ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

転法輪印

2010-08-31 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
早く俺に飽きてくれっ!という願いも虚しく、しっかり付いて来る鹿角君でとうとう白神さんちを抜け、次のチェック丸ポイント 河鹿(かじか)食堂まで来てしまった。
義隆「河鹿って?」と訊かれて、
義経「声だけバンビ(小鹿)で可愛いが、見た目は所詮カエル…」と適当に答えた。
義隆「ふーん、なんだ…」と残念そうだった。河童か何か妖怪の類を期待していたらしい。実は、最近の義隆Myブームは日本三大妖怪伝説、郷推薦の絵本と巷で人間と暮らすもののけ妖怪話で、トトロがネコバス旋風に乗って助けに来る事を期待しているのだ。(トトロ 参照)
そんな期待されるような妖怪 河童じゃない河鹿食堂で他の旅人の邪魔にならないよう横手の木に鹿角君を繋いで荷物番をしてもらい、皆で店内に入った。店内から鹿角君の様子を窓越しに伺いつつ、暮坪かぶ(辛味が強い)を薬味した十和田蕎麦を注文して目張り寿司弁当を広げてブランチした。滑舌が悪い義隆に注文を任せたのがマズったのか注文数を聞き取りミスったバーさんがテーブルに注文の品+αを運んできた。
義経「あれ、1個、多いよ」と言ったら、焦って後ろに下がってしまった。そこの店長らしきアンちゃんにバーさんをちょいと指で呼び出され何やら言われていたが、こっちが言い間違えたかもしれないのに…と思い、レジ清算の時、バーさんに「美味かったよ、ありがとう」とにっこり笑って金を払わせた→海尊に。
すると、バーさん「ありがと、ありがと、また来てやぁ」と手を合わせて義経を拝んだが、
義経「あぁ…」と目を泳がせ生返事した。(もうここら旅行することはないと思ったから…)
さて、腹もいっぱいになった所で、逆 十和田湖方面に入って男鹿半島に向おう!と荷物番 鹿角君の所に行くと、清算で目を放した隙にベットベトの鼻とよだれダーダーの口で上手に風呂敷の解き、稲荷寿司弁当を完食、大満足の満腹でゲップッしてやがった。
義経「くおぉらぁー!」月山 稲荷神に献上するお稲荷さんをきれいに平らげるとはぁっ!
義隆「せっかく作ったお稲荷さんが…」と大きな目に涙を溜めて、唇がわらわら震わせ…、
海尊「やっ、やばっ」と身の危険を感じた海尊は女らの盾となり、
義経は八艘飛びでその場をちょいと離れ、盾となった海尊の後ろの女の後ろに回った。
義隆は未だ感情のコントロールが利かない子供で、怒りに任せ無謀に行動するやんちゃな所が多々見受けられ…両手の親指と中指で円を作り、左手甲と右掌を相手に向けて印を組み、
義隆「転・法・輪・印!」と自ら風を巻き起こし、鹿を座らせ説教し始めた。ガミガミと。
しかし、怒りで冷静さ欠け、半泣き状態。尚且つ、持ち前の滑舌の悪さで何を言っているか全く分らなかった。鹿も同じく(・ω・)?

