日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「風のため息」再録

2024年03月17日 | 日記
 関東では桜の開花宣言が間もなくです。近所の梅はもう散りはじめ、寓居の狭い庭のハクモクレンは、もうすぐ開きそうな花、開ききった花が、混ざっています。一、二輪を、仏前にお供えしようと思います。
 いつもの散歩の折に見る森の樹冠も、芽吹きはじめて、赤らんできています。このような時期に詠んだ歌を再録します(『古語短歌』74頁、『くりぷとむねじあ和歌集』45頁、94頁)。

 芽ぐみはじめた木々で、一面に赤みを帯びた森が、まだ色の薄い青空を背景にして、壁のように立っています。しばらく見ていると、木々が緩やかに動いて森が膨らみ、また静まりました。風がため息のように吹きすぎたのでした。

芽ぐむ木に 赤らむ森の
うす青き 空にふくらむ
風のため息

(芽ぐみはじめた木々で森が一面に赤らみ、薄い青空を背景に静かに立っていたところに、風が木々を膨らませて、ため息のように吹きすぎました)


*******
日守麟伍『古語短歌――日本の頂点文化』
Amazon Kindle版、NextPublishing Authors Press版、2019年
日守麟伍『くりぷとむねじあ和歌集――言霊の森』
Amazon Kindle版、NextPublishing Authors Press版、2019年

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「幼木の」1首 | トップ | 「春の雨」再録 »

日記」カテゴリの最新記事