日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

古語短歌物語『花の風』1巻から(承前)

2010年09月17日 | 日記
女が智恵の言葉を途切れ途切れに語るのを聞いて、男はいつかどこかで、同じような語りを聞いた気がした。

たまきわる いのちのたぎり まじらいて あとみえざるも いにしえおもおゆ
たまきはる 命のたぎり 交らひて 跡見えざるも 古へ思ほゆ

(ほとばしる命の流れが、どこでどう交わっているのか、軌跡はわかりませんけれども、昔から今に連なる、私たちの縁がしのばれます)
女は、人並み優れた魂を授かり、自分でもそれを知りながら、何をしていいのかわからずにいた。

もろかみの めぐみたまえる いにしえの みたまのふゆを うけしいもわや
諸神の 恵みたまへる 古への みたまのふゆを 受けし妹はや

(あなたはほんとうに、神々の恵みの御霊を、降る星のように受けた、古い魂の持ち主です)

 男と女は、何気ない所作で、互いの価値を見抜いた。

さちみたま うけてあれにし ひとにあれば いもよおんみを いつくしむべし
幸み魂 受けて生れにし 人にあれば 妹よ御身を 愛しむべし

(神々の祝福のみ霊を受けて、この世に生まれてこられた人ですから、あなたはご自分を大事になさらねばなりません)
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