鹿角(かづ)君

2010-08-30 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義隆「あっ、じぃの水筒が…」卯の花清水でじぃがくれた義隆の水筒を真っ二つに叩き斬り、さらに竹が落下した時点で終了の悲しいお知らせ音がブナの原生林に鳴り響き、定期的に当たらない一発屋の一瞬芸は終わった。次の芸を期待する鹿だけでなくその他メンバーもただただ呆然と立ち尽くし、万策尽きた一発芸人 義経へ冷ややかな視線が送られた。しらぁ~と。
元来、音に敏感で臆病な性格の小心者である一方、好奇心旺盛な鹿は慣れない音にビクッと来て、目をくりんくりんに見開き、フーフーと荒肩呼吸していたが、一発芸がただ無駄に音を立てて終わった?と分かり、ゆっくりのっさーとじりじりと歩を進め、間を詰め、くんくん、くんくん…と弁慶に近付いて来た。
弁慶「俺ぇ!?」
義経「しっ!弁慶、動くなっ」と口に人差し指を突き立て、弁慶を窘めた。指を人差し指から親指に変えて突き立て、クイッと鹿に親指を向けて「ほれ見ろ、鹿の目…別に襲おうとしているわけじゃない。目が怒ってない」と弁慶に耳打ちした。クリンとした丸い目はどこまでも黒く美しく澄んで、どこか遠い異国の異性を憧れるような眼差しで弁慶を見つめ、汗の匂いを嗅いでいる。鼻を擦りつけ、着物はべとべとべとりんと塗れていた。鼻が塗れているのは健康な証拠だ。どうやら、弁慶の匂いに反応しているらしく、しきりにガッガッと角を押し当てゴーリゴリッと擦っていた。
弁慶「いっ、痛いんですけど…」これが鹿のマーキングか?と思い、
義経「鹿が反応するようなもん、持ってるのか?」と弁慶を疑わず鹿を疑い、下から覗き込んだ。すると、立派な代物をぶら下げたオスだという事が判明した。
弁慶「おいおい、俺、オスに興味ないぞ!」と言ってみたものの、義経とほぼ同じ顔の能子に愛の告白した苦い経験がトラウマとなっている弁慶で説得力がない。(能子 参照)
そんなトラウマの顔を持つ義経からフッと視線を外し、鹿をナデナデした。ら!?
海尊「あぁ…懐いちゃった」どうする?この鹿。
義隆「鹿角(かづ)八幡太郎ってどう?」ここが鹿角八幡平だから!
義経「名前を付けてどうすんだ?」
義隆「弁慶が飼う!責任持って!」子供に責任云々を言われるとキツイな…。
弁慶「…俺が飼うのか?」と後退りした弁慶にさらに寄り添う鹿角君。逃げれば追い、追えば逃げる習性があるらしい。ま、いつか俺に飽きてどっか行くんじゃねぇ?と安易に考え、鹿の好意を無視して先を急いだ。しかし、意に反してピッタリ寄り添う鹿角君で、弁慶はとっても歩き難そうだった。後から富樫に鹿の手懐け方を教わろうと密かに思った弁慶だった。

鹿威し

2010-08-29 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
霊水場から細い小道の山道に入り、せっかく飲んだ霊水が汗に変換されて行った。
ペロッと舐めてみると塩味が利いていたので、
瑠璃姫「ねぇ、蜂梅飴食べる?」と訊ねられたが、返答聞かずに口に運ばれ、ほれっと入れられた。パクッ。ま、ちょうど塩分と糖分が同時に欲しかった所だから別に良いけど、俺答えてねっし…と密かに思った。
みんなそれぞれ一粒ずつ、佐伯さんお手製の蜂蜜梅飴を舐めて疲労回復を図り、さらに鬱蒼と生い茂るブナの原生林に入って行った。ここ八幡平は、佐伯さん全盛期の頃、朝廷命令で奥州蝦夷征伐の際、派遣された麻呂たちが「ここはまるで極楽でおじゃる!」と言ったかは定かではないが甚く感銘を受け、流行の信仰 八幡様をここ奉り、戦勝祈願したことから“八幡平”と名が付いた。しかし、どんな極楽よ!?とイメージが湧かない読者様へ、かの有名な鹿神(シシガミ)様が住まう「もののけ姫」の世界観を思い起こそう!そこら白神さんち周辺だ。そのアニメに登場する鹿神様の?立派な角に畏怖の念を抱き人々は鹿角(かづ)八幡平と?名づけた。そんな白神さんちでイメージを膨張させて、てくてく歩いていたら、
海尊「霧が出て来たな…」幻想的ではあるが、何が起こる分からないペケ印に接近していることもあり、地図で現在を確認しながら慎重に歩を進め「ん?」といきなり立ち止まったら、ドン!と前を良く見てない弁慶がぶつかって来て、
弁慶「いきなり止まんなっ!」と気合の一発ケリがケツに入れられた。
無理やり先頭に追い込み、飽くまでも二番目を死守する弁慶に鬱憤が溜まり、爆発寸前の海尊「あんだ?」と悪態付こうとクルッと後ろを振り返り、弁慶の胸ぐらを掴みかかったら「ハッ!?」とした。後ろにでっかい角の鹿が霧に包まれ白く、ゆら~と立っていたのだ。
クルッ振り返った義経「うぉ、でけっ!」と感嘆の声を上げた…が、角にビックリする前に、鹿にビックリすべきである。手付かずの自然を守る白神さんちの鹿神か!?とこちらを警戒しているのかじーと見ている。そして、じりじりと間を詰めて寄って来た。
義経「義隆、水筒かせっ!」と、義隆の竹水筒をぽーいと天に頬り投げ、すかさず自慢の名刀 今剣で「ハッ!」とスッパッと渾身の竹の居合い斬り、石の上にカコッカコーンと落として即席“鹿威し(ししおどし)”を御披露した。
鹿威しとは、山から降りた猪や鹿らが民家農家の畑を食い潰し踏み潰し、収穫前の実を食い散らすのを防ぐために定期的に竹と石が当たって音が出るように水の流れを利用して作られた竹筒の獣威嚇器で、獅子威しとも書くが、そう頻繁に獅子が民家に出没して貰っては命が幾つあっても足りないので鹿と書き、鹿(しし)威しというようになった。

