実る恩恵

今年初収穫の葡萄を見て、
「秋だ～」と思う。
我が家には、
風が秋に変わったら実る、
葡萄の木が植えられている。

パパのパパのパパ、つまり、
紗花のひいおじいちゃんが植えたのだ。
私は会ったことはない。
私と主人が出会った年、
亡くなられたと聞いた。

ひいおじいちゃんの葡萄の木は、
今、
パパのパパとママが手入れをしている。
そして、
その恩恵を預かるだけの次男夫婦である。
「俺たちも、いつかせんにゃ」
そんなこと、考えもせず、
次男坊に嫁いでしまった。
しかし、
娘を見ると
「そうだね」
そんな日も近い、
と予見する。

「獲られ、獲られ」
と言われても、
ザルいっぱいの葡萄…食べきれん。

「ジュースとゼリー作って」

腹が立つことに、
主人は簡単言う。
…誰が絞んねん。
ん、待てよ、今日は日曜。
よし、手伝わせようっと。
パパのママに娘を預けて、
「腕イテェ」
葡萄絞り。
こってり絞って、
たんまり出来た、
ジュースにゼリー。
「ぷは、んめぇ」
って、
止めてよ、
娘の前で、
「んまッ」
ほら、マネした。
「美味しいって」
何度言い直させても
「ん～～まッ！！！！！」
止めない。

しっかり大人を見てるね。

たわわに実った恩恵は、
実家とご近所さんと従妹におすそ分け。

まだまだいっぱいいっぱい実るので、
今度は再従姉妹を招待して葡萄狩り。

まるで葡萄の蔦のように、
恩恵が葡萄の実のように、
みんなにみんなに広がる。

いい？さぁちゃん、
こういうこと、
しっかり見てね。

ごめんなさい、するもーん

「パッパ、パッパ」
日曜なのにパパが居ない。
パパを探しに母なる従者と、
小さな冒険家は旅に出た。
数百メートルが長い長い。

バリバリッ

時折、
シューズのマジックテープ剥がす。

「さぁちゃん、それぬかないで」

アンヨを守るためだからと言い聞かせ、マジックテープを付け直しアンヨ再開。

とてッ

舗装されているとはいえ、
娘にとってはボコボコ道。
尻餅付きつつ、
草を千切っては、
「さぁちゃん、それ美味しくないよ」
ペッペッ
道草しつつ、

ようやく公民館に到着。
そこでは町内の方々集まって大掃除中。

「キレイキレイしているんだよ」
と、
「あら、紗花ちゃん」とお隣さん。
「パパぁ、紗花ちゃんが来たわよ」
と、呼んでもらい、
「パパパパって言ってもらえるのも、10歳までよ」
あはは～、
小さな崇拝者のお迎えに、
パパは嬉しそうでした。

めでたしめでたし、
お掃除も終わって、
おうちに帰って、

パラ～パラ～
パパ、新聞を読みながら、

ブゥ～

「ん…」
音の出所を、
ジーと見て、

「う、う、うぇ～ん」

「どうしたん？さぁちゃん」

パパのおならで気分を害したか？
泣いてしまいました。
大粒の涙をポロポロ。
私にしがみついて離れません。

おならを笑って許して貰える、
と思ったパパ、
「パパダッチ(抱っこ)か？」
姫の機嫌をとる。
しかし、
首を横にフリフリ、いやいや、
「まぁ(ママ)～」
「おいおい、まだ1歳だぞ」
「10歳までもたなかったわね」
「紗花ぁ～」
大変ショックだったようです。
娘に嫌われたこと…。
職場で変人扱い爪弾きにされた方が、
まだ良い、と。

その後、

斜めだったご機嫌も快方に向かい、
夕方には一緒に散歩に行きました。

「よかったわ」

1歳でパパが嫌われたら、
こっちにべったり、
そっちの方が大変だ。

パパとお留守番できるように、
なんとか仕込まんにゃ。

Let's Party

盂蘭盆、ご先祖様だって大集合。
両家揃って、さ、Let 's party 。

記念です、集合写真で、
「表情硬いですよ」
カメラ目線で、
はいチーズ、
カシャ。
「笑って笑って」
家族写真で、
娘が愚図って、
そこらへんのオモチャで、
「ベロベロバァ」
今度はヒロインが1人で、

「良いよ良いよ、可愛い」
おだてられて、
はいチーズ。

1歳ッ！！おめでとう。

記念撮影が無事終わり、
昼食、お子様メニューにご満悦。
しかし、所詮ネネ。
二時間の会食…なんて持たない。

代わりにばんこにあやしてあやして、

「ハッ！?」

一番大切な事忘れていた。

「お餅担いでないッ！」

一升(生)餅…満一歳の誕生日には、
一升餅をついて、
無事に一年を過ごせたことを祝う。
これからの成長を願い、一升の餅、
約二キロを子供に背負わせる。

(強い子になるよ)
また、足で踏ませ、

(一生食べ物に困らないよ)
お尻に当てる。

(厄払い)
地方地方で色々な謂れがあるそうだが、
終いには、お餅をほん投げてました。


帰りは車内でぐっすり。
お疲れ様…
親が勝手に開催したparty 。
付き合わせてごめんね、
ゆっくり休んで。

こうして娘は親の勝手な思いに
振り回されて成長するんだろうね。

おめでとう

1歳か…。

長いようで、
あっという間。

もうハイハイなんてしないし、
一丁前に好物を見る目は、
「DNAだわ」
主人と同じだし、

将来、
どんなLittle Womanになるのだろう。

どんな若草の芽を出すのだろう。

母としては、
嬉しいやら、
不安やらで、
なんだかもどかしい。

着実に階段と、
大人の階段登ってはいるが、
「1人ネンネ出来たら、楽なんだけど」
まだまだ乳離れは先のようです。

とにかく、
1歳、おめでとう。

さ、レッツ パーティ

絶望の中に光あり

朝、

「わぁ～あああああ」

この世の終わり、
絶望の淵に立たされたかのように、
頭を抱えて泣きます。

オモチャを指差し、

「ああああ～ん」

「絶望に打ちひしがれるのは早いわよ」

「俺なんかどうする？」
43歳、何度も絶望を味わったらしい。

「実家でチャプチャプしよ、ね」

と言い聞かせて、
朝シャンから出しました。

シャワーだけでは、
納得いかない様子。

ご機嫌斜め、

「ぶー」
お茶ぶを吹き出します。
「ぶーぶゔゔ」
1メートル越え、
そして、着替え。
新しい服だって、
5分と持ちません。

実家でも、
何度着替えることか、
替えが無くて、
何度ジジババちゃんに、
西松さんへ走らせたか。

それでもジジババちゃんは、
健気にプールに水を運ぶ…。

孫の力って、凄い。


一番凄いっと思ったのは、

1日3箱のヘビースモーカージジちゃんがタバコを止めたこと。

ほんと、あなたを生んでよかった。

両家の希望だよ。

ファーストシューズ

アンヨが出来るようになった娘、
お手手引いて、
「アンヨが上手、アンヨが上手」
並んで歩けるようになりました。

そんな娘の為に、

主人が左、
私が右、

せっせと縫いました。

オシャレグッズ…

増えてきましたが、

サングラスはほん投げるもんの、
帽子は嫌がるもんの、

ファーストシューズは、
直ぐ脱ぎたがるもんの…。

それでも良いんです。

「足腰丈夫な子になってね」

私の撫子ちゃん。