとうございます」と袖にみかんをそっと入れて、牛乳を左右二本ずつ手に持って男湯の暖簾を潜ったら、ちょうどガラガラ…と風呂から上がった継がいて「どこ行ってたんだよ?」に質問された。その答えの代わりに、
池田「はい」と牛乳を配った。
忠「おっ♪気が利くなぁ」、斯波「さんきゅッ」
与一「…ありがとうございます」と受け取った時、柑橘系の香が漂って「え?」これ…って、
池田「どう致しまして…」クッと小さく笑った。
継・忠「池田ぁ。俺ら、温泉街、ぶらつくから」と男湯の暖簾を潜って、
与一「…」能子の、移り香(うつりが)…池田に?と疑惑を残し、
斯波「船は三時に出す。乗るなら遅れんなよ」と与一を掴んで、暖簾を潜って行った。
池田「ふんッ」と笑って、袖からみかんを取り出し「さて、どう出る?」と香りを楽しんだ。
斯波たちは銀山温泉街をぶらぶらし、銀山発掘現場の銀坑洞(見学無料)に行って、
継「れ?弁慶じゃねぇ?サブ・ロクも」
忠「ほんとだ!」由利さんと、鞍馬さんも、泥だらけ…。
斯波「…。ちょっとバイト、頼んだんだ」
与一「バイト?」と怪訝な顔で、斯波の方を向いた。
斯波「あぁ。銀細工の“元”を取ってもらってんだ」加工したら10倍以上の値で売れる。
与一「ぼったくりですね…」
斯波「職人技術料だ。で、漆の方は出来てんだろ?明日からきっちり仕込むぞ」
与一「はい」
斯波「よし、次だ!」と来た道を戻り温泉街を通り抜け、山の神神社に向かった。その途中、
瑠璃姫「あら?」と女子チームとバッタリ遭遇した。しかし、一人、足りない。
斯波「おい、能子…どうしたよ?」
初音・楓「先輩ったら、また迷ってるのかも♪旅館でも迷ってたし、ねぇ」
与一「…旅館でも?」
冷泉院「遅れて入ってきたわよ」クスッと笑って、
与一「…(遅れて…?)」

懐かしの花橘の香

2011-04-25 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
池田「はい」と表情を整え「ほんとに、いいんですか?」と能子を見つめた。
能子「昔ッから…、そういう見透かした態度が、嫌いッ」
池田「見通しの利く心で、不安が伝わって来ました」
能子「マリッジブルーってやつよ」
池田「それって…結婚前でしょう?」
能子「前後同じッ!」
池田「そういう所、昔から変ってないですね」
能子「え?」
池田「強がりの怖がり」
能子「ふん!」とそっぽ向いて、
池田「生き残った事に罪悪感ある者が、心から婚姻に臨む、とは考えられません」
能子「ん…」痛い所を突かれ「…ぅうん」と、うつむいた。
池田「姉の事、気にしておられるようですね」
能子「…。二人を、救って欲しかった…。私だけが、幸せになっていいのか、と…ずっと」
池田「それじゃ旦那さんに悪いでしょう。姉は、その身で、その命を持って、生きる意味を人に示した。ただ、それだけです。…事情聴取はこの辺にしておきます」すうっと能子の右腕を放して「すみません」と詫びた。
能子「そういうとこ、変わってないのね」そんな幼馴染みが、とても懐かしかった。
池田「クン」と鼻を鳴らし「懐かしい香、ですね」
能子「花橘(はなたちばな・柑橘系)の香…そういえば、好きだったわね」と笑ったら、
池田「今でも、好きですよ」と笑って「案内します」と連れて行ってくれた。
案内してもらった浴場前で、能子「バイ(またね)!」と手を上げ、
池田「チャオ(敬礼)」して、女風呂の暖簾を潜る能子を見送った。その脱衣所から、
初音「どこ行ってたんですぅ?」と甲高い声が聞こえ、
能子「ちょっと…お手洗いよッ!」とでかい地声が聞こえた。
瑠璃姫「あら?迷える小羊かと思ったわ」、冷泉院「え?何?人生に迷ってんの?」
能子「っ(うる)さいッ!」
楓「先輩ったらっ。あははっ♪」と明るい笑い声が廊下まで響いて、
池田「さてと…」野郎共と裸のお付き合いと馴れ合いは苦手だから、ラウンジで時間を潰し、
風呂の時間をズラした「そろそろ…」と腰を上げ、売店で「牛乳4本と…これ」を購入した。