葉団扇

2010-08-28 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
襟部分に天瓜粉をはたいて、女子退散。
男子、心置きなく脱いで着替えて準備して5分後に大荷物を抱えて部室から出て来た。
身長とほぼ同じ位の長さの兼房の刀を抱えて出て来た義隆を見て、
佐伯「義隆、ちょっとこい」と両手が空くように、刀を背中に右上斜めに括り付けてくれた。
義隆「ありがとう!」佐伯氏を見上げた時、浴衣の帯に挟まる団扇に目が留まった。
佐伯氏「これが欲しいのか」パタパタ…と葉団扇を扇いで見せ、ほれほれぇ~と煽っていた。
義経「子供を煽るな!それっ鞍馬ンだろ。いらん!」と子供の意向を聞かず受取拒否したら、
義隆「欲しいっ!」と父上の意向を完全無視、目をキラン(☆▽☆)キランと輝かせた。
義経「あ゛ぁ゛~」変なモノに興味を示し始めるお年齢頃だ…とガックリ来た。
佐伯「困った時、思いっきり扇げ。いいなっ」と天狗の葉団扇を左手に握らせた。右手は刀を鞘から抜くのに使うから必ず空けておけ、それから、一振り扇げば旋風巻き起こり…(ぼそっ)…汝ら助けん…と一言添えた。
義隆「うん、困った時、だね」分かった!と大きく頷いた。
佐伯「困ってなければ、何も起きんよ。パタパタ扇がしておけ」周りが涼しくなるぞぉ。
顔をへのへのもへじの「ヘの字」にして、困った顔をした義経の顔をペチッと叩いた。

弁慶「んなら、行くか」と佐伯氏が作ってくれた薬用酒と目張り寿司弁当を二箱とがっちゃんの紹介状とお稲荷さん弁当一箱をそれぞれ風呂敷に包んで、
佐伯「くれぐれもがっちゃんに“これ”渡すのを忘れるなよ」と念を押した。
海尊は佐伯氏が付けた丸印やら矢印やらペケ印やらの地図を手に、これから向かう八郎潟 男鹿半島とそこから海沿いを南下する道を確認していた。丸やペケには何の意味があるのか分らず、顎(あご)に拳を押し当て、神妙な顔で地図上のペケ印を目で追っていた。
海尊「ペケだらけじゃねぇ?」
弁慶「まぁいい、行け」と海尊を先頭に、二番手 弁慶、その後に女子供ら、そして最後尾に、
義経「よっ」と繭入り大荷物と女たちの化粧道具一式を持ってヒョコッと付いて行った。
ばいばーい!と佐伯氏と一旦?別れ、数十分歩いた所に最初チェック丸印ポイントがある。
丸印は安全安心な所という意味らしく、地元民の生活水の“お伊勢の井戸”を略して「おせど」の霊水場があった。ここで地元民と霊水に手を合わせ、拝み倒して無料で竹と瓢箪の水筒の中に水を入れて頂き、かなりの量をがぶ飲みして喉を潤し、腹がちゃわちゃわになった。
心と喉を潤わせ、先頭を張りきって歩く海尊だが、やはり心配なのは地図上のペケで「ペケってなんなん?」と首を傾げつつ歩を進ませた。

