ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

雲隠 小枝御前

2010-12-30 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
便女「…」無言で和菓子を繭子に預けて、もじもじ(トイレに行きたい…漏れそう…)した。
繭子「あぁ、ずっと預けたままで…ごめんなさい。ここで待ってるから、行ってらっしゃい」
すると、小枝と呼ばれた便女は会場外に設置された仮説便所に向った。テケテケと走って。
弁慶「小枝(さえ)って…」
繭子「えぇ。雲隠(くもがくれ) 若菜の香…懐かしいでしょ」
弁慶「…って義仲の母上様!?」
繭子「大・正・解…」とパチパチパチ…と三回空しく拍手した。
サブ「冷静に、正解に“大”付けて強調して拍手で栄誉を讃えんじゃねぇよ!」大問題だ!
弁慶「おいおい、巴と同じく敵討ちか?」だって、あれは…
繭子「…狙いは私たちでしょ」
弁慶「私たち?」
サブ「シッ!」とたしなめた所で、用を足しスッキリした顔なのか分からないが、便女が便所から戻って来た。(話が途中途中で寸断されて申し訳ない…)
繭子「お帰りなさい…」と和菓子を再び預けようしたら、頭をブンブン(ヤダヤダ)と振って、フッと両手を差し出した。その手がベッショベショだったから、
弁慶「はい…(小枝御前…ハンカチぐらい持っとけよ)」と懐から手ぬぐいを出して渡したら、小枝さんは一瞬止まって、おずおず手ぬぐいを受け取り「クン?」と匂いを嗅いだ。
サブ「くせぇ…って?」
弁慶「失敬なっ!洗ったばっかだ」と豪語したが、気になって腕を持ち上げ脇を「クン?」と嗅いだ。芳しくも臭い男の汗の匂いがしたから「繭子、俺に男性用コロン、作ってくれよ」
繭子「そんなの付けたら、義経に怒られるわよ」
サブ「人工的なもん付けんなぁっ!!て。義経、鼻が利くもんな」
小枝さん「…」無言で頭をペコっと下げ、手ぬぐいを弁慶に返した。
弁慶「おいおい…感謝くらい言葉と声で伝えてくれよ」と濡れた手ぬぐいを懐に仕舞った。
繭子「誠意ある態度なら言葉失くともその心、伝わる…」と呟いて和菓子を便女に預けた。
サブ「…(言葉失くとも?)」とあやされてキャッキャと喜ぶ和菓子を抱っこする便女を見た。
弁慶「…」その様子を見て、不意に静を思い出した。生きた赤ん坊を抱っこしたかったろうな、と。取り上げられた赤ん坊に情が移るといけないからと一度も抱かせてもらえず、母の磯乃さん(磯禅師)が頼朝の家来に渡し、その子は海に投げ入れられた。無事産声を上げ、生きてさえいてくれれば歴史は違っていたかもしれない…と、女の宿命と使命を悲しく思った。

郷(さと)と郷(ゴウ)