両刀遣い

2011-04-24 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
斯波「ほれ。隆坊、行くぞ!」と腕を掴まれ、男湯に連れて行かれた。
その後ろを歩く池田、クルッと能子に顔を向け「クッ」と笑みをかみ殺した。
能子「!?」何か、企んでる!?
初音「能子先輩ッ!早くぅ」と急かす声で我に返り、
能子「あ、ちょっと待ってよ!」と後を追ったが、護衛の二人の姿を見失った。
キョロキョロと見渡し「広い旅館…」の造りに見惚れているフリをした「あ…」と見つけた館内マップ…だったが「現在地…(今いずこか?)」が分からない。
マップの見方を勉強しとくべきだったわ、と後悔しても始まらない。だから「うぅ~ん(池田さん…)」の企みについて推測しながら館内を歩いた。
余計なこと考えつつ、旅館を歩いていたら「迷宮入りだわ…」
廊下でお昼の御膳を運ぶ仲居さんたちとすれ違い、仲居さん「ごゆっくり」と頭を下げられ、
能子「えぇ」とにっこり笑って会釈したが、頭下げて笑ってる場合じゃないのよ。
でも、忙しそうで、お風呂の場所が訊きづらい…と、泊り客のフリをした。チラッと「あら、ステキな部屋♪」とわざとらしく部屋を覗いた。しかし、内心、オロオロ…困っている。
そこへ、グイッと右腕を掴まれ、
能子「ンッ!?」口を押さえられ、客室に引きずり込まれた。
「あの護衛官…罷免ですね」
能子「(やろッ!)」と、咄嗟に左手で刀の柄を持った「ら!?(池田さん!?)」だった。
すう…ッと押さえられた口から手が放れ、
能子「ブチのめすわよッ」左手で刀を抜こうとしたら、すかさず、左手を押さえられ、
池田「そういえば、両刀遣い…でしたね」とにっこり笑った。
能子「いきなり、これは、ないんじゃない?」右腕と左手を押さえられ、
池田「今から、トレードしてもいいですよ」と逆に諌められた。
能子「トレード?」
池田「…。そうそう…お祝いを、言ってませんでしたね」
能子「はぁ?」と大きく吐息を出した。拍子抜けして開いた口が塞がらない…力抜けたわ。
池田「御結婚、おめとうございます」と左手を放してくれた。
能子「あ…」
池田「うちの捕虜から、聞きました」
能子「そ。心から祝ってるくれてるようには、聞こえないけど?」