バァちゃんの入れ知恵

2010-08-27 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
煮て食ってよし、細かく刻み乾燥させて保存食にするもよしのむくみ解消と解熱効果で、エキスはしもやけローションだ。黄烏瓜(きからすうり)という名前から金色のカラスの形をした花が咲くか!?それともカラス型の瓜の実が出来るのか!?と大きな期待を寄せたが全部外れた。白く美しい天使の羽根を思わせるような花を付け、実は緑で熟すとまっ黄黄となる。
ちなみに、烏瓜の熟した実は真っ赤かである。
さて、どうしてその名が付いたのか?と思いきや、熟した実はカラスが食い荒らしたようにべっこべこになるからだ、と!?出来るなら未然に防ぎたいカラスの食い荒らしだ。
この未然に防ぐ夏バテ防止の瓜を夏の終わりに紹介してしまったが、この白い花が風に揺れて雪を連想させ、根のでんぷん質が粉雪の舞いをイメージさせることから瑞雪(ずいせつ・良き兆し雪)とも呼ばれるが、異常気象により厳しい冬の寒さだけを予想させるものだ。
そんな天瓜粉を叩いた経験のない海尊「ねぇ、俺もやって!」ここにポンポンと。いきなり瑠璃の目の前でぬぎっと上半身裸となり、ごっつい胸板にちょろっと生える胸毛のマッチョがガッツポーズした。ら!?
瑠璃姫「…はい」私、ソフトマッチョが好みなの…と目を背けられ、天瓜粉を手渡された。
海尊「…」小さい頃寺に預けられ、男所帯のむさ苦しいで所で育った海尊の甘く切ない母への妄想は脆くも崩れ去り、マッチョな胸板に白い粉 瑞雪を空しく舞わしていた。
ぼふん、ぼふん…と。
冷泉院「か…海尊!ちょ、ちょっと貸して」あまりにも天瓜粉の付け方が豪快で、
佐伯「おい、海尊っ!後から床掃除だ!拭いてから行け!」畳が真っ白じゃねーか!と檄を飛ばした。冷は粉があまり舞わないように優しくポンポン叩いてくれた。そんな優しい一面を覗かせる冷を見て、義経の浴衣の胸元から、
薄縁「…コン…」が一鳴きした。
義経「ん?」
弁慶「ほれ着替えっから、女らどっか行ってろ」
瑠璃姫「見られて恥ずかしいの?」とマジマジと弁慶の胸板を覗き込んだ。
冷泉院「減るもんじゃなし…」と、自分は裸見られたらキャーキャー騒ぐくせに言った。
義経「…いいからあっち行けっ」しっしっと右手で女らを追っ払う仕草をした。
瑠璃姫「出る前に皆の着物貸して」と、借りた着物の襟元にポンポン天瓜粉を叩き始めた。
冷泉院「汗で汚れる襟部分に天花粉を付けて着ると汚れ難いし、洗い上がりがきれいなのよ」
海尊「ふーん、襟ン所、真っ黒になるもんな」生活とバァちゃんの入れ知恵か。