2010-12-29 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
サ富樫マン「必殺、始末書!」を書きながら更生の道と老いぼれに向かって走り、
老いぼれ「老後人生謳歌、家内だけは安全、健康には十分注意!」と人生教訓を述べた。
こちらの事情を全く一切完全無視して勝手な行動を取る富ガシマンと老いぼれで…、
サブ「…コソ…(このどさくさに紛れて、裏に下がっぞ!)」
与一「(あぁ)」無言で頷き、舞台を老いぼれたちに任せて、裏に引っ込もうとしたら、
繭子「私…」スクッと立ち「後から控え室に行く」とステージ脇からヒランと降りた。
サブ「おいおい、産後で大丈夫かよ?ロク、追え」無茶するようなら体張って止めろ(何か遭ったら、俺らがとがっさんに怒られるぞ…)と命じられ、繭子を追った。
丁度、スタコラサッサァ~と走る烏天狗の前に、会場整備係 弁慶がドンと立ちはだかった。
弁慶「ヘイ、烏。俳優が舞台を途中降板するってのは、いい話じゃないぜ」と後ろを見たら、
烏天狗「…」舞台を勝手に途中降板した繭子&サブが追って来た。台詞に重みがなくなった。
弁慶「…で、狙いは郷か?残念だか、ここに郷はいないぞ」
烏天狗「さと…」
追い付いた繭子とサブ、弁慶と合わせて△に囲まれ逃げ場なしと思いきや、バサッバサッと懐から黒い羽根を取り出し、そこら一体に撒き散らし、雲隠れの術?で走って行った。
サブ「やっぱ、走って逃げるんだ…」
繭子「ふぅ…周辺真っ黒」しかも脂っこい…。
弁慶「まとわり付いてくるなぁ。汚ねぇ羽根だ。で、誰が掃除するんだよ…これ」
繭子「…」ビシッと無言でサブを指差した。
サブ「俺を指名すな!」と黒い羽根を拾って、掃除し始めた。雑用係なのだ。
繭子「羽根を集めたら持って来て…ちょっと成分、調べたいの」
サブ「だったら、てめぇで拾えっ!」と文句言いながら、掃除していた。
繭子「うっ、産後で無理は禁物ね…」と体をくの字にした。
弁慶「おい、大丈夫か?」と体を支えて「お前らの顔見知りか?能子の奴、血相変えてたな」
繭子「…薬師大の理事長で瑠璃姫のお父様…姫と違って常にお面を付けて…素顔は見せない」
弁慶「烏天狗…」のお面をすばやく顔に付け、能子が突き飛ばされた所を思い出していた。
サブ「なんか心当たりあんの?」
弁慶「いや、それが…高館に火を点けた(義経逃走偽装の)時、郷が…」といい掛けた所で、繭子の便女が和菓子を抱っこして、テケテケとこっちに向かって来たので話を止めた。
繭子「…小枝さん」

烏天狗

2010-12-28 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
繭子「ごめんなさいね。これ体重制限あるの。糸が切れるわ。それより、能子。やめなさい!」
能子より3歳年上で姉御肌、沈着冷静で絶対突っ走らない慎重派タイプ繭子は能子を諌めた。
能子「…」姉御 繭子に言われちゃ従うしかなく、不服そうなブス顔で心を制した。
繭子「…(赤いツラした怪しい奴って…理事長のこと?)」
天狗面「…郷はどこだ?」と、お面でくぐもった声で質問した。
鞍馬「ご?う?」の意味が分からず、繭子をチラッと見たら、
繭子「…」じーっと天狗面を睨んでいた。能子を見たら、与一に掴まえられていた。今にも突っ走りそうな荒鼻息で目が離せず手を離せず、手が付けられない姉さん女房だなと思った。
天狗面「…義経も…いない」
能子「もう!!」と牛みたい鳴いて怒り爆裂、与一の腕をブン!と振り払い、向こう見ずで無鉄砲無遠慮にも鞍馬の剣をひったくり、天狗面に向って行った。実は二刀流 剣士である。
鞍馬「おっおい、能子!?」俺の剣を持っていくな!それ、月山(ガッチャン)作で高いんだ!
能子「値段の問題じゃない!」と鞍馬の剣を上段の構え、自分の剣を横に構え、振り被った。
シュシュンと空を切る早業の刀捌きで、台所に立ったら、全ての食材をキレイに美味く料理するか、全野菜こっぱ微塵玉砕粉砕で不味く料理するかのどっちだ。料理は性格が出る…。
能子「坦々(横の攻撃)!!麺?(縦の攻撃)!」と天狗面を打った。すると、縦の攻撃で面が真っ二つに割れ、カラ、カラーン…地面に落ちた「あ…」と天狗面の下の素顔を見た瞬間、
天狗面「ふん!」と鼻息荒く、能子をぶっ飛ばした。別に鼻息で飛ばされたわけでない。
サブ「あぶねッ!!」と能子がスッ転ぶ寸前にナイスキャッチ。与一に渡し「しっかり姉さん女房、掴まえとけ!」と注意し、
ロク「女の子に暴力振るう奴は俺らが許さん!」と戦隊ポーズ?をとったが…
割れた天狗面の代わりのお面を懐からすばやく取り出し装着していた。スチャッと。
サブ「あん?今度は烏天狗!?」ちなみに、赤い鼻高大天狗よりも歴史が古く、空を飛び、神通力を使うとされる青天狗または小天狗だが、スタンと舞台を降りて一目散に逃げた。
タッタカター…と、どうやら、神通力云々を使い、空飛ぶなんて芸当は出来ない烏のようだ。
サブ「なんだぁ、あいつ…?」と能子に聞こうと振り返ったら、
能子「…ふた…ご…」と呟き、気を失った?というより気が抜けて腰抜けた。カックン…と。
与一「能子さん!?」と体を支えた。
ロク「サブ…」と呼び掛けた所で“わぁ???”と客席から歓声が起きった「あん?」とステージを見たら、富樫率いるサドガシマンv.sオイボレンジャーが勝手に戦っていた。

