ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~明智城、明智村~

2013-06-01 | 散華の如く~天下出世の蝶~
それから後日、
出立支度を…、
帰命丸「母、母ッ」
邪魔しに掛かった。
行っちゃ、ダメッ、
愚図って愚図って、
帰蝶「丸…」
母を捕えて離さない。しかも、
あの失踪がよほど利いたのか、
帰命丸「母、父、ぶつぶつ」
帰蝶「…え?」
それを聞いた殿も、
信長「…」
驚いたのであろう。
一瞬、瞳孔が、カッと開き、
その刹那、瞼が閉じられた。
父の表情の変化に気付かず、
帰命丸「おいてっチャッ、ダメーぇッ」
城中に響き渡る丸の雄叫び。
信長「構うな」
ムズン、丸の首根っこ掴み、
帰蝶「あ…」
信長「ゆっくりして参れ」
笑って、丸を持っていった。
帰蝶「はぁ…では取り急ぎ…参りましてございます…」
お供に、藤吉郎「はッ」
威勢の良い猿と侍女数名、
五兵衛「んで、おらが?」
用心棒を連れ、城を抜け出し、
明智城下、明智村を目指した。