天瓜粉

2010-08-26 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
佐伯「どれどれ…」と一つまみのご飯をぱっくり食べて、酢飯の塩梅を確かめた。
義隆「すっぱいの、嫌い…」酢の物が苦手なのだ。
佐伯「ほっほ。大丈夫だ!山吹はすっぱいのに甘いのを足してある、ほれ、一口食べてみろ」
義隆「(パクッ)うん、大丈夫!酸っぱくないよ!」これならお稲荷さん食べれる!と喜んだ。
合せ酢(寿司酢)は酢に糖分を加えて、ご飯が硬くなるのを防ぎ、団扇などで熱を冷ますのは酢の風味を損なわないようにという配慮だ。ここ、覚えておこう!
そんな台所での佐伯氏により鹿の鼻歌と料理教室の物音に気付いて目を覚ました女ら、
瑠璃姫「おはようございます」と昨日の泥風呂効果か!?ツペツペの顔を出した。
冷泉院「あら、義隆、早いのね。おはよう」とにっこり真っ白の冷奴がツルンと出た。
佐伯「おっ!ぐっすり寝てたな。調子はどうよ?」
冷泉院「お陰さまで、ぐっすりです!」左手を握り、ガッツポーズしてみせた。
瑠璃姫「お手伝いします」襷(たすき)をかけて、やる気満々で、
冷泉院「お水汲んできましょう」と、右手で桶を持って外に出ようとした。ら!?
佐伯「霊水は男鹿に行く途中で汲め、なっ」いい所知ってんだ~と鼻を鳴らし、男連中の水筒でも洗っとけと司令を出した。瑠璃姫と冷泉院がそれぞれに洗い物や掃除をしている所に、やっと起き出した男連中は、
義経「ふぁおぁあ~。おはよーっす」と大あくびで登場し、
弁慶「おう」と挨拶の仕方を知らない弁慶で、
海尊「押忍」どこかの道場と間違っていた。
義隆「…(ぽりぽり)…おはようございます」そんな朝寝坊主らにも、きっちりご挨拶。
冷泉院「おはよっ」
瑠璃姫「おはよう。…かゆいの?義隆」背中を掻きながら挨拶していた義隆を見て、ちょっといらっしゃいと部屋の隅に連れて行った。浴衣の上半身を脱がせて、背中を診察中、
もそもそとMy化粧バックから丸いケースに入った粉を取り出し、義隆の背中に白い粉を叩(はた)いていた。ぽんぽんぽん…ぽんぽんぽん…と。
義経「おっ、懐かしいなっ。天瓜粉か!」
天瓜粉(てんかふ)とは、江戸時代の名医 香月(かつき)牛さんの「婦人寿草」に書かれている汗疹(あせも)薬で、天花粉とも書き、現代ではシッカロールともいわれている白い粉である。
ウリ科の植物で黄烏瓜(きからすうり)の根からでんぷんを採り出し、体に付けていた汗疹治療や予防に使われ、実の方は普通に食べている瓜で生薬だ。

ヨーガの真髄

2010-08-25 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
自力で生きるとは他力あってこそ生きる力である。我を愛する心を持って他を愛す、他を知り己を知ることで思いやる心が生まれる。
たまたまの偶然に出会った必然的な仲間らの鼓動と息遣いを感じ、気遣いながらも楽しい旅をしろ。それが修練修験の“血脈”の要で「絆(瑜伽・ヨーガ)の真髄」だと語った。
佐伯「本来、それら体得してこそ、即身成仏(=生きたまま仏さん)なんだよ」

カサッ…

弁慶「ん、誰だっ!」と音の先に視線を移すと走り去る影を見つけた。海尊が走って追いかけようとしたが、
義経「…」海尊の腕を掴んで制し、走り去った影を見送った。夜目が利くんだよ。
佐伯「…まぁいい。今日はここまでだ。月山へはこの話を聞いたお前らだけで行け」
弁慶「…(今日は?)」ってことは…
三人は部室に戻り、薄暗い部室内に入った。ぐっすり眠る美女二人と義隆の寝息が聞こえた。
義経「……」
チュン チュンと爽やかな5月の朝。AM5時前、部室隣の台所にて…
フン♪フン♪フン♪と鼻歌混じりに「鹿のふん(大和名物・御神鹿)」をつまみにながら、飯を焚き上がるのを待つ男の後ろ姿は佐伯さん。ぴーぴーぴーと炊き上がりの合図で手を洗い、炊飯ジャーの蓋をカッポと開けてふんわぁ~と広がる湯気に顔をうずめ、顔をゆっくり左右に大きく振って米の香りを堪能し、しゃもじに適量のご飯を乗せて中央に紀州の梅干(大)をちぎって入れて、優しくふんわり包んでお握りを作っていた。
佐伯氏、出身は讃岐だが紀州 高野山の高僧で熊野古道の奥院に在籍しているためか、紀州の特産を熟知している。その一つが、目を見開き大きく口を開けてカップッと食らい付く高菜で包んである握り飯[目張り寿司]だ。それを大6・小4と男女子供関係なく適当に10個作って“山桜で作った楕円形の弁当箱”2つに縦大3横小2並べて、隙間に漬物入れていた。
取り出した梅干は蜂蜜漬けの飴にする。塩分と糖分を同時に摂取できる保存食で疲労回復と夏バテ防止に効果がある。もう一つの弁当箱には、昨夜いつの間にか仕込んで置いたお稲荷さんで稲荷寿司が入る予定である。佐伯氏の隣では早く目覚めた義隆が、佐伯氏の葉団扇を借りてパタパタ扇い飯を冷ましながら合せ酢(寿司酢)「山吹」を混ぜ、稲荷の酢飯を作っていた。妹と同じ名前の合せ酢でなんだか嬉しそうだ。