赤いツラのおっさん

2010-12-27 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
もう…見るからにヨボヨボである。
弁慶「…それより5人?」と客席からメンバー人数に疑問を投げ掛けた。
富樫「おい、老いぼれッ!6人いるぞ」五人戦隊じゃねぇぞ!数も数えられないのか!
じじぃ「なぬぅ?そんなはずは…」と後ろを振り返ったら「あん、誰だ、おぬし?見た所まだおっさんでは!?ここは老いぼれしか入れん!」と注意した。
どうみてもおっさん「…」は無言で腕組みをしていた。そんなえらそうなおっさんの態度に、
じじぃ「ムッ!」と来た「老いぼれは推定年齢400歳前後しか入れん、おぬしどう見て50歳代!そんなひよっ子を仲間に入れるわけにはいかん!」とおっさんを叱り付けた。
そんなおっさんを見た能子と客席の繭子は驚いていた。すると、突然、能子「兼高っ!」と鉄扇に仕込んでいる短刀5本を横一列に飛ばした。おっさんは八艘横ッ飛びして、短刀を避けたが、そこらじじぃは老いぼれに付き?避け切れず、
じじぃ「ひぃーー!あーー(ぶない)」と頭を抱え、目と瞑った。避ける気ナッシングである。
鞍馬「避けんか!ボケじじぃ!能子のバカめ、この状況で横一列に飛ばすな!」と注意した。
仕方なく向ってきた短刀を鞍馬 必殺乱れ打で全部叩き落した。カラカラカラカラカラーン…、
と叩き落された短刀だが、能子に対して、
鞍馬「老いぼれに当たったからどうする!全世界の老いぼれを敵に回す気か!」と叱ったが、
能子「…そいつの肩を持つつもり?それなら、皆まとめて相手するわ」とめっちゃ誤解した。
もう、完全に複数本の血管がプッツン切れて、思考領域と世間を見る視野が狭くなっていた。
小角「これぇ(こらぁ)!小娘ぇ!素敵で可愛いじぃちゃんになんて事すんじゃ!」
能子「素敵?可愛い?の意味が分からないわ。邪魔立てするようならじじぃまとめて切る!」とチャッキーンと剣を抜いた。鞍馬仕込の剣術とじゃじゃ馬で、全責任は育てた鞍馬にある。
鞍馬「やめんか!」と育ての親が注意しようが、
与一「よ、能子さん!落ち着けっ!」と旦那が姉さん女房を宥めようが「聞こえちゃいねぇ」
能子はじじぃらに牙を剥き突進中。猪突猛進 前進全力(本当は、全身全力です)型の性格で、その剣を振り回す華麗な姿を見て、
サブ・ロク「こぇ…」能子の優美で優雅、落ち着きある物腰は…能の世界だけの話である。
この天狗面 兼高様の登場で能子の精神錯乱混乱興奮状態で事態収拾不可と判断した繭子は、
「仕方ないわね…」と頭巾を被って赤レンジャーに扮装した。客席から糸をポ、ポーンと投げて、糸に掴まりターザンみたいに飛んでスタンッと華麗に着地して、ステージに躍り出た。
富樫「おぉ!カッコイイなぁ、スパイダーマンみたいだ」俺もやりたい!