富山県民「源」ファンなら…

2011-04-23 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
斯波「(義経そっくり…)」なるほど、このねぇちゃんが内部事情暴露したんだ…と分かって「まぁ、どうでもいいけど。ちょっと待ってろ」と向こうで狼煙を上げる準備をした。
そこへ、こそっとスパイ犯を片付け終えた番人が「あの方…」と池田をチラッと見て「…重盛様の重臣 池田家の…、資盛様の従者です」と耳打ちした。
斯波「…」という事は…能子を見て、
能子「ン?」斯波の視線に気付いて、こっち見たから、
斯波「(いい勘だ)ニッ」と笑い返して「…捕虜(清盛息女)奪還か?」
番人「それは…分かりませんが」
斯波「…が?」
番人「いえ、彼の、姉上様が壇ノ浦で入水され…母子ともに亡くなったと聞きました」
斯波「へ?」
番人「妊娠しておられたようです」
斯波「胎に、子供が…!?」と狼煙を二つ(OK)上げた。あだ討ちか?巻き返し?それとも…「ちょっと…行って来る。ここ任せたぞ」と船に乗り込み「おーい、乗れっ」と池田と瑠璃、与一と能子、継・忠夫婦と冷を乗せた。
童ちゃん「行ってらっしゃ~い」と手を振って「さて、遡上はどうなってっかなぁ?」と酒田の桜鱒遡上現場 赤川に出掛けた。桜鱒捕獲班の富樫、海尊、匠「うぉー(×3)」と川に飛び込み、桜鱒捕獲を体験中である。5月初旬、鱒の美味しい季節だが…水はかなり冷たい。
繭子「寒くないのかしら…」と森乃・熊世と呆れて見ていた。
近くの竹やぶでは、義隆「これくらいの大きさ?」プッチン…と笹の葉を一枚取って、
小枝御前「コクン」頷き、二人で腐敗防止用の笹の葉を取っていた。
桜鱒と笹の葉がご飯と合体して、どうなるか?富山県民「源」ファンなら分かるよな。
さて、斯波一行は、船番所[尾花沢]に着き、銀山温泉 銀山荘に到着した。
斯波「ここは俺が払う」料金500円×10人分を払った。
池田「ありがとうございます」
斯波「さっき、(スパイから)荒稼ぎしたんだ。気にすんな」
継「よし、行くぞ!」
斯波「日帰りの入浴タイムは10:00~13:30だ、いいな?」その後、温泉街周辺散策だ!
忠「分かってるって!」と継と連れ立って、
与一「ム…」と眉間にシワを寄せ、険しい表情をしていた。

遡上しマス!

2011-04-22 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
男女見た目だけお似合いのカップルが立っていた。
斯波「あれは…」確か、能子の舞を義経と見てた奴…だったから「よう…」と声を掛けた。
池田「こんにちは」
瑠璃姫「昨夜…ステキなお声でしたわ」
斯波「そ…」と、軽く聞き流し「で、なんか用か?」と池田に問い質(ただ)した。
池田「何って…ここは、最上川“上り”の船番所でしょう?それとも、今日はスパイの貸し切りですか?」ノビきった再起不能のスパイ犯をチラッと見て、番人の顔を確認した。
番人「…」ササッと顔を隠し、スパイ犯を片付けるために、向こうに行った。
斯波「…。どこまで、行きてぇんだ?」
池田「銀山温泉まで」
斯波「…どっから、仕入れたんだ?」
池田「何がです?」にっこり笑って…すっ呆けた。
斯波「…」
そこへ、与一と能子を連れた童ちゃんが「斯波~ッ、連れてきたぞぉ」とやって来て「おろ?」
能子「池田さん…」を見つめて「…と瑠璃」を嫌そうな顔をした。
与一「…」
瑠璃姫「取って付けたように呼ばないでくれる?」と腕組みして、
能子「じゃ、お義姉様(ねぇさま)♪とでも、お呼びすれば、よろしくて?」
瑠璃姫「何、その顔と態度?可愛くないっ」
能子「お互い様よ!で、何?」
池田「最上川“上り”を体験したいな、と思ってね」とにっこり笑った。
瑠璃姫「冷が言ってたの。アンタたち、遡上するって♪」
能子「人を、鱒みたいに言わないで!まったくッ!内部情報が筒抜けだわ」
斯波「…」
そこへ、喧々諤々騒騒しくこちらに向かってくるのは、
童ちゃん「あいつら、またケンカだよ…」と佐藤兄弟くの一姉妹夫婦がやって来て、
冷泉院「はぁあ~い♪」と、後ろからのん気に付いてきた。
能子「おしゃべりッ!」
冷泉院「あら、一人で美肌の独占は…」と能子の鼻をピン「ダメよ♪」と弾いた。
能子「ィタッ」と鼻さすった、その仕草が、