自他不二

2010-08-24 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
海尊「冷さん、自分に気を使っているように見えない…」他人には気を使うのか?分からないが、気功には体内分泌系体液をコントロールする[内気功]と体外気系オーラをコントロールする[外気功]がある。内気功は美容健康を管理に自分で自分に施す”軟気功”、外気功は護身用に身に付け、敵や悪い事をした自分の相手をぶっ飛ばす“硬気功”に分かれる。
冷は心臓が弱いため長期戦は不利、一瞬の間を見極め間髪入れずに2、3発で敵と義経をしとめる方が適している。
義経「俺をしとめるのぉ~?」まぁ、ただ尻を追いかけてたんじゃないんだ。えらいえらいと褒めてやった。
佐伯「うぅ~ん、冷ちゃん、いつぶっ倒れるか分からんな」
心拍数が上がれば、心臓に大きな負担を掛けてぶっ倒れる脳貧血の失神タイプ。本来、体の変調は自分で感じ、何かしら行動を抑えて休憩を取るか何らかの処置をして体調や呼吸を整える自己管理が最適だが、見え隠れする頑固な性格で甘えを知らず、気付きが遅くなる。
体調が最悪となってから「実は…」という真実を語るか、ぶっ倒れて意識を失ってから「おいおい、早言えや」という周りに多大な迷惑を掛ける恐れのあるタイプで、出来れば未然に防ぎたい不健康被害と二次災害である。しかし、呼吸とチャクラの乱れは天候よりも湿度の心臓血管圧迫に大きく左右され、今期のような気圧の急変は体調管理困難な事態を招いている。さっきまで元気だったのに、急に躁の状態(ハイ)となったと思いきや、いきなり鬱(ロー)になったというHigh&Lo症候群の仲間入りとなるだろう。雲の流れだけでは予測困難な気圧配置だな。
佐伯「冷ちゃんの息遣いに気をつけろ」
弁慶「心臓を早く動かすなって事?」
義経「それもあるが、呼吸の乱れは心身の乱れ…何かしらの体調不良の前兆を感じれって」
肩を上下させて呼吸していれば、体が無意識的に心臓ポンプを助けているかもしれない。それは血流の乱れの恐れもあるってことだ。
自分が元気の状態であれば、他人様の息遣いに気付く者は少ない。空元気やハイテンションでは苦しみや痛みの発見が遅れ、どれほど心臓に負担を与えているか想定し辛い。
他人の事を想像する力を養うための修練だと思い、相手の呼吸からその心を読み取れ。
それを「気遣う」というのだろう。相手の痛む心を分かってやれば、相手の痛みは和らぐ。原因不明や完治困難な病の中でこそ、相手を思いやれと、
佐伯「それが自他不二(自分と他人は二つに非ず)だ」