五人戦隊オイボレンジャー

2010-12-26 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
サブ「って、サンタかよ!プレゼント出せ、プレゼント!」
富樫「バカモン!良い子にしかプレゼントは渡さん!悪い子のお前らはブラックサンタが連行だ!(By ドイツ シャーマン(呪術師)サンタ伝説)」知ってたか、あいつら双子だ!
能子「双子…」それって…と言い掛けた所で、「先越されたわい!!」とお空から声がした。そんなお空を見てみると『ド!でか八手の団扇』に乗った鞍馬らとほうき?筆?に乗ったじじぃと杖に跨ったじじぃが飛んでいた。
場内からは「どんな仕掛けだ?空飛んでるぞ!」とどよめきが起こっていたが、完全無視。
筆とステッキのじじぃらはのろのろぉ~と減速、ステージ中央にやっとこさ着地したが…
鞍馬「定員オーバーだ!誰か飛び下りろ!!」ブレーキが利かんくなった!
サブ「まった変なのが来たぞ…」
鞍馬「アッ!バカ、そこどけ!ぶつかるぅー!」とステージ中央で仁王立ちしているじじぃらと富樫とドッシーンと大きな音を立ててぶつかり、ステージ中央にどでかい穴が出来た。
じじぃ&富樫ら、どでかい穴にヒュー…ドーーン、落下。
じじぃら「いちち(訳 いてて)…た、助けて…」と言われたから仕方なく、手を差し伸べた。
ロク「大丈夫か?」と全じじぃを穴から引き上げた。富樫は自ら「ハッ」と気合で脱出した。
穴から引き上げられたじじぃらは穴を避け、ステージ前に整列したが…
サブ「そこは、とがっさんが壊して馬鹿対決した所だ。あぶ」ないと説明と注意しようとしたら、ガラガラァ、ドッシー…ンとステージ前方斜めに崩壊、全じじぃら滑落「うぁあぁ~!」っと6人のじじぃらは転落。つまり、転落人生である。
ソリで衝突、馬鹿どもがステージを揺らし基盤が緩んでいたのだ。地震後は気をつけようね。
富樫「…俺のせいか?」とちょっぴり反省したシマナガシーブルーはトキレッドとザクザクゴールドと共にじじぃらを助けた。更生の道をしっかり歩む、前科持ちのヒーローだった。
助けられたじじぃらは気を取り直し、ステージ後ろに整列し、
中央のじじぃ「我ら(ぼそぼそ)…おい(ごにょごにょ)れん…」と話し始めたが、後ろに下がり過ぎているため客席に声が届かず、
客席から「おい!聞こえないぞ、何言ってんだ!」と野次が飛んだ。もちろん、野次を飛ばした奴らは弁慶に首根っこ掴まれポーイと抓み出された。場内ガードマン兼任の弁慶である。
そこで、能子「はい、先生…」と気を利かせて、鞍馬にマイクを渡した。とっても良く冴える勘を持つ、気の利く能子である。鞍馬が中央じじぃにマイクを渡し、気を取り直して…
じじぃ「我ら、五人戦隊オイボレンジャー、じゃ!」と老いぼれポーズをとった。

とっがしから♪メリ クリスマス♪

2010-12-25 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
さ、始めよう!という所で、マスク装着のサブ・ロクでは声が篭もるという理由から、午後の部開始のアナウンスは…
紫頭巾 能子「仕方ないわね…」とマイクを持って、またバカでっかい声で「かかってらっしゃいっ!」と宣戦布告、鉄扇を打ち鳴らし、開始の合図を出した。パーン、と。
その合図で「うぉーーーーー(ドドドドドド…)、待ってましたぁー!」
シャンシャンシャンと大量の鈴を鳴らし、二頭の鹿に縄つけてソリに乗って突進してくるお面ライダーズ。もちろん、先頭きって突っ走るのは、繭子の旦那 富樫 秦家であるが、
繭子「秦家(やすいえ)さん…今度は何ライダー?」で、後ろの二人組って、もしや…、
弁慶「あぁ。北前船の船首に干してあったボディスーツ…」俺はサイズが合わなかったんだ。
鹿二頭、華麗にジャンピング、スタッ!とステージに乗ったが、ソリは乗り上がらなかった。
ガッツーン!ステージとソリが衝突、三人はスッコロンだ。ステージはグランと振れ、
サブ「ぐぉ、あぶねぇ」と踏ん張って堪えたが、ステージは一部損壊。ガララ…。
ロク「あ~ぁ、弁償もんだ」俺、知ぃらねぇっ。
二人組はのそのそステージ脇から登場し、おずおずしていた。めっちゃ照れてるようだ。
サブ「…お面の下で照れても意味ねぇって」お面ってかなり無表情なんだぜ。森乃に熊世…。
そんな事より、ど派手に登場したメリークリスマスのトナカイ扮する鹿角くんに「おい、俺より目立つんじゃねぇよ」と人見知りの激しい太ちゃん(馬)は気分を害した。鼻息荒く、ステージを足で蹴っ飛ばし威圧、フーフーとガンガン。臆病な鹿角くんだって「メス(鹿の子)の手前、負けられねぇ」と両前足を持ち上げ、振り落としステージをガッツン、ガッツンと叩いた。当然、ステージはグラングラン触れるが、知ったこっちゃない動物二頭で馬鹿対決が勃発だ。そこへ、お面ライダー富樫がハイジャンプ。スタンっとステージ中央に着地した。
富樫「我こそはサドガシマン!(シャッキンとポーズ取って)前科持ちで力持ちシマナガシーブルー!!ンでもって、こいつら保護鳥 トキ(朱鷺)レッドに金持ち ザクザクゴールドだ!」
サブ・ロク「前科持ち?佐渡島?」
能子「島流し…って」世阿弥?(※能の大成者 観阿弥の子です)
与一「…あぁ…」うるさい…鈴が分かり難い…と目を閉じていたら、能子が心配そうな顔を向けた。それに気付いた与一「大丈夫…」と目を開けた。そんな様子を見ていたサブは与一にある疑問を持ち始めていた。
ロク「とがっさん(※富樫)!!何で来たの?」俺たちの舞台めちゃめちゃにする気かよ!
富樫「何ってバカ、ソリに乗って来たんだ!」メリークリスマスってな♪

