喜♪きりん

人が苦手なのに何故か販売員をしてる人の日々あれこれ

ブラックベルト感想その1(ネタばれあり)

2015-05-08 22:05:15 | ドラマ・演劇感想
「ブラックベルト」を観てきました。

シャトナー作品は「ソラオの世界」しか見たことがなくて、平野、兼崎というソラオにも出演経験がある役者のせいかオリジナルなのにどこか似てる感じがしました。

まあ、よく笑った笑った

と同時に怖いなとも思わせるところがシャトナーさんだよな。

ソラオは主人公が目覚めて現実に戻るからある意味その間どんなむちゃくちゃな事があってもああすべて夢だったんだって丸く収まるけど、ブラックベルトはちょっと後味が悪かったな。

バス停で待ってる彼らがバスに乗って終わるっていう時間軸の中で五人があり得ない妄想を繰り広げてくって話と考えればごく単純なんだけど最後にバスの中で一人の男がこう言うんです。

「このバスが、幻だったらどうします」

これ怖かったなあ

まだ続くのかい!ってね。

夢は起きたらなくなるけど妄想は永遠に続く。

ソラオの世界が最後リセットされたのに対してこっちは見てる方もどこからどこまでが現実なの?そもそもこの五人自体誰かの妄想なんじゃないの?いやいや演劇なんて元から虚構の世界じゃん、だいたいムッシュモウソワ―ルって何だよ、来日って?皆どう見ても生粋の日本人じゃん・・えとせとらと混乱するばかりでした。

とはいえ五人のコミカルな動きや言動に笑わせられて暗い作品ではないのですが、深く考えるとこれかなり恐ろしい世界です。

妄想って誰もがやることで、「こうだったいいなあ」とかのざっくりしたものから「あの人私の事が好きかも」なんて勘違い妄想や被害妄想まで様々で中には惨酷な妄想だってあったりします。

コイツが憎い傷めつけたいって思っても現実には出来ないから頭の中で実行して満足する。それは自分にだけ見えてるものであって他人には見えないだから安心して考えられる。

もしその光景が誰にも見えるものだったら?

それを具現化させたのがムッシュ・モウソワ―ルなのかなと思いました。

まあでも彼らの妄想なんてヒーローになった自分とか冒険するとか大統領になって支配するとか誰よりも強い男になるとか美女と一緒になるなんていう可愛いものなんですけど、シャトナーさんはそこへ現実の厳しさを付き付けるんですよね。ソラオの時もそうだったけど楽しさの中にある惨酷さが割と好きです。でも最後は必ず成長させる。

夢でも妄想でも打ち勝つ強さががあれば現実でも立ち向かえるよ

厳しくも温かい目線がムッシュ達の後ろに見えた気がしました。ま、最後にループするんじゃないかって恐怖は少し意地悪かなって思ったけどね。

しかし現実でも妄想世界のような事件が続々に起きていて何とも切ないです。

今回のパンフに全文載っているのですが、あれがアドリブじゃないとかすごいわー。それだけ自然に見えたってことですね。

次回のムッシュ達の来日(笑い)を期待しつつ次は役者感想書きます。
コメント