チャクラ

2010-08-23 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
佐伯「海尊…よく気付いたな。冷ちゃん、心臓が弱いんじゃな」
つまり、血液を体内に送り込むポンプ(心臓)の働きが弱く、脈拍数が低下するもしくは急激に増加する場合は、心臓から十分な血液が送り出せず、脳の循環不全(脳貧血)のめまいや失神を起こし、体液(血液・骨髄液・リンパ液・水分)の流れが滞り臓器機能が著しく低下させる。先程、酒を拒んだのは動悸やめまいを引き起こした経験があるのだろう。と!?
義経「分かっていたなら、なんで飲ませたっ!」
佐伯「少量ずつ体に慣らしていくことも大切だ」とご本人様の意向を無視して、シャーシャーと言いやがった。
弁慶「心臓 ホルモン系バランス悪が二人も居るのかよ…」と、妊娠中 静のホルモンバランス悪を脳裏に浮かべ、ボソッと「面倒くせ…っ」とつぶやいた。
確かに、女性ホルモンの活動は面倒なものだと思うが女の体を守るためだ。これが止まると骨粗しょう症に注意しなくてならない。若いうちから進んでカルシウム食品を取ろう。って、なぜ?産科婦人科でカルシウム摂取を勧められたか?骨とホルモンが何かしら濃い骨密親密関係があるのではないかと疑っている。味噌や漬物系発酵食品や乳酸系ビフィズス菌ヤクルト飲料で腸内環境正常化促進とヨーグルト系食品の摂取を推進するには、ある細胞の繁殖があるからだ。それを「NK細胞」というが、ウイルス感染系骨肉種系がん細胞を撃墜迎撃し、サイボーテロ?を未然に防いでくれる。なんともあり難い細胞だが、そのNK(エヌ・ケー)細胞を「あんたNAんか大KIらい」の略でNK細胞だと思っていた。
しかし、実際は「NAチュラル・KIラー細胞」というらしい。覚えておこう!
骨は造血を行い、その骨を守るのは筋肉。血管の詰まりは筋肉や骨にも影響を与える。またその逆も然り。今年2010年異常気象中、続く高湿度で心臓系及び筋肉萎縮中につき、血流不良にご注意を…。血管が詰まって貧血が起こる可能性が大である。
その血なり骨なり肉系がホルモンの活動に一役買っている。ホルモンとは体内の決まった器官で分泌され、そこら体液をある特定の器官に運び、その器官内で効果を発揮する生理活性物質と言われ、ヨーガ系?専門用語で“チャクラ(車輪)”といわれる。
このチャクラが乱れると体調不良を起こし、血管内の微弱電波自律出来ない神経系不全を起こす。特に女性は…28日(約1ヶ月)を1サイクル(周期)として循環するレディースチャクラが暴走化しグレる。これが男には怖いらしい。レディースチャクラは生理前から多少大なり小なりの個人差はあるが、表面内部に不快症状が出る。瑠璃はそれら不快症状を軽減させるために[内気功]を使って、体温調整や体調管理を行っているようだが…、

血(ケツ)

2010-08-22 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
と腕組みして、右手人差し指を天に向かって突き立て「どうよっ」俺様って素敵だろ?みたいな横柄な態度で酒の知識をご披露したら、ぶっ飛ばされるかなと思いきや
瑠璃「ん…そっか」と素直に頷いて、益母草の枯れ草を煎じて、くいっと一気に飲んだ。
義経「おい、冷っ、ちょっと待て。少し水を入れてやるよ」と酒を水割りにした。
ちなみに水割りは軟水が適している。そのアルコール度数を半分程度に薄めてやった酒を、
冷泉院「ん、っく…」鼻つまんでちびちび飲んでいた。別にアルコール臭が鼻に付くというわけではなく、どうやらアルコール成分が臓器に負担を掛けるので呑み辛いのだろう。
酒の瓶をクルッと反転させて、パッケージのアルコール度数を確認したら、
義経「おい、14度だぞ…」意外に強い酒でビックリした。清酒 立山で15、6度、チュウハイクラスで6,7度。じじぃ、てめぇと一睨みして目で注意した。ら!?
佐伯「ふふーん」とそっぽ向いた。しらばっくれやがった。
そんな長い酒造の歴史を喉と舌で味わいつつ、お勉強したら急に眠くなったのか塩らしくなった女子らは義隆を挟んでコテッと横になり、消灯21時前にぐっすり就寝、深い深い眠りに入った。女子ら完全に寝入った所で、
佐伯「おい、寝るにはまだ早いぞ(21時前だ!)」と男連中3人を部室の外に連れ出された。
義経「なんけ?」ややこい話と面倒になる事はイヤだぜぇ~みたいな嫌そうな顔で外に出た。
弁慶&海尊「…」口答えせず黙って付いて来た。
佐伯「お前ら、月山に登る時、女らは置いて行け」
義経「あん?」やっぱ駄目?
海尊「!?」
佐伯「あそこは山伏らの修験に登ってる山だ、あの女二人にはキツイ」止めとけよ。
海尊「…佐伯さん、冷さんって…」
源氏名 冷奴…性格が冷たいという訳ではなく、体が冷たいのがその名の由縁で、なかなか体温が上昇しないのでは?と言い出した。
海女のバイトをこなし、山道を歩いて日常生活レベルには問題があるようには見えなかったが、急激な気圧の変化で血管が萎縮した時、心臓に負担をかけるだろう、
海尊「それに…あのケツ(血)…」
義経「ケツ?そういえば、お前。冷のケツばかり追っかけてたな」しょうがない奴だ。
海尊「夕食作っている二人のケツを見比べていたら…」
義経「おいおい。掃除サボって二人のきれいなケツ、眺めてやがったな」羨ましい奴だ。