若菜の香り

2010-12-24 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
繭子「…結局、胡蝶の大技は源氏の妖刀を前に破られた」
葛葉「そ、大技だから破られる。糸を一本だけ使うとしたら?」ほら、三輪山の赤糸伝説…
繭子「…糸に気付かれないように辿って、正体を暴く…」(By 三輪山 大物主神の結婚秘話)
葛葉「そ、OK?」
繭子「分かった、やってみる」手がかりは赤い面…。
葛葉「糸を辿るのは男らに任せな、ね」
繭子「了解…(って、この人、いったい何者?)私、客席見てくるわ」
葛葉「…それと、アンタの便女…どこの遊女?」便女として召抱えるには惜しいわ。それにどこかで会ったような気がするんだけど…。本当にただの便女なの?
繭子「…ただの…乳母…よ」
葛葉「そう…(腑に落ちないけど)…気をつけるのよ」
繭子「(どちらに気をつけろと言っている分からなかったが)はい…」と素直に返事した「じゃ、義隆と山吹ちゃんをよろしく…」と部屋を出た。パタンと戸が閉まって、
葛葉「…(あの若菜の香り…どっかで…?)」と首を傾げていた。
繭子が向った客席は、大興奮ヒートアップ、お熱急上昇でノックダウンの子供たちに代わり、午前の部の変な噂を聞きつけた大の大人がワッと会場に押し寄せ、ごった返していた。
何と言っても酒田は酒の町、今日は無礼講の新酒神酒のイベントで飲み放題である。なんともむさ苦しくも酒臭い、酒焼けの赤いツラ下げた酔っ払いがわんさか集って、
繭子「これじゃ…(どの面(ツラ)を追えばいいんだか分からない)」ふぅ…と溜息を漏らした。
まずは便女を捜して合流したが、酒臭い親父たちがいっぱいで観客席に入るのを躊躇していたら「おい、繭子!こっち、こっち」と弁慶に呼び止められた。
繭子「あら、あなたは出ないの?」
弁慶「出ん!俺は縁の下の力持ち。裏方専門だ」
繭子「だたの内弁慶でしょ」
弁慶「…ふん」退け退け!ズンズンと、人ごみを割って入り、酔っ払いを蹴散らした。
繭子「こういう時だけ助かるわ、ボディーガードさん♪」
弁慶「こういう時だけ?」とガックリして、客席中央席にドッカリ座り、ギロッとにらみを利かせた。そこへ、ワァー??と歓声が沸き起こった。サブ・ロクがロープを引っ張り、ステージの幕を引き上げ開幕させていたのだ。ステージでは、ドーンと俳優陣と太ちゃんが整列していた。実は、逃亡を企てスタッフ不在でサブ・ロクが小道具雑務を兼任していたのだ。

蜘蛛女 胡蝶

2010-12-23 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
与一「ムッ…」御曹司って昔の話だろ。
繭子「(与一の)お母様に感謝ね。ほら、義隆飲んで」栃木で有名な宇津救命丸の風邪薬よ。
義隆「ゴクッ。うえぇ…甘ぇ」と甘いにも関わらず苦い顔でんべっと舌を出した。
与一「…贅沢な舌だ」この時期、イチゴは高いんだぞ(宇津Byイチゴシロップ)。
ちなみに、栃木はイチゴの販売生産が全国一。とっても甘い王国『あまおう(甘王)』なのだ。
サブ「おい、こっちに布団引いたぞ」
ロク「しばらく寝てろ、なっ」風邪が移らないように…と言っても空気感染するウィルスだが…ちょい離れた所にもう一つ布団拭いて、ついで山吹もコテンと寝かし付けた。
能子「じゃ…そろそろ。繭子も出る?」赤頭巾レンジャー 糸使い…
繭子「遠慮しとく…またの機会に誘って。昨日出産したばかりで激しく動いちゃダメなのよ」
サブ・ロク「?(・・)赤頭巾(・・)レンジャー?」
葛葉「私はここ借りて、この子ら見てるわ。それと、アンタちょっと話があんの」残んな。
店主「…」葛葉が話あるって呼び止めるのが、一番怖い。悪ぃ事しなくてもなんか怖い。
繭子「私に?何か?」
葛葉「…いいから、ちょっと」
能子「…じゃ、行くね」とチリーンと鈴が鳴り、店主もこぞって控え室から出たところで、
葛葉「…アンタ、くの一かい?」
繭子「…」返事しなかったが、もうバレてるってば。だから、勝手に話を進めて、
葛葉「この会場内に怪しい奴が潜んる…」医務室探しながら辺りを探ってみたけど正体掴めなかった。手がかりと言えば赤い面…。さっきからヤな予感と悪寒がする。ゾクゾクッ。
繭子「……私にどうすれと?」
葛葉「アンタ、糸使いだろ?…蜘蛛女(くもめ)の業なんだけど…」
繭子「蜘蛛女って…能の演目『土蜘蛛』?」を思い出した。(妖刀 蜘蛛切丸・参照)
葛葉「能を知ってなら話が早い、蜘蛛女 胡蝶の大技で千筋(ちすじ)雁字搦(がんじがら)め…」
繭子「源頼光を捕えた時の土蜘蛛の大技で…」
妖刀 膝丸が蜘蛛切丸に改名したエピソードとして語られる能の演目『土蜘蛛』で、蜘蛛女 胡蝶は便女に化けて源 頼光に近づいた。胡蝶は頼光の茶に薬を盛り、薬に毒を盛り、頼光の体を伏せさせていったが、不審に思った頼光は訪れた無名の僧に念を唱えさせ、胡蝶の正体が妖怪であることを暴いた。正体見破られた胡蝶は頼光を千筋(細糸の束)で雁字搦め、しかし、頼光は妖刀「膝丸」で蜘蛛の糸は切り脱出成功、胡蝶は大勢に取り囲まれ囚われた。

源氏御曹司

2010-12-21 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
葛葉「あんた、商売上手ね。気に入ったよ」
繭子「ありがと。それにしても医務室見当たらないわね、スタッフさんに聞いてみましょ」と尋ねたら、救護班は馬に蹴られたスタッフを担架で運ぶため全員出動したと言われ、
繭子「馬に?全員も出動するの?」どんな蹴られ方と運び方なの?と疑問に思ったが、
俳優控え室になら薬があるだろうと言われ、部屋の案内地図を渡された。その控え室とは、
鞍馬「おっ。そろそろ(時間)だ…ちょっと行ってくる」童ちゃん、行くぞ。
童ちゃん「おぉ。じゃ、午後の部も頼んだぞ」という童ちゃんの部屋だった。
能子「先生…午後の部、棄権?」と声を掛けたら、
鞍馬「ステージの時間には、間に合う!」と断言し、パタンと戸を閉め、出て行った。
サブ「ということは、またアドリブ寸劇?」
ロク「今度は、どんな展開になるんだよ?」
与一「ちょっと、静に!…誰か来た」
そこへ、“コンコン”と戸がノックされ「すみません…子供がお熱を出して…。薬を戴きたいのですが…」とドアの向こうから声がした。
能子「ん!?この声!」繭子の声に気が付いて、戸に駆け寄ってカチャッと開いたら、
繭子「あら、能子!お久ね」と山吹入り源氏乳母車を引いて、葛葉がぐったり義隆を抱えて控え室に入って来た。
サブ・ロク「義隆!?…と山吹」鞍馬登場にかなりヒートアップしてたもんな。
繭子「子供用の解熱剤、ある?」
与一「俺、持ってる」こいつが義隆か…。(初めて見た)
ロク「…なんで“子供用”持ってんの?出来た?」と能子を見たが、そんな感じもなく、
与一「関係ないだろ、お前らに」
能子「親にとって子供はいつまでも子供なのよ。クスッ」と笑った。
サブ「あん?なんそれ?」
与一「能子さん」と呼んで、薬を投げた。ポーン、と。能子ナイスキャッチで繭子に渡して、
繭子「これ、宇津※子供シロップじゃない!?」
能子「ここに向う途中、那須(与一の実家)に寄って来たの。そしたら、お熱出しやすいからって渡されたのよ、ママに」
与一「能子さん!」と名前を呼ばれ、目目付けられた。
サブ・ロク「マ(・o・)マ(^o^)」さすが、那須のおぼちゃま。よっ、源氏御曹司っ!

コクーン

2010-12-20 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
その時、子供が賀茂女なのか、義隆なのか、どちらの事を指すのか分からなかったが、何となく今の心境を言い当てられ癪に障ったような感謝したいような変な気持ちが交錯していた。
義経「…あの杖って飛ぶためのもんなんか?」魔法のステッキ?
河合「魔法か阿呆、どっから夢の幻でどこまでが現実の真実なのか分かんねぇな」
義経「あぁ、全くだ」と気を取り直し残ったデザートを「食っちゃおっと♪」とパクついた。
丁度そこの頃、酒田のイベント会場では、葛葉さんはとっても、とぉーっても困っていた。キョロキョロ…源氏乳母車を引きながら、お熱でダウン中の義隆を抱えて右往左往。そこへ、
「ちょっと、あなた。どうしたの?」と声を掛けた優しい御婦人は繭子で「義隆!?」を見て、目を丸くした。
葛葉「この子の知り合いかい?ちょっと預かってる子なんだけど…」
ぐったりしている義隆で、繭子はおでこに手を当てて、
繭子「熱があるわね。今、薬持ってないわ。医務室に連れて行きましょう」
葛葉「それが医務室、見当たらなくて…」こんなことなら洞窟で大人しく待ってるんだったと後悔し、無鉄砲で向こう見ず即行動起こす自分の性格がイヤんなっちゃうわとぼやいた。
繭子「…連れて来てしまった事を後悔してもお熱は下がらないわ」一緒に医務室探しましょうよと説得し、お面の便女に午後の部の席を確保して置くように頼んで、和菓子を預けた。
葛葉「ありがとう、助かるわ。肝の据わったママさんね。…その赤ちゃん(和歌子)包んでる白いの、何?」光沢あってキレイね。オーガニックコットン(木綿)じゃないわ」
繭子「お目が高い。コクーン(繭)よ、シルク繊維で作ったの」発熱発汗作用と清涼感があり、多汗な赤ちゃんに最適な皮膚環境を作り、宇宙服の下に着る肌着に採用されている繊維なの。
葛葉「宇宙?」
繭子「クスッ。蚕って宇宙からの使者って言われているのよ」養蚕の女神 衣襲(きぬがさ)大明神様がお作りになる仏さんたちの衣ね。
葛葉「あぁ。天衣(てんね・あまのはごろも)のことだね、素敵。私も欲しいわ」
繭子「ショールなんてどう?白い肌のあなたには緋色の茜染めのショールなんか似合うわよ」
葛葉「ちなみに、おいくら?」
繭子「そうね、手織りだから値は張るけど9,000…でも、義隆の面倒見てくれてるから2割引いて7,200円でどう?」
葛葉「OK!お願いするわ」
繭子「毎度あり。後から連絡先教えて。品物、お送りするわ」と葛葉相手に